#70 Article 3901 Posted at 1994/11/12 22:19:02 by 灰原達之 (MAP3252) [ROBOT]

Subject: プロジェクト・ゼロ

みなさんお薦めの「ヴァーチャルガール」は、現在書店に注文中で、まだ読んで
いません。よって、女性型ロボットものが好きな人に絶対お薦めの本を僕の知って
る中から紹介致します。

題名    プロジェクト・ゼロ
著者    石川英輔
発行    早川書房

 既に文庫化されてますので、値段もかなり安くなっています。
 この本のテーマは、ずばり、”セクソロイド”です。美少女漫画とか短編SFな
んかでは、散々使われたネタですが、セクソロイドは既に開発され、社会に定着し
ているという設定のものが多いです。製作する話も、この本以外では、マッドサイ
エンティストが個人的に作ってどうこうという話しか読んだことがありません。こ
の本は、近未来の日本で、民間企業が次期主力商品としてセクソロイドを開発した
らどうなるか、というテーマに真正面から挑んでいます。
 著者の石川英輔は製版会社を経営している人で、そのせいか企業内の組織の描写
が得意らしくて、会社づとめしたことのない私にも、開発責任者にさせられた主人
公の立場が妙にリアルに感じられます。また、女性解放が進んで男女が簡単に性交
渉を持てる世の中で、なぜロボットの娼婦が必要かということも、市場調査の一環
として綿密に論証されていまして、おもしろいです。
 結局、身体を作ること自体は日本のサイバネティクス技術を持ってすれば簡単な
のですが、それに「心」をどう組込むか、これに主人公は苦悩します。優秀な女性
プログラマーをもってしても、元ネタとなる性体験のバリエーションには限りがあ
り、しかも、たまたま彼女と愛人関係にあったために、試作品とセックスしてみた
ら、プログラマーとのセックスと似たようなことしかできなかったという、笑える
エピソードもあります。
 もちろん、こんなユニークな商品を作ったら、政府が行政指導で首を突っ込んで
くるのも当然で、日本初の女性首相(土井たか子がモデルらしい)に、セクソロイ
ド販売をどう認めさせるかもなかなかおもしろいところです。

 ホンダとソニーを足して2で割ったような産業用ロボットメーカー「アマノ技研」
が、いかにして世界初の実用セクソロイドを開発するか、セクソロイドネタが好き
な人には、ぜひ読んでほしい本です。