#7 Article 382 Posted at 1988/12/17 01:28:40 by オータム (MAP799) [AKKO]

Subject: 小説アッコちゃん第6話

小説アッコちゃん第6話「五代先生の婚約者!?」

 ある日、お使いから帰る途中のことでした。
 アッコちゃんは、ちょうどクラスに来ていた教生の先生を見かけました。
 実は、その教生の先生に、アッコちゃんはあこがれていました。
 アッコちゃんは、先生に声を掛けようとしました。
 でも、先生のとなりに、髪の長い女の人がいるのに気が付きました。
 「先生の恋人かしら」アッコちゃんは、こっそりとあとをつけました。
 公園のベンチで、先生と女の人は話を始めました。
 「五代さん、それでおりいったお願いって何ですの?」女の人が言いまし
た。
 「あ、あの、管理人さん」先生は照れ臭そうに、どもっています。
 「はい」
 「じ、実は、今度の日曜日に、田舎からばあちゃんが出て来るんです」
 「まあ、おばあさまが」
 「そ、それで、もう婚約者がいるいるっている嘘の手紙をずっと前に出し
たのを憶えていて、婚約者にあわせろっていうんです」
 「はあ」
 「それで、1日でいいんです」先生はぐいと女の人に詰め寄りました。
「僕の婚約者になって下さい」
 女の人はいきなり先生の頬をはたきました。
 「そんないい加減なのは、御免です」女の人は怒って帰ってしまいました。
 「かんりにんさーん」悲しげに先生の声が響きました。
 アッコちゃんは、しげみの中で決心しました。「私が、あこがれの五代先
生の婚約者になってあげるわ」
 次の日曜日、アッコちゃんは上野駅に行きました。
 五代先生が、改札口の前で、おばあさんを待っています。
 アッコちゃんはトイレに入りました。
 「テクマクマヤコン、テクマクマヤコン、かんりにんさんになあれ」
 アッコちゃんは、管理人さんに、変身しました。
 「五代先生、じゃなかった、五代さん」アッコちゃんは五代先生に呼びか
けました。
 「管理人さん!!」五代先生は、顔じゅうをほころばせて微笑みました。
「きて、くれたんですね」
 「ええ、五代さんのためですもの」アッコちゃんは言いました。

 それから、五代先生のおばあさんと3人で、お食事をして東京見物をして、
五代先生の、アパートに帰ってきました。
 「お帰りなさい、五代さん」アパートの入口で、お掃除をしていた管理人
さんが言いました。
 アッコちゃんはしまったと思いました。
 『かんりにんさん』というのは、五代先生のアパートの管理人さんだった
のです。
 「か、管理人さんが二人いる……」五代先生が驚いてつぶやきました。
 「だれなんですか、その人」管理人さんは、アッコちゃんをしげしげと見
つめました。
 「あ、あの、わたし」アッコちゃんはどうしようか迷いました。「わたし
は、管理人さんのそっくりさんなんです!!!」
 「まあ、五代さん、そっくりさんなんかを、私の代わりにするなんて」管
理人さんは怒ってアパートの中にスタスタと歩いて行きました。
 「そうそう」振り返った管理人さんが言いました。「五代さんのお部屋で、
こずえさんと八神さんがお待ちですよ」

 五代先生の部屋で、アッコちゃんと、管理人さんと、こずえと名乗る
OLと、八神と名乗る女子大生が、五代先生とそのおばあさんを取り囲んで、
座っていました。
 「裕作、おめの婚約者は、いったいだれだ?」おばあさんが言いました。
 「あ、あはは、あははは」五代先生はごまかして笑いました。
 「まあまあ」太った中年のおばさんがいきなりドアを開いて入ってきまし
た。「五代くんのおばあさんも堅苦しいことを言わないでさ」
 「そうです、まずはパーっといきましょう」壁の穴から蛇のようなおじさ
んが顔を出しました。
 「そうよぉ、まずは乾杯しましょ」中年おばさんの後ろからネグリジェ姿
も悩ましい女の人が続きます。
 「さあ! 乾杯だ!!」中年おばさんが言いました。缶ビールが全員にま
わされました。
 アッコちゃんは、お酒をこんなに飲んだことはありません。でも、みんな
が飲むのに、自分だけ飲まないのも変です。
 アッコちゃんは、乾杯の音頭に合わせて、ぐいとビールを飲み込みました。
苦い液体が喉を通り過ぎました。
 アッコちゃんはふらふらとなって、隣に座っていた管理人さんに寄りかか
りました。
 「まあ、大丈夫ですか?」管理人さんがアッコちゃんを心配する声が聞こ
えます。
 「それ! チャカポコチャカポコ!!」中年おばさんが踊っている声も聞
こえます。
 アッコちゃんは、完全に目がまわってしまい、ムカムカと吐き気を催しま
した。
 アッコちゃんは、トイレに駆け込みました。
 胃の中のものが、全部、吐き出されていきます。
 やっと、トイレの外に出ると、管理人さんがいました。
 「大丈夫ですか?」優しい管理人さんの声を聞こえました。
 アッコちゃんは、すっと意識が消えていき、管理人さんの胸の中に倒れ込
みました。

 遠くの五代先生の部屋からは宴会の音が聞こえます。

 しばらくして五代先生のアパートを去るとき、アッコちゃんは、この管理
人さんだったら、(くやしいけど)、五代先生のお嫁さんにしても許せるな
と思いました。
 そんなアッコちゃんの気持ちを、知ってか知らずか、アパート「一刻館」
の5号室の宴会は今やたけなわでした。
                                                        おしまい

★解説
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 とうとう、一刻館が登場です。
 原作を知らずに、アニメでファンになった人は、アニメをけなすと怒りま
すが、でも、やはり、原作に比べてボルテージが低かったですね。結局、原
作から大きく離れて独自の世界を切り開いた劇場版だけが、かろうじて原作
と対比できるだけのボルテージを持っています。
 要するに、響子さんの魅力と言うのは、泣いたり怒ったり嫉妬したりする
ところにあるのに、あくまで『アニメファンのマドンナ』として『いつもニ
コニコ』的な扱いに終始したのがまずいのです。
 声優の島本須美にしても、あくまでマドンナ的なイメージで見られている
人ですが、泣いたり、わめいたり、どなったりする演技にもかなりの表現力
のある人です。ですから、スタッフさえその気になれば、もっと『人間的な』
響子さんが出来ていたかも知れない、そう思うと、非常に残念です。

 それでは、ラミパスラミパスルルルルルー。

                     SVD85360/オータム