#22 Article 2619 Posted at 1995/11/21 02:45:58 by HIDE (MAP3950) [SAIOU]

Subject: Re: 感想 /2616

人間万事塞翁が馬

 人間万事塞翁が馬。そんな言葉を聞いたことがありませんか?
 中国の古事で、ことわざとして用いられます。
 多くの人が知っていると思いますが、知っている人は思い出しながら、知らない人は
その意味を考えて、読んでみてください。



        塞翁が馬

                                                        Hideki K.脚色

 遠い昔、中国北部の国境に近い簡素な村に、塞翁という老人が小さな孫と共に住んで
いました。
 この老人は、ちょっと偏屈なところがあり、付き合いにくいところもあるのですが、
なかなか不思議な人で、未来を予想したり、ものごとの本質を見抜く力を持っていると
言われていて、村人からは一目置かれている存在でした。

 老人は1頭の雄馬を飼っていましたが、ある時、野良仕事をしていた老人が目を離し
た隙に、その馬は逃げ出してしまいました。
 小さな孫と二人きりで暮らす老人です、馬は大切な労働力でした。
 村人も、そんな老人と孫を可哀想に思いましたが、老人はこういいました。
「これが幸いの種にならぬわけはない」
 貴重な労働力を失った老人には、その年の冬を越すことさえ難しそうです。村人達は
老人が悲しみのあまり、半ば気がふれたのかと思いました。

 しかし間もなく、逃げた馬は、1頭の馬を連れて戻って来たのです。
 なんということでしょう。逃げた馬が帰って来たばかりか、つがいとなる雌馬を得る
ことができたのです。
 その夜、村人達は、老人のために祝い、喜びましたが、老人の表情はなぜか冴えませ
ん。
「これが災いの種とならねばよいが」
 村人も、前回のことがあるので、少し心配になりましたが、その後もつがいの馬に子
供が生まれるなど、老人と孫の生活は順調に見え、そんなことは、いつしか忘れ去ら
れてしまいました。

 ところがある時、つがいの2頭から生まれた子馬に乗って遊んでいた、老人の孫は落
馬して、大怪我をしてしまいました。特に足の怪我はひどく、一生うまく歩けなくなる
ほどのものでした。
 孫は心も傷つき、悲しみましたが、老人はこう励ましました。
「こんなにつらい思いをしたのだから、これが幸いの種にならぬわけはない」

 そんな事があって後、老人が暮らしていた国をも巻き込む大きな戦争が起こりました。
 兵士の10人の内、9人までが戦死するという悲惨なものでした。
 しかし、老人の子供は、いまだに普通の人のようには上手く歩けなかったので、徴兵
を免れ、戦場で死なずにすんだのです。

                                        参考文献/学研・故事ことわざ辞典



 この物語は、人の一生において、何が幸福の因になり、何が不幸の因となるかは人知
の及ぶものではない、深遠なものだということをあらわしています。
 私は一般論が、人を幸せに導くことになるとは言えないと思いますが、みなさんはど
のようにお考えになるでしょうか?

                                                from Hideki K.