#70 Article 6094 Posted at 1997/09/05 19:59:32 by みりす (MAP6909) [PORINFANO]

Subject: Re: 読書日記です(児童文学とファンタジー中心) /6003

コロボックル物語5「小さな国のつづきの話」
				佐藤さとる/作 村上勉/絵(講談社)

	 コロボックルシリーズ第5作目。短編「へんな子」を長編に書き
	直したもの。4作目の「ふしぎな目をした男の子」同様、短編を水
	増しして書いたんじゃなく、長編を書くための覚え書きとして短編
	にまとめてあったらしい。1作目発表から24年後の1983年に
	やっと出たシリーズ完結編。
	 ちなみに、紫の髪の小人が出てくる話はこれ。

	 高校を出てすぐに図書館職員になった杉岡正子はセイタカさんの
	娘オチャメさんの親友だった。正子は感情をあまり表に出さない性
	格で、みんなから「へんな子」と呼ばれている。
	 一方コロボックルの女の子ツクシンボは、女の子でありながら冒
	険心にあふれ、いずれは自分の力で世界旅行をして旅行記を書こう
	と思っているコロボックルとしては一風変わった子。そんな「へん
	な子」どうしがある時トモダチの出会いをする。

	 このシリーズもやっと完結……といっても、この後に別巻がもう
	1冊あるんですけどね。それはコロボックル世界に伝わる昔話集な
	ので、本編とは離れた物語ということで別巻扱いです。
	 図書館職員の正子が主人公ということで、今回は登場人物が佐藤
	さとるのコロボックルシリーズを作中で読むという暴挙(?)に出
	るのですが、緻密な設定の上で物語を作り上げた作者の筆にかかっ
	て少しの違和感もなく物語は進みます。
	 本当のことなんだけど、作り話のようにまとめて出版する。これ
	を読んだ人の大半は、ただの作り話だと思うだろうけれど、その中
	に将来コロボックルのトモダチになる人が現れるかもしれない……
	実はこのシリーズはそういう陰謀(?)のもとに世に送り出された
	物語だったのですね(笑)すると、セイタカさんやオチビ先生、ふし
	ぎな目をしたタケル君、そして正子が、コロボックルとどう出会い、
	どう対処したかを良く覚えておけば、わたしたちもいつか小人さん
	のトモダチになれるかもしれない??!
	 5作目にして自分をも創作の登場人物にしてしまった作者は、こ
	うして読者をも創作世界に引きずりこんでしまいました。みなさん、
	小人さんに出会っても慌てないように、心の準備をしておきましょ
	う(笑)

	 ところで、1作目ではセイタカさんとオチビ先生との爽やかな青
	春の恋愛ドラマをも描いて見せてくれた作者ですが、5作目ではオ
	チャメさんの引き合わせで正子とオチャ公があやしい感じになりま
	す。うーん、こう都合よくコロボックルのトモダチどうしがくっつ
	いてしまうのも、ちょっと興ざめかなーとも思うんですが、まあ、
	作品の面白さを損なうってほどじゃないからよしっ。
	 それよりも、話が前後しすぎるのが小さい子には読みにくいんじ
	ゃないかと思うんだけど……どうなのかな(わしゃあ、これが発表
	された頃はお子様という年齢ではなかったからのう)。

みりす

	★平安時代に編纂された「日本霊異記」という奇妙譚集にはチイサ
	  コベのスガルと呼ばれる小さい人が天皇に仕えていたという記録
	  がある。ある日天皇が奥さんとエッチしてるところへチイサコベ
	  が入ってしまったので
	 「恥ずかしいぢゃないかっ。でも雷を捕まえてきたら許してやる」
	 と叱られてしまった。
	 チイサコベは知恵をめぐらして見事雷様を捉えて献上。おかげで
	  ますます天皇陛下のお気に入りになったという。また、チイサコ
	  ベが死んで建てられた墓にある日落雷して、雷さんが墓標の裂け
	  目にひっかかって抜けなくなった。これを見た天皇は、チイサコ
	  ベの墓標に「生きている時に雷を捉え、死んでも雷を捉えた」と
	  書き加えたという。
		    ……全世界こびとさん友の会会報・R指定特集号より