#13 Article 9098 Posted at 1994/11/25 08:54:03 by 西形きみかず (MAP3788) [CONSTIT.]
Subject: Re: Re: 読売の「改憲試案」について /9093 /9082
TOSHI さん、どうも。
参考になさった同人誌は『技術新報 評論特集版』ですよね? 私も入手しておりま
す(笑)。
しかしあれを書いた彼は、私が「湾岸戦争こそ、軍事面におけるエポックメーキング
となった」主張したのに対して、何の反論もしていないと思うんです。
その後の議論の展開も含めて私の持論を展開しますと。
私はこれまでの近代戦を「大量動員」型(私はモダニズム型と名付けました)と位置
づけました。そしてこれには徴兵制が必要とされる、と書きました。
しかし今後の戦争は湾岸戦争型の「圧倒的なハイテク軍事力によってあっという間に
勝負がついてしまう戦争」か、もしくはLIC(低強度戦争)以外に存在し得ないと
考えています。双方とも高度な専門技術、軍事教育が必要とされる、つまり徴兵制を
必要としないタイプの戦争でしょう。
彼はもっと具体的に「二線級兵力が必要だ。それはクラウゼウィッツやリデル・ハー
トに書かれている」というのですが、湾岸戦争型戦争もLICも、二線級兵力を必要
としませんよね?
戦争の位相において、そういう根本的変化が発生していると思うのです。
こういう戦争形態をとるようになったのは、やはりベトナムやアフガニスタンの経験
が大きいと思います。つまり、二線級兵力を投入するような「泥沼化する」戦争、人
民戦争となる戦争は、総力戦の一形態としてゲリラ戦が充分に効率的だという認識が
広がったゆえに、至上命題として避けられるわけです。
だからこそ、湾岸戦争では「連合軍」(多国籍軍の呼称はウソだと思います)はバグダ
ッドやバスラに侵攻しなかったのでしょうし、同じ理由で旧ユーゴにも本格的な地上
軍の介入がなされない…と私は考えています。
(かの同人誌の作成者は電話口で私がそう話したところ、それ以上に論を進めません
でした。確か、突然に話題を変えてしまったと思う)
ちなみに徴兵制の軍事的有効性についてですが、私は1960年代までは有効であったと
考えています。それを崩壊させたのがベトナムであり、アフガンである。
あと徴兵制を新規に採用した国は、いわゆる先進国(何が先進国か、という議論はさ
ておき)では1956年(?)の西ドイツが最後ですね。これも示唆的です。
軍事の古典が無効になったわけではもちろん、ありません。しかしクラウゼウィッツ
のいうように「戦争は政治の延長」(外交の延長、でしたっけ?)であるならば、無効
であることが判明している策は採用されないと思うのですが、どうでしょう? その
意味で同誌の作成者は読みが甘い…と、いつもいつも指弾してたら、嫌われてしまい
ました(笑)。デモ カレハ ヤッパリ アマイ ト オモウ
やや単純な論ではありますが、それは「徴兵制は政治的選択のオプションである」と
いう論にも共通することだと思うのですが、如何でしょう?
私が今、聞きたいのは「徴兵制の危機、徴兵制の危機!」とお題目のように唱えてき
た市民団体(作成者の彼もその一員のようなものです)が、読売改憲試案の「徴兵制
禁止」規定に対して、どのような有効な反論を持ちえているのか…です。
つまり「徴兵制」というデマゴギーを軍事に対する真剣な考察を欠いたまま感情的に
振り回し続けた結果、そういう体制側(笑)の新たな攻勢に対処しえなくなっているじ
ゃないか、責任をとれ! といいたい訳です。デマゴギーで構築された論は、いざと
いう時に弱いですから。
(そしてそれは、自分の過去に対する反省でもあるわけですね。でもこういう私は、
左翼勢力の中ではかなりの異端者ですな…同じ理由で無自覚な「戦後民主主義」者
も嫌いだし)
再反論お待ちしています。
西形 公一
*LICについては、確か中公新書に本があったと記憶しています。