#70 Article 6019 Posted at 1997/08/24 12:22:35 by みりす (MAP6909) [PORINFANO]
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「親子ネズミの旅」ラッセル・ホーバン作(評論社) サンリオの古いアニメ映画「親子ネズミの不思議な旅」の原作本 です。翻訳者の後書きによれば挿し絵は作者の前の奥さんが描いた ものだそうで、みたところアニメのキャラクターデザインもこの挿 し絵がもとになっているみたい。 ゼンマイ仕掛の親子ネズミはクリスマスにツリーのまわりに置か れる飾りとしてある家に買われて来ましたが、ある日こわれて捨て られてしまいました。ゴミ捨て場で転がっているところを手先の器 用なホームレスのおじさんに拾われて修理してもらい、ネジをまか れて道に放たれます。 ゼンマイがゆるめば止まってしまう運命の親子ネズミですが、悪 意を持って近づいてくるドブネズミや、自分の運命を親子ネズミに かけてみようとするカエルなどにネジを巻いてもらいながら、おも ちゃ屋時代に知り合ったゼンマイ仕掛のゾウやアシカを探して旅を 続けるのでした。 わたしはこの本を小学6年の時に読んで感想文まで書いてるんで すけど、今考えると「げ、わたしってこんな小難しい本読んでたわ け?!」って感じです。全体に理屈っぽくて今はじめて読んだとし たら途中で放り出していたかも……アニメを見てから読んだので当 時は抵抗なかったんでしょうね。 けれど、理屈っぽいなあといいながら読んだ今のほうが、ずっと この物語を好きになったような気がします。小学生のわたしは完璧 にアニメの影響で、他人が「こういう風に感動すればいいんだよ」 と教えられた通りに感動してたわけですが、大人になった今なら親 子ネズミが探し続けていたゾウやアシカ、そして「なわばり」の意 味がもっと切実にわかるような気がする。 これは、なわばりを与えられている子供にではなく、自分のなわ ばりを探し求めている大人のための童話なのかもしれません。 親子ネズミたちは自分のゼンマイを自動巻きにするために長い繰 り返しのみじめな労働を強いられます。けれど、おもちゃ屋の店先 で夢見たことを半ばあきらめながらも求め続けたことで、ひとりで にゼンマイが巻かれる仕掛よりもずっとすばらしいものを手に入れ るのでした。 その努力は「希望を捨てなければ必ず幸せになれる」なんて陳腐 なフレーズでは言い表せないような静かな悲しみに満ちていて、す べてが良いところに落ちつくハッピーエンドの結末に、なんともい えない厚みと力強さを与えているみたいです。 ちなみに、今こうして原作を読み返してみて、サンリオのアニメ 映画「親子ネズミの不思議な旅」がめちゃくちゃ良くできたアニメ だったような気がしてきました。ああ、もう一度見たいなあ。 みりす