#59 Article 881 Posted at 1995/06/15 22:09:59 by 夏のこたつ (MAP2513) [NOVEL]
Subject: Re: Re: 田中作品でお好きな物は? /879 /878
> 「田中芳樹作品でお好きな作品は何ですか? またその理由は?」 銀英伝は読み飽きたし(^^;)最初に読んだ作品なのでうまい具合に他の作品と比較 できないですね。それでその他となると・・・・・ 私はまず「タイタニア」次いで「七都市物語」「灼熱の竜騎兵」ですね。 いわゆる中国物-創竜伝もここでは含めることとしますが-は、ある意味不利な ジャンルだと思います。歴史小説という遠大なジャンルには、極めて偉大な作家達の 作品があまた存在し、どうしてもそういうものが頭に浮かんでしまいます。 加えて、決してそれほど田中芳樹に向いたジャンルとも思えないんですね。 というのは、この作家の傾向として、ある種の強固な価値観を強く前面に押し出して いくという要素があるのですが、この価値観自体が明白に近代以降にのみ成立する ものだと思うんですね。そしてどちらかというと西洋的な。作者自身は中国にかなり シンパシーを持っているようですが、精神的立脚点はかなり遠いように思います。 そのあたりが中国物を書いた時にある種の違和感を醸し出すのではないかと考えて います。舞台は過去で、かつ史実をある程度踏まえているものの、お話の本質は 極めて現代的であるといえないでしょうか? 舞台を西洋に移す冒険モノだと、かなり見通しがはっきりすると思います。 近代ヨーロッパの世界は、現代の我々のメンタリティーと比較的近い位置にあり、 19世紀など現代に入れてしまって構わないでしょう。 さて、最初に挙げた未来を舞台とする架空歴史小説ですが、これを自分が魅力的に 感じるのは、やはり作者の独自性が一番強く現れるジャンルと思えるからでしょう。 タイタニアは、ある種銀英伝的ですが、悲劇性は随分薄められています。この作品は 正直ジュスランという人間の魅力が支えていると思っています。田中芳樹が考える 理想の男性像(笑)ではないでしょうか。 「七都市物語」では、気候が激減した地球という、設定自体に魅力があると思います。 歴史のifという禁断の果実をもぎ取った、というと言い過ぎでしょうか(^^;) 「灼熱の竜騎兵」は、戦略的な面白さという点で、全作品中でも冠絶していると 思います。人物間のやりとりの妙味は最高ですね。これは長いシリーズで、厚みのある 内容にして欲しいです。銀英伝ファンならまずこれはどうでしょうか。 「アルスラーン戦記」も悪くないけど、若干発散しているような印象があります。 むしろ欠点の少ない「マヴァール年代記」がいいですね。 MAP2513 夏のこたつ