#148 Article 22824 Posted at 1995/11/09 22:38:27 by サメくん (MAP5059) [JOHAN]
Subject: 希望のしらべ・・・
「希望のしらべ(その5)」 光の救世主として、マジカルレィディとなったジョアンに対するは、闇の姫、シャド ウプリンセス・メディアを始めとする5人の魔王『五方将』と、配下の魔族、魔人、魔 物達。 勇気の弓矢である、ビューティセレインアロー。 ジョアンの愛が誕生させた生命、不死鳥の『ぴぃすけ』が転じる聖炎の剣、ウィング クリス。 そして、ジョアンを護るために、ひいては世界そのものを護るために、僕が全身全霊 をこめて打ち上げた希望の盾、バードシールド。 光の『龍凰』、スィ・リーファ・フォルセティス様の想いを受けた3つの武器ととも に、ジョアンと僕達は“魔”との戦を戦い抜いたんだ。 無論、“魔”との戦いに勝利をおさめられたのは、この世界の人々全ての想いがあっ たから。 希望を捨てず、勇気を見失わず、愛を忘れない人々の心が力となって、マジカルレィ ディ・ジョアンに光を与えたんだ。 その光が、“魔”に捕らわれ、本当の心を失っていた魔族達も救った。 一度ならず、はかり知れぬ強敵として刃を交わした『五方将』も、心を取り戻してか らは、ともに“魔”と戦う戦士となってくれた。 いつしか、人々はジョアンや僕達と『五方将』の事を“愛と勇気と希望の聖戦士”と 呼ぶようになったよ。 もっとも、そうなってからも、メディアはジョアンと仲良くできなかったけど。 (ヒューリを巡る恋のトライアングルだなんて、後世の歴史家には想像も出来ないだろ うね)。 ふぇるみは、手の汗を拭いながら、なおも思い出をたどる。 もうすぐ夜明けだ。東の空が、真珠色に輝いている。 少年の瞳が、ふと哀しい輝きを帯びた。 ……でも、戦いは長く続き過ぎた。 戦ってるうちは、人々の心は戦いだけに向く。 それに、魔法使いの一族を中心にした新生反魔族軍として戦い、魔族との戦いに勝利 でき始めれば、気分は否応なしに高揚するよ。 だけど、戦が終ってしまえば、“魔”を北の魔島に封印してしまえば、人々は、よう やく回りの状況に気がつく。 荒れ果ててしまった、世界の様相に。 ジョアンを初代女王に戴き、正式に「魔法の国」として一つの国となったこの世界は、 でもやっぱり“夢の世界”なんだ。 人々の想いが、心が、世界を構成し、歴史をはた織る世界なんだ。 真なる“魔”を封印してからも、ますます世界は荒れ果てていった。 人々の不安、恐怖は絶えることなく、絶望のあまり、全てを投げ出す者さえいた。 世界は心の「鏡」。ひとたび深くついた傷は、いつまでも人々の心を責み続け、ます ます歪みの度を酷くしていく。 それは、いくらジョアン1世が祈っても、ヒューリが摂政として賢政をひいても止ま らない。治らない。 「だから、僕は……」 朝日がさしこむ瞬間に、ふぇるみは全ての想いと力と心を込めて、最後のひと打ちを 打ちこんだ。 透きとおった音色にも似た鳴き声が、朝靄の中を一声響き渡る……。 その5終り サメくん