#70 Article 6105 Posted at 1997/09/09 05:48:07 by みりす (MAP6909) [PORINFANO]
Subject: Re: 読書日記です(児童文学とファンタジー中心) /6003
「覆面作家の夢の家」北村薫(創現社) 外弁慶のお嬢様で推理小説家の「覆面作家」さんが一風変わった 謎をとくシリーズ。第何作目だっけ?マルハナバチが気温の変化で 動かなくなる性質を利用した未必の故意的殺人をはじめ、殺人現場 を再現した人形の家に託した恋の告白などの中編集。 分類から言えば児童小説じゃないし、推理小説なのでファンタジ ーと言うわけじゃないんだけど、このくらいなら中学生くらいから 読めるだろうなってことで。 それに、けた外れの大富豪のお嬢様が主人公で、しかもこのお嬢 様、家では箱入りで奥ゆかしく恥ずかしそうにお話なさるお姫様で あらせられるのに、一歩家の外へ出るといきなり性格変わって男の 子みたいになっちゃうとくれば、これはもう、推理小説の形を借り たファンタジーと言っても過言じゃないぞ(かなりこじつけ)。 北村薫って人は確かに推理作家なんだけど、推理部分はもちろん のこと、趣味の描写がめちゃくちゃ面白い。マルハナバチの愛らし さに見せられた蜂ファンの話を読んでいると、思わず蜂ファンにな ってしまいそうになるし、人形サイズの小さな家「ドールハウス」 作りのエピソードを読めば、これまたドールハウス職人になりたく なっちゃうのであります。 その上、この人の作品には不思議な優しさが漂っていて、滅多に 人が死なないのにちゃんと推理小説になっていたり、たまーに本物 の殺人事件がおこっても、推理のためにただ事件だけ起こるんじゃ ないんです(うまくせつめいできなひ)。 もとが学校の国語の先生らしくて、作品に漂うどこか浮き世離れ した風雅さはその辺に理由があるのかな。 もしかすると、推理小説をたくさん読んでる人にはものたりない 感じの作家なのかもしれません。でも、普段は推理ものをほとんど 読まないわたしは、北村薫だけは愛読してます。むしろ、推理もの が苦手な人にむいてる作家なのかも。 みりす