#7 Article 390 Posted at 1988/12/24 16:04:29 by オータム (MAP799) [AKKO]

Subject: 小説アッコちゃん第8話

小説アッコちゃん第8話「潜入!エリート幼稚園」

 アッコちゃんのパパがエリート幼稚園を取材することになりました。アッ
コちゃんは、その幼稚園をこっそりのぞきに行きました。
 すると。
 へいを越えて、男の子が逃げだそうとしていました。
 「待ちなさい、あきらくん」女の人の声が、男の子を追いかけています。
 どうしたのかしら、アッコちゃんがそう思う間もなく、男の子はアッコちゃ
んに「助けて!」と叫びました。
 男の子は、アッコちゃんの前を全速力で通り過ぎました。
 そして、追いかけている女の人も。
 その瞬間、アッコちゃんはスラリとした足を差しだしました。
 女の人はどたっと地面に倒れました。
 アッコちゃんは、あっけにとられている男の子の手を引っ張りました。
「はやく、逃げるのよ!」
 男の子は、アッコちゃんの顔を見て、おおきくうなずきました。

 やっと追手をまいて、二人は空き地の土管の中に身を潜めていました。
 「ぼくは、あきらっていうんだ」男の子が言いました。
 「わたしは、アッコよ。ねえ、どうして幼稚園を脱走したの?」
 「ちがうよ。あそこは幼稚園なんかじゃないんだ。超能力の研究所だった
んだ」
 「超能力って、なに?」アッコちゃんは首をかしげました。
 「こういうのさ」男の子は手を前に差し出して「ちんからほい」と唱えま
した。
 すると、アッコちゃんのスカートがめくれていくではありませんか。
 「わかったわ、わかったからもうやめて」アッコちゃんはスカートを押さ
えながら叫びました。
 「やめるよ」男の子は手を降ろしました。
 短い時間、土管の中に静寂が訪れました。
 「ぼくは、1988年7月16日に超能力を暴走させて、東京を壊滅させ
てしまうはずだったんだ」男の子は、ぽつりと言いました。
 「なんですって!?」
 「それを、予知能力で知ってしまったので、東京が壊滅しないように自分
で力をセーブしたんだ」
 「そう、それはよかったわ」
 「でも、それで追われてるんだ」男の子は頭を抱えました。
 「どういうことなの? 壊滅しないようにしたんでしょ?」アッコちゃん
は不思議そうに言いました。
 「東京が壊滅したら、政府は戒厳令をしいて、どさくさに紛れて憲法を改
正して自衛隊を国防軍に昇格させるつもりでいたんだ。そして、東京の復興
を理由に増税と経済の統制を行なって日本全体への支配権を完全なものとす
るつもりだったんだ。それに、東京を復興するとなると、建設業者が儲るし、
それ以外の製造業も儲る」
 「それじゃあ、その人達は、東京を壊滅させて儲けるつもりだったの?」
 「そうだ。それだけじゃない。東京の壊滅の理由は、某国の新型爆弾だと
言うことにして、それを機会に、国際世論に訴えて、世界的な平和を約束す
る国際安保条約を日本が国連で提唱するんだ。それが実現すれば、大きな軍
事力を持つ大国を押さえ、日本が世界のリーダーになり、パクス・ジャポニ
カが実現するんだ。もちろん、それによって日本は更に儲っていくんだ。そ
れだけのことが出来るんなら、東京が1回壊滅するぐらい大したことではな
い、そう思ってるんだ」
 「そんな、ひどい」
 「そうさ、東京が壊滅すれば、数百万の人が死ぬ。それでも、儲けを優先
させるのさ」男の子は言い放ちました。
 「わたしも、許せないわ」アッコちゃんは、すっくと立ち上がろうとして
頭をぶつけました。「いたーい」
 「だめだよ」男の子は言いました。「君はまだ弱い子供だ。君がいくら頑
張っても、やつらにかないっこない。だから、待つんだ。大人になって、戦
えるだけの力がつくまで」
 アッコちゃんは小さくうなずきました。
 「いいね、命を無駄にしてはいけないよ」男の子は言いました。
 「でも、あなたはどうするの?」
 「ぼくは、宇宙へいく」男の子は土管の天井を見上げながら言いました。
「感じるんだ。仲間が宇宙にいるのを」
 「私達を見捨てちゃうの?」
 「そうじゃないさ」男の子は言いました。「ぼくも、時を待つのさ」
 「あなた、幼稚園児のくせに、大人みたいなばかり言うのね」アッコちゃ
んは言いました。
 「でも、大人じゃない」男の子は言いました。「もう、いかなくちゃ。感
じるんだ」
 「ねえ、キスして」アッコちゃんは言いました。
 「だめだよ。ぼくたち、まだ、子供なんだ」男の子はそう言いながら土管
から這い出しました。
 「さようなら、アッコちゃん、楽しかったよ」男の子はそう言いながら、
土管の中のアッコちゃんに投げキッスを送りました。
 「待って!」
 アッコちゃんが、土管から這い出したとき、男の子はどこにもいませんで
した。
 「あきらくん……」
 アッコちゃんは、いちばん星の光る夕闇そらを見上げながら、小さなため
息をつきました。

                                                        おしまい

★解説
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 実は、交響組曲アキラは私の愛聴盤だったりするのです。芸能山城組のサ
ウンドは、やはりすごい!
 なぜかアキラは読売ランドの試写会で見ました。主題歌を歌っていると自
称する変なロックバンドが、試写の前に演奏をしたのですが、これがとてつ
もなく下手。しかも、それを強烈なアンプとスピーカーでガンガンやるので、
ほとんどの観客は逃げだしていました。聞いていたのは、そのバンドのファ
ンと、一人で来ていて他に行き場の無かった寂しいアニメファンだけです。
 それから、最初のシーンで、音が出なくて、あわててフィルムを戻して再
上映したら、冒頭シーンは無音だった!という愚かな事件もありました。
 これでは、ぜんぜん解説になってませんね。

 それでは、ラミパスラミパスルルルルルー。
                     SVD85360/オータム