#7 Article 437 Posted at 1989/01/27 00:48:59 by オータム (MAP799) [AKKO]
Subject: 小説アッコちゃん第9話
「アッコ」>第9話「ドラの悩みごと?」オータム
小説アッコちゃん第9話「ドラの悩みごと?」
おれはドラっていうネコだ。
おれのすみかは赤塚工務店とかいうところなんだが、おれのご主人様はそ
この次男坊の少将さまだ。
おれは、いつでも、少将さまを背中にのせて、町中をあるいている。
実は、最近、その少将さまがどうもおかしいのだ。
ことの始まりは、公園で変な高校生のカップルに出会ったときだ。
女の方は、大きなふろしき包を抱えていて、男の方はやけに太っていたの
だ。
二人は、芝生の上に座った。
そして、おしゃべりをはじめた。
「今日はおむすび、いっぱい作ってきたのよ」女が言った。
「わーい、まこちゃんだーい好き!男はニコニコと言った。
「ああん、にくまるくんたら」女はいやいやするように体を左右に振った。
そして、男は、大きなふろしき包いっぱいのおむすびを、30秒とかから
ず平らげてしまった。
少将さまはその一部始終を、なんだか熱っぽい視線でみていたのだ。
そのカップルが立ち去った後、少将さまはぽつりと言った。
「あんなきれいなおねえしゃまと仲良くしたいでしゅ」
そして、ものすごい真剣な表情で、言ったのだ。
「それには、まず、あの肉ダルマのようにたくさん食べることでしゅ!」
おれは、とめようとした。しかし、猫の言葉は人間にはつうようしねえ。
少将さまは、その日から普段よりもたくさん食事をなさるようになった。
少将さまはどんどん重くなっていった。しかしおれは耐えた。おれは少将
さまを守らなければならないのだ。
ある日、公園で少将さまは腹痛をおこした。おれにはどうすることもでき
なかった。
だが、そこに、大人の女が通りかかった。
「これ、いったいどうしたのじゃ」
おれは、その女の前に立ちはだかって牙を剥いてみせた。
「安心せい、わしは隣町の高校で校医をしているものじゃ」
おれは、警戒しながらも女に少将さまを見せた。
少将さまは、その女を見ると、飛び上がってしゃんと立った。どうしてそ
うなったのかは、おれにはわからない。
「どうしたのじゃ、ぼうず」女は言った。
「お、おなかがおかしかったんでしゅ。で、でも、きっと、いつも食べる
分の御飯をまだ食べてないからでしゅ」
そりゃあ、その通りだが、少将さまは朝からお腹がこわして食べてないの
だ。
「そうか、ではラーメンでもおごってやろう。ついてくるがいい」女は言っ
た。
少将さまは女にとことこと着いて行く。おれは、せいいっぱい少将さまに
警告した。しかし、少将さまはおれの声など聞いていなかった。
中華料理屋に入った少将さまと女を、おれはい入口の隙間から見守った。
「うむ、ラーメン大盛りとぎょうざを2人前ずつ頼む」女が注文した。
そして、すぐに少将さまに向かって言った。「して、おぬしは何を頼む?」
「へっ?」少将さまはびっくりした。
「安心せい、わしのおごりじゃ」女は言った。
おれは思った。こいつは、化物か。「ラーメン大盛りとぎょうざを2人前
ずつ」を一人で食う気のようだ。
少将さまの顔が悩んで苦しそうだった。
そして、決心したように少将さまは言った。
「ラーメン大盛り3人前でしゅ!」
「おお、男の子はそうでなくてはいかんぞ」女は言った。
少将さまはラーメンの2杯目の途中で伸びてしまった。
それに引き換え、女の方はと言うと、自分で注文したもの全部をあっとい
う間に平らげて、しかも少将が注文して食べられなかった3杯目のラーメン
も一気に食べてしまった。おれは、化物に違いないと信じた。
そうとなったら、少将さまを化物のそばに置いておくわけには行かない。
おれは、店の中に突入して、少将さまを口に加えると、全速力で逃げだし
た。
少将さまを無事に家に届けると、おれはひとり考え込んだ。
おれは、ノラネコの生まれで、学も血統もない。だから、難しいことは考
えられない。でも、少将さまはこのままではだめだ。
誰かに相談しよう、そう思うと、愛しいあの仔の顔が思い浮かんだ。あい
つなら、血統もいいし、育ちもいい。きっと、どうしたらいいか、教えてく
れるはずだ。
シッポナ。
おれは、シッポナの家に走った。
シッポナはいい育ちの癖に、妙に優しいところがある。それで、ときどき、
シッポナの優しい言葉に涙することがある。
その日も、シッポナは、おれのようなドラネコの話をちゃんと聞いてくれ
た。
「それなら、わたしよりも、ずっと頼りになる人(ネコ)がいるわ」話を聞き
終わるとシッポナは言った。
「そりゃ、だれだ?」
「ほら、覚えてるでしょう? カーニバルの夜にクイーンになったプチアッ
コよ」
「ああ、あの人(ネコ)か」おれはそいつのことを思いだした。「でも、あん
な頼りなさそうな人(ネコ)で大丈夫か?」
「まかせなさいって」シッポナは、優しくうなずいた。
「しっぽなぁ。すまねーな」おれの声は、涙声になった。
「いいのよ。それじゃあ、公園で待っててね。プチアッコを連れて来るわ」
シッポナは、ぴょんと飛び出して走っていった。
おれは、とぼとぼと公園に向かった。
頭に浮かんでくるのは、優しいシッポナの顔ばかり。それを振り払って、
少将さまのことを考える。
でも、やっぱり……。
おとこはつれえもんだ。
おしまい
★解説
----------------------------------------------------------------------
物語は、このあと、アニメの第9話の最初のシーンに続きます。
なお、今回はアッコちゃんが登場しませんが、アッコちゃんのファンの人、
許して下さいね。サブタイトルを見たら、どうしてもドラのお話にしたくなっ
たんです。でも、ちゃんと、ヒロインがいるんだから、それで許して。(猫
のヒロインでは許せない?)
一応、主要ゲストの名前だけフォローしておきます。それで、出典は分か
ると思います。
「まこちゃん」=「霧賀魔子」
「にくまるくん」=「猿飛肉丸」
「隣町の高校」=「友引高校」
「そこで校医をしている女」=「サクラ」
それでは、ラミパスラミパスルルルルルー。
SVD85360/オータム