#148 Article 21842 Posted at 1995/10/03 12:29:33 by DELTA (MAP5804) [STORY]

Subject: Re: しいねちゃんとチャチャの初体験 /21693

後半部分です。

   家に帰ってランドセルを置いてきたチャチャは、セラヴィ先生に見つからないよう、
  細心の注意を払って家を出ます。もちろんチャチャの事ですから「頭隠して尻隠さず」
  になっちゃってますね。「しいねちゃんと遊んでくるね~」とでも言って出た方が、よ
  ほど自然なのですが、この娘にそんな器用な演技を期待してはいけません。

   セラヴィ先生、チャチャの怪しげな素振りに気付いている筈なのに気付かない振り
  をして、黙ってチャチャを送りだします。
  「学校から帰ってからのチャチャの様子、どうも変ですねぇ?」
  「昨日しいねちゃんが音速を超えた、って学校で噂になってたわ。たぶんチャチャも真
  似してみるつもりじゃないかしら」
  「僕に止められると思った訳ですね。確かにちょっと危険ですが…まあたぶん大丈夫
  でしょう。要りそうな魔法は大体教えましたし」
  「教えたけど…ちゃんと覚えているかしら?」
  「どの道、チャチャの力じゃ超音速に必要な推進力は出せない筈です(^_^)」

   ところがぎっちょん、丁度その頃チャチャはあっさり超音速で飛んでいたのでした。
  「あははは~速い速ぁ~い!しいねちゃんみてみて~あたし一回でできたよ~」
  「ぼ…ぼくの昨日の苦労は一体何だったんだろう?(^_^;)」
   そうなんです。チャチャの魔法は精度はえらく低いけど、パワーでは師たるセラヴィ
  にもひけを取らず、むしろ潜在能力では勝っているのかもしれません。対セラヴィ戦
  や対ジェイション戦を思い出して下さい。気合さえ入っていれば精度も人並みには上
  がる様ですし。
  「それとね~今気付いたんだけどね~バリヤーをこういう形にすると~」
   そ…それはウェイヴライダー形状とかいふやつでわ?
  「…ほらね、力をちょっと入れとくだけで減速しないんだよ~知ってたぁ?」
   チャチャ、大声でしいねちゃんに向かって話していますが、衝撃波の壁の向こうには
  音波は届きません。
  「ねえ!しいねちゃん、きこえてる~?」
  「わあっ!!チャチャさん離れて離れて!衝撃波がほうきに当たったら…!」
   しいねちゃんが返事をしないのを見て、チャチャはしいねちゃんのほうきに並び寄
  ろうとしますが、しいねちゃんの必死の形相に気付いて距離を置きます。
  「ごめ~んしいねちゃん。そっか、音より速く飛んでるから、後ろにしか声は届かない
  んだね」
   …だから衝撃波面でかき消されるし、その後の気塊バリヤで遮音されるから、しいね
  ちゃんには聞こえないと思うんだけど…。
  (「あ゙~危なかった。チャチャさん衝撃波の怖さ教わってないのかな?それにしても、
  一回で音速を超えるなんて…ぼくもしかして、とんでもない女の娘を好きになっちゃ
  ったんだろうか?それとも単にぼくに才能が無いだけだったり……いや!そんな事は
  無い!やっこちゃんは急降下でないと超音速を出せないし、お師匠様だってセラヴィ
  さんを追いかけ回しているうちに出来る様になったっていうじゃないか。チャチャさ
  んが特別なんだ。やっぱし、あのジーニアス大王様の血を引いてるからだろうな…」)
  「しいねちゃ~ん!もうすぐ国境だよ~いぢめる満タンっていうのやって戻ろうよ~」
   今度はチャチャ、身振り手振りで伝えようとします。
  「チャチャさん…(^_^;)それはインメルマンターンですよ」
   聞こえてるぢゃないか。

  「(トボトボ..)まずい。まずいわ…(トボトボトボ..)しいねちゃんはともかく、このまま
  じゃチャチャにまで遅れを取ってしまうわ。(ピタッ!)そんな事になったら…セラヴィ
  様に合わす顔が無い~(;。;)」
  「私がどうかしましたかぁ?」
  「セ、セラヴィ様!何故このような所に!?(゚o゚)//」
  「ここは私の家の前ですが…やっこちゃんこそこんな所まで一人で来たんですか?」
  「あらぁ!私ったらいつの間に…実は、重大な悩み事を抱えて歩いていたんです。それ
  で、気が付いたらここに…」
  「悩み事?」
  「(ヒソヒソ)きっとアレの事ね」←エリザベスだよん
  「なあるほど、つまりやっこちゃんも超音速で飛んでみたいんですね?」
  「は、はいっ!チャチャに先を越されたくないんです!!」
   思わず本音が漏れるやっこちゃん。一瞬「あ、しまった!」という表情を見せますが、す
  ぐにガンバポーズを取って真剣な目でセラヴィを見上げます。
  「…そうですねぇ…参考になるかどうか判りませんが、僕が初めて超音速を出した時
  の事を話してあげましょう」
   第七天国に一気に登り詰めるやっこちゃん。バックに花なんか飛んでいます。

   ドシン!(場面転換。↓↓のシーンが落ちて来る)
   チャチャが気持ち良さそうに超音速巡航しています。遠景に並んでしいねちゃん。
   ズシン!

  「…と、いう訳なんです」
  「…あの、セラヴィ様…そのネタは以前にも…(^_^;)」
   セラヴィ家の食卓で、二人はお茶をすすっています。ふにゃ~と溶けるかガチガチに
  固まるか、と思われたやっこちゃん、このツッコミを見ると意外と冷静な様です。
  「だめよセラヴィ、やっこちゃんは真剣なのよ!」
  「そうでした(^_^)。さて、今でこそ高位魔道士なら誰でも出来る超音速飛行ですが、一
  昔前は絶対に不可能、とされていましたね。呪文によってマナの流れを操作する、とい
  う古い魔法理論から見れば、声が届くより先の空間に魔力を作用させる為には時間操
  作魔法を同時に使わねばならず、精神集中がそれて、ほうきの浮遊力を維持する事も
  超音速に必要な推進力を出す事も出来なくなる、というのがその理由です」
   セラヴィ先生、チャチャ相手では絶対にしないであろう高度な講義をしてますね。そ
  れを感じ取ったのか、やっこちゃんすごく真面目な表情をしています。
  「ええ、私も急降下でしか音速を超えられないし…」
  「音速を超えた状態で引き起こして水平飛行に持っていけませんか?」
  「旋回すると速度を失って、また亜音速に戻っちゃうんです。それに…引き起こす時の
  +Gで、ほうきが…ゴニョゴニョ…に当たって…」
   おやおや、真っ赤になって縮んじゃいましたね。聞かれてない事まで喋っちゃって、
  やっこちゃん少し後悔しているようです。
  「(さらっと)まあ、僕は男だから痛いだけですが。実際、どろしーちゃんに旋回で追い
  つかれかけた事も有りましたし。」
  「それで超音速で逃げるようになったのよね、セラヴィ?」
  「あのひとから逃げるため?」(やっこちゃんって、どろしーちゃんの事を何て呼ぶ
                           んだろ?セラヴィの前で呼び捨てにはしないと思うけど)
  「うまが合わないんでしょうかね。僕にその気は無いんですが、どうも怒らせてばかり
  いるようなんです(;_;)。おっと、超音速を出せる様になった時の話でしたね。実は…
  やってみたら出来たんです。(^_^)」
   おいおい、今までの魔法講義は何だったんだ?やっこちゃんも派手にコケる訳にもい
  かず、「あ゙ら゙(^_^;)」と言うだけでこらえています。
  「その頃どろしーちゃんも亜音速を出すようになってきてましたからね。まあ追いつ
  かれる事はありませんでしたが、攻撃魔法の射程内で逃げ回る日々が続いてました」
  「実際、厳しい戦いだったわ(~~)(__)トホヒメデコックリ」
  「戦場(?)での直線飛行は危険でしたが…"もっと速く飛びたい"と強く念じて気合を
  入れたら、邪魔をしていた空気の壁がスッと軽くなったんです」
  「それはセラヴィ様の強力な魔力があったからこそ…あたしには無理ですわ」
  「確かに始めの頃は力任せに音速を超えていましたが、バリヤの形を工夫してみたら、
  思ったより少ない力でやれる事が判ったのです。それは丁度、こんな形です」
  「糸巻き…?でもこれではかえって抵抗が大きいのでは?」
  「亜音速より遅ければそうです。しかし、空気の壁を切り裂いて進むにはこれしかあり
  ません。あとは推進力ですが…まあ二人乗りでそれなりの速度で飛べるのなら、空気
  の薄い高空まで上がってみて下さい。何とか超音速が出せるはずです」
   しばらくの沈黙の後、やっこちゃんがつぶやきます。
  「…できるかしら…?もう一回…やってみようかな…?」
  「やっこちゃん、魔法で一番大切なのは、自分の力を信じる事です」
  「早い話が気合よ、き・あ・い」
  「…ありがとうございます、セラヴィ様。あたし、やります。やってみせます!」
   ちょっと前まで不安げでしょぼくれた顔をしていたやっこちゃん、今は見違える様
  に輝いています。恋しい人の前では、こんなに単純で素直で純粋なんですね。長年の夢
  だった「セラヴィの妹子」というのも、ちょっとだけ叶いましたし。

   チャチャだと眠ってしまうし、ましてどろしーちゃんと出来る筈も無い魔法講義が
  出来て嬉しかったのか、セラヴィはやっこちゃんの為にドアを開けてあげます。
  「さあ、理論は終わりです。後は実践あるのみ」
  「難しく考えない方がいいわ。意外と何とかなるものよ」
  「はい!それでは、いってまいります」
  *POM*っとほうきを出して飛んでいこうとするやっこちゃんを止めるように、
  「やっこちゃん、
  **************************
  *いつまでもチャチャのいいライバルでいてくださいね*
  **************************
  」      ↑↑やっこちゃんの視界では、バックに花が飛んでます。繰り返しギャグね。
  「は…はい!がんばります!!(*^o^*)」
   やっこちゃん、文字通り天にも登るような気持ちで空に向かって急上昇していきま
  す。(しかし、その晩ベッドに入ってからセラヴィの言葉の別の一面…チャチャ以外の
  妹子を取るつもりは無いという事…に気付き、枕を濡らすのでありました)

     MAP5804  次Artでエピローグ&オチです  DELTA_WAVE