#38 Article 943 Posted at 1991/02/25 12:05:02 by ユ-サク (MAP1754) [STORY]

Subject: Re:*12 激動焼け跡ラブコメ・小説版「てやんでえ」! /942 ..... /889 /887

「ダメだ…これじゃいくらなんでも生き残っていられるハズがないぜィ…」
「ヤ、ヤッ太郎…死んじまったのかよ…」
「最後の最後まで、馬鹿なヤツだったッ…」
耐え切れずにむせび泣く一同。闇の四忍衆ですら、ヤッ太郎の戦い様に敬意を表してか
粛然としている。
焼け跡に、風が吹き抜ける。爆煙がおさまり、青空が覗く。…しかし、一緒に喜ぶべき
奴はもういない。町を救ったあいつは…。

しかし、フとスカシ-が何かに気がついた。
「まてよ…? 何か大事な事を忘れてるような気がするぞ?」
「…?」
一同がスカシ-を見返す。
「ええと何だっけ…確かに大切な事なんだけど…ええと、ここまで出かかってんだけど」
スカシ-のその疑問に答えるかの様に、微かな声が聞こえて来る。

「ァァァァ …アアアアあああああああア一一一一一一一!!!」

どッかぁあああン! 何かが降って来た!
土煙が晴れて見ると、地面に半分メリ込んで脚とシッポをピクピクさせているのは!
「ヤ、ヤッ太郎ッッッ!!」「ヤッ太郎殿ッ!」
「大将ッ!無事だったんでゲスか!?」
「あッ、そ-だ!」
スカシ-がポン、と手を打つ。
「”キャッ党忍伝てやんでえ ”では、死人が出る訳ないんだった!!」
一同は一瞬唖然としたが、直ぐに納得した。”てやんでえ ”だったっけ、そ-いや。
「なんだそ-かァ!」「忘れてたでゲス!」「心配して損したっちょ」「全くでごわす」「はははははははははははははははは!」
心がすっかり晴れて、ほがらかに笑いあう一同。

一方ヤッ太郎はヘルメットがグチャグチャに潰れ、顔面もひしゃげてケ-レンしている。「し……死んだ方がマシだったじぇ……あががが」


晴れた日。
再び、エドロポリスを再建する快い槌音が青空に響いている。
”絶対破壊出来ない”原子怪10号の装甲が雨風をしのぐ絶好の材料として、い-よ-
に利用されている。
病院。進駐軍の連中に言わせれば、不潔な掘っ建て小屋だそ-だが、断固として病院。
腕を三角巾で吊ったプルルンが、全身包帯グルグル巻きのヤッ太郎を看病している。
「はい、ヤッ太郎、お茶よ!」
「ン!」
「おいしい?」
「おいちい、おいちい!」
それを見ている、おタマとスカシ-。
「この分だとあの二人の仲も落ち着きそうですね、スカシ-さん?」
「ああ、どうやらな…」
ところが、そうはいかなかった。
「ヤッ太郎さあぁァァァァン!!」
「お、おミッちゃん!?」
入って来るなり、いきなりヤッ太郎に飛び付いて行くおミツ。
「ゲッッ!」ガク然とするスカシ-。
「ヤッ太郎さん、おミツ、いっぱい、いっぱい、いっぱい感動しちゃった!毎晩泣いた
 の、ミサイル30ダ-スも撃ち尽しちゃったの! 強いのねッ、ヤッ太郎さん!」
(作者註。浅草近辺は、そのせいで今だに焦土のままである)
「お、おミッちゃん…」
「ヤッ太郎さん、あのォ……」
言いにくそうにモジモジするおミツ。
「ヤッ太郎さんは今、…付き合っているヒト、いますか?」
「ヘッ!?」
「ヤッ太郎さんさえ良かったら、あたし…」
「お、おミッちゃんが? オ、オイラの事!? ヌ、ヌヘラ~~~~!」
思わず相好を崩すヤッ太郎。
「い、いにゃい、付き合ってるヒトないか全然いにゃい、ちっともいにゃい!」
「本当ォ!? おミツ、嬉しい!!」
「ヤッ太郎ォォォ~~~~~~~~~~~」
背後に迫る不気味な影に、ギクリとするヤッ太郎。
「付き合ってるヒトは、いない、ね。ふぅぅん。…それじゃ昨夜のあの事は、何だった
 ワケェ~…!?」
(作者註。ここで昨晩、ヤッ太郎とプルルンの間に何があったかは、読者諸氏の想像に
 お任せする事にする。…まァ、あの二人だし、ヤッ太郎は包帯でグルグル巻きなので
 大した事では無いだろ-が。)
「プ、プルルン、ちょっと待てッ!」
「このウスラボケ~~~ッッ!」
プルルンの必殺のギプスアタック(石膏ギプスのチョップ)が、ヤッ太郎の頭に命中!
「おミツ、嬉しいぃィィィ~~~~~!」
「わ-ッおミッちゃん、ここじゃダメ…!!」
どッかアアアアアァンッッ!!
吹っ飛ぶ病院。
(作者註。つくづく迷惑な連中である。)
爆煙の中から、フラフラとスカシ-とおタマが出て来る。

「あああああ。おミッちゃんがヤッ太郎を…そんなぁぁ、そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「ああああ。またヤッ太郎さんの入院が長引くぅぅ。入院費が、人手がぁぁぁぁぁぁ」

空はどこまでも青く澄み渡っていた。


(作者註。終った、終った)