#210 Article 14892 Posted at 2000/09/14 06:58:44 by 高木志郎アオ (MAP3887) [TV]

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'81年4月、東映は「少年ジャンプ」作品をアニメ化してヒットさせます。

『Dr.スランプ アラレちゃん』(1981/4/8~フジ)東映
 鳥山明は名古屋に生まれ、愛知県立起工業高校デザイン科を卒業後、地元の
広告代理店に就職。だが、遅刻を繰り返して退社。親の手前、職を探すふりを
しながら漫画で食べていく道を考えた。最初「少年マガジン」の新人賞に出す
つもりだったが締め切りに間に合わないことから「少年ジャンプ」に変更した
という。ストーリー漫画「手塚治虫賞」31ページと、ギャグ漫画「赤塚不二夫
賞」15ページ、賞金はどちらも十万円。“同じ十万円ならページ数の短い方が
よい”と思った鳥山は、さっそくギャグを描いた。
 アメコミのような味のある鳥山の漫画はあえなく落選したが、選考班にいた
鳥嶋和彦は鳥山の英語の書き文字がきれいに描いてあるのに注目した。もしか
すると化けるかも知れないということで「少年ジャンプ」は徹底した養成計画
を行ない、鳥山は担当の鳥嶋にしごき抜かれることになった。没になった原稿
500枚。それが二人を鍛え上げた。
 当時の漫画界の風潮は男っぽい主人公の登場するものが多かったが、鳥嶋は
その風潮に物足りなさを感じ、鳥山に新しいジャンルの可能性を感じていた。
鳥嶋はラブコメの流行を予感し、女の子は苦手という鳥山を説得した。二人で
話し合いの末、メガネをかけた女の子の刑事が登場する『ギャルデカトマト』
という読み切り作品ができ、「少年ジャンプ」増刊号に掲載されて、人気投票
で5番目にランクされた。
 さらにディスカッションして『Dr.スランプ』が誕生し、1980年の新年号
から、一挙2週分掲載という度肝を抜いたスタイルで始まった。最初はアラレ
ちゃんを主人公にするつもりはなかったが、「可愛い!」というファンの投書
が殺到して毎回アラレちゃんを登場させることになった。第2週目に人気投票
ナンバーワンに踊り出て、アラレちゃん人気に火がつき、女子大生、女子高生
などの間で「んちゃ」「バイちゃ」「ほよよ」というアラレ語が流行した。
 東映動画社長の今田智憲は、連載中の『Dr.スランプ』を一目見るなり、
感心してアニメ化を企画した。が、集英社は『Dr.スランプ』のアニメ化を
渋った。「少年ジャンプ」は以前『男一匹ガキ大将』『侍ジャイアンツ』など
をテレビアニメ化した。しかし、漫画の連載途中で番組が終了すると、それに
ひきずられて漫画の読者が離れてしまう危険性があるため、「少年ジャンプ」
では当時、他の少年誌と異なり連載漫画のテレビ化を認めなかったのである。
 フジテレビの日枝久編成局長は、『Dr.スランプ』テレビ化実現のために
「少年ジャンプ」編集部を三度訪ねた。テレビ局の編成局長がじきじきに漫画
雑誌の編集部に足を運ぶのは異例で、それだけ日枝はこの企画に賭けていたの
である。集英社の長野規は、日枝の熱意と、飲み仲間である東映の渡邊亮徳と
の付き合いを考え、ついにアニメ化に踏み切った。
『Dr.スランプ』は、その幼児性、古き良き少年漫画を髣髴させる丸っこい
キャラクター、可愛くデザインされたメカ、ファッション性など、子どものみ
ならず、ファンとは別の一般大衆にアピールし、社会現象ともいうべきブーム
になった。1978年に200万部を超えた「少年ジャンプ」は『Dr.スランプ』
が連載された'80年の12月には300万部と急速に部数を伸ばしていたが、アニメ
人気は「少年ジャンプ」の部数をさらに飛躍させ『Dr.スランプ』の単行本
は初版350万部という状況となった。
 こうして、鳥山明は高額納税者番付にも名を連ねた。が、鳥山は金銭感覚に
乏しく、大金を手にした後も親から月に3、4万円のおこづかいを貰って生活
していたという。
『Dr.スランプ』=アラレちゃんブームはアニメ界を変えた。'70年代半ば
からオリジナル指向だったテレビアニメを再び漫画に向けさせることになった
のだ。また、年少者の存在をあらためて認識させた。以後、オリジナルアニメ
は減り、連載漫画のアニメ化が増えていく。
 「少年ジャンプ」は、その後『キン肉マン』『キャッツアイ』『キャプテン
翼』『北斗の拳』『聖闘士星矢』などをアニメ化、'85年1月400万部、'90年
末600万部と部数を伸ばすことになる。この「少年ジャンプ」独走のきっかけ
が『Dr.スランプ』だったといえよう。
 脚本の辻真先は「原作を承知の人には説明の要もないが、編中にウンチくん
が出てくる。テレビ局も心配だったようで、まずウンチくんそっくりにとぐろ
を巻いているヘビを出し、アラレにつんつくつんとつつかせた。それからいよ
いよウンチくん出番だ。担当プロデューサーは逃げてしまったが、果してその
晩フジテレビに、百本ばかり抗議の電話があったらしい。「汚い」「食事の時
間だぞ」「醜悪だ」云々。ふしぎだったのは、電話の主が圧倒的に男が多かっ
たとか。マンガに理解ある父親像を演じようとして、わが子といっしょに見た
ものの、プッツンしたのだろうと想像する。」と述べている。

 けっこう楽しんで見てたけど、この影響でオリジナルアニメが減ったという
のは嫌な感じ…。
                        21世紀まで、あと109日   高木志郎アオ