#210 Article 14803 Posted at 2000/07/06 06:58:56 by 高木志郎アオ (MAP3887) [TEZUKA]

Subject: Re:*15 1978 /14802 ..... /14789 /14787

手塚治虫は、後に虫プロ倒産の頃のことを回顧して「虫プロが倒産をして、
私はほとんど物質的にすっからかんになってしまったけれど、精神的に得たも
のは極めて大きかった。それまで自己中心的な世界に安住して、その視野から
しか世間をのぞけなかった私にとって、この試練は、あらゆる立場の人々のナ
マの人間像と接するという体験を与えてくれた。私のまわりの人たちだけでも、
そこに利害関係や信頼関係を含め、じつにさまざまな人間性をもっていること
を知った。依存していた人に見事に裏切られ、反対に、ほとんど無縁と思われ
ていた人が献身的に協力してくれたり、はげましてくれたりした。それらは私
の人生勉強の大きな糧となった」と書いている。
 そして、手塚は火の鳥のように復活した。

『火の鳥』(1978/8/12)火の鳥プロ、市川崑監督
 1967年「COM」(虫プロ商事)連載の『火の鳥・黎明編』の映画化。当初
は完全な実写映画の予定だったが火の鳥を特撮だけでは表現しきれないという
ことでセルアニメーションが合成された。アニメ部分は手塚治虫の総指揮で、
当時手塚プロで『森の伝説』を制作していたスタッフが制作を中断し、これに
あたった。
 市川崑による実写、中野昭慶の特撮、手塚治虫のアニメの3種の撮影方法を
巧みにマッチさせ、現実には存在しない火の鳥を、原作のイメージを壊さずに
スクリーン上に登場させた。

『100万年地球の旅バンダーブック』(1978/8/27NTV)手塚プロ
 日本テレビ開局25周年特番『24時間テレビ・愛は地球を救う』で放映された
スペシャルアニメ。日本初の2時間のアニメスペシャルでもある。ムズの変身
シーンには手塚のメタモルフォーゼへの想いが込められている。
 日曜午前という時間帯にも関わらず東京で24.7%の高視聴率を記録、好評の
ため翌年以降も同番組枠で製作されることになった。
 手塚は「この作品のテーマは、24時間TVの統一テーマである『愛は地球を
救う』にそって、なおぼく自身の考えを加えたものにしました。作品のなかで
ブラック・ジャックがいう『過去は変えられない。だが、未来は変えられる。
いまからでもな』といったセリフもその1つですし、全体に人間の欲望の恐ろ
しさ、自然環境破壊への批判、そしていつか人間が目ざめれば、美しい地球が
かえってくると訴えたつもりです。これは、雑誌のほうでも発表しつづけてい
るぼくの一貫したテーマなのです。」「ぼくの場合、自分で絵コンテからシナ
リオまでやらないと満足がいかないんです。で、『バンダー』でそれをやった
ら、放映2か月前になっても全体の10%も進行しない。青くなっちゃったです
ね。」と述べている。

 虫プロ倒産の後も、『ジェッターマルス』の原案、『おやゆび姫』のキャラ
デザインを担当したりしていた手塚先生ですが、ここで再びアニメを制作して
本格的にアニメの世界に復活しました。
『火の鳥』のアニメと実写の合成はちょっと違和感があったけど、『バンダー
ブック』は良くできていたと思います。
                        21世紀まで、あと179日   高木志郎アオ