#74 Article 17259 Posted at 1998/09/06 19:41:26 by 夏のこたつ (MAP2513) [PS]

Subject: 蒼天の白き神の座

発売からしばらく経ってPLAYする機会があったのですが、
これほど出来の良いゲームだとは思いませんでした。

 登山のシミュレーションゲームという比較的珍しいジャンルですが、
非常なこだわりを持って製作されています。正直これほどとは思って
いなかったのでかなり驚きました。

 設定としては、カラコルム共和国という鎖国政策を続けてきた架空の国家に、
未踏峰の7000~8000m級の高峰が5つ存在し、最高峰K-0(8955m)を含む登山に
挑戦できるというものです。内容的には架空ながら、その設定部分を除けば
比較的現実的(というか、私も登山をよく知らないので、正確に言えば
現実感を感じさせる、というもの)です。役割は隊長で、ベースキャンプから
隊編成、行動の指示などを行い、作戦を連年繰り返し、隊員の成長とアワードの
獲得を目指す、どちらかというとパソコンなどで発売されるようなタイプの
精密系シミュレーションですが、ゲームバランスの良さか、扱いやすいものに
なっています。ただ、実際に登頂するのはかなり困難で、敷居は低いが難易度は
それなり、というところです。(コツをつかめばきちんと進められます)

 高度障害、落石。雪崩、凍傷・・・・・実にシビア。
普段何でもないキャンプ間の移動が、悪天候では全くままならず、
動けなくなった隊から無線で隊員が亡くなる連絡を受ける、
危険と隣り合わせの世界の描写がなかなか秀逸です。
私は思わずリセットしてしまいますが(^_^;)

 このゲーム、登山家の意見も求めて制作されたのですが、前記のゲームの
シビアな描写もさりながら、実際ゲーム制作に協力いただいた登山家の方が、
本当に雪崩に飲み込まれて去年亡くなっているとのこと。タイトル画面を
しばらくほっとくと、弔文が出てくるあたり洒落になってません。
ちなみにSCEで、隊長としての特典を競う「カムコルス杯」が開催されて
いたらしいけど、これがIMAS(国際登山連合)協賛というものらしい。
ゲーム付属の登山関連用語のデータベースとあわせ、何をこんなに頑張って
やっていたのか、と驚き。

 しかし思うに、ゲーム雑誌でそれほど大きく取り上げられなかったのは
非常に残念と言わざるを得ません。SCEブランドのソフトにしばしば見られる
洗練された格好いい雰囲気に仕上がっており、敷居は低く奥は深い。対照に対する
思い入れというものも感じられます。ジャンルこそ違えど、「グランツーリスモ」
に似たような部分も感じられます。私にしてもたまたまPLAYの機会が
あったから良かったものの、このような秀作を見逃すところでした。
一般性が低いからといって扱わないのはジャーナリズムの本来のあり方では
ないよね。これはゲーム業界が大きく見ればまだまだ未熟だからで、これが
映画とか何かであれば、作品性という次元で語るメディアもいろいろと
あるのだろうけど・・・・・・
このゲームで登山というものに興味を持つ人も必ず出てくるだろうと思わせる
内容であるだけに、広く知られないのは残念です。

	MAP2513		夏のこたつ