#5 Article 1972 Posted at 1990/06/03 09:29:20 by ISAM (MAP1129) [NADIA]
Subject: Re: Re: ガーゴイル様の仮面の秘密 /1970 /1963
こらこら、おっさん、おっさん・・・(^_^;) おっさん、やっぱ、けだものだったんだね・・・ これじゃあ変態なのはガーゴイルじゃなくて、NOZOMUセンセじゃないか(ジョセイフ ァンガヘルゾ)。 すさまじい露悪ぶりに、悪に走りたいのにひたすら我慢してきたという鬱積した欲望 を感じてしまう、わ。 もちろんガーゴイルISAMを名乗る私は、最初から悪なので、悪に走る必要性も欲 求もないのだ。 というわけで、今回はお時間をお借りして、特別番組、 国際ジャーナリスト、落〇信彦のインタビューによる。 「ネオ・アトラン、その真実 世界最強の世界征服秘密結社」をお送りしたいと思います。 「単なる一市民として、一生を終えるのが私の若い頃からの希望だった。しかし、私 に流れるこのアトランティスの血と、世界を覆う醜悪な非人間的西欧理性中心主義が私 を必要とした。私はそれに応えた。ただそれだけだったのだ」 やや低めの、ある種の強い威厳と意志を内包した声で彼はそう語った(それと同時に 、その中にかすかにだが狂気の匂いを嗅ぎとれたように感じたのは、わたしの思いすごしだろうか・・・)。 そこには、背伸びして無理に見せているとか、悪を装うことによって自らの弱さを覆 い隠そう、などといったところはすこしも感じられない。 不可思議なマスク(まるで笑っているかのように吊り上がった薄く大きな口、泣いて いるような目と涙の痕に見える窪み、その額には彼の信奉するアトランティスのマーク が掲げられている)をかぶり、勧めた椅子にも腰掛けず、直立不動のまま後で手を組ん でいるだけであったが、そういった姿勢がかえって自然であるかのように感じられる男 だ。 時は、一九八九年六月三日、場所は、フランスはアルデンヌ地方の海岸にほど近いホ テル(特に名は秘す)の一室であった。 ガーゴイル、四十六歳、本名、経歴不明。現代の水準を遥かに越えるといわれる科学 力と武力を持つ秘密結社、ネオ・アトランティスを指揮し、世界征服の野望を果たさん と冷酷で悪魔的な辣腕をふるう男である。 彼の話を聞くにあたって、私は彼をよく知るスポンサーの一人の言葉をかみしめるよ うにして思い出していた。 「世の中には三種類の人間がいる。単なるふぬけで所詮なにもできない奴、決して怒 らせてはいけない奴、そして常に危険でいついかなるときでも油断してはならない奴だ 。むろんガーゴイルは最後の種類の男である」 確かにそのとおりだった、私の目の前に立っているガーゴイルは体格こそ平凡な人間 のそれと変わらなかった。 しかし、いったん相対するとその平凡な部分は吹き飛んでしまい、仮面を通してさえ その視線に圧倒されて、心の奥底からその平安を揺さぶられるような気持ちになってし まうのだった。そこには、ある事業を成し遂げようとする意志、いかなる障害をも、ど んな手段をもってしてでも突破してみせるという決意、そして、自身の血統、正統なる アトランティスの末裔であるということに対する圧倒的な信頼から得られる自信、とい ったものが一瞬にしてうかがえるのだった。 今日、ネオ・アトランは科学、軍事の面において列強の諸国に勝るとも劣らないとい われている。いや、科学の特定の分野などにおいてはむしろ圧倒的に優位な状況にある といって間違いない。 彼らが持つ、多くの最新兵器、そして彼らが成し遂げようとしている事柄を見ればそ れに異論をはさむ人間はいないだろう。 例えば、我々が最も身近に知ることができる彼らの兵器、潜水艦ガーフイッシュは特 殊金属で出来た船体と水流推進によって、米英仏の最新鋭戦艦を遥かに凌ぐ装甲と船速 をもって水中を自由に航行することが可能なのである。実際その威力は、大西洋におけ る通商破壊や、米最新鋭戦艦エイブラハムとの直接交戦などによって証明され。大西洋 の大海獣などと呼ばれて恐れられているというのは耳に新しい。 さらに最近では、島一つを吹き飛ばす程の威力と無限の射程距離を持つ、と言われる 秘密兵器、バベルの塔を完成されたといわれており、その脅威は増すばかりである(つ い最近、このバベルの塔が実験の失敗によって消失したという噂を聞き。ネオ・アトラ ン関係者に確認したところ、「そんなことはたいしたダメージにはならない。すでに第 2、第3の手は打たれており、順調に進展している。我々には失敗に滞遅などありえな い、前進という言葉しかないのだ」という返事が返ってきた)。 こうした際立った、ネオ・アトランの力を見るたびに、単純な疑問にかられるのは私 だけではないと思う。国家の後ろ盾を持たないにもかかわらず、なぜネオ・アトランは かくも強力なのか。もっとつきつめていえばネオ・アトランの力を支える科学力とはい ったいどこから生じているのか? こうした疑問をとくには、実際にネオ・アトランの人間に聞くのが一番である。しか も、その明らかになっている組織の中での最高責任者である、ガーゴイルにインタビュ ーするのが最も手っ取り早いということになる。 むろん、ネオ・アトランは秘密結社であり、列強国とも対立関係にあると思われる。 元々が超秘密主義のかやのむこうにいるガーゴイルのことである、会見をおこなうのは かなり困難であろうと予測できた。 案の定、そのきっかけを得ることにさえ、多くの時間を無駄に浪費せざるえなかった 。しかし、ねばり強い調査と個人的コネクション、スポンサーたちの後押しもあって、 こうしてインタビューを行なうことが出来たのである。 まず私は、手に入る限りのガーゴイルに関する資料を集め、彼について書かれている ものなら可能な限り読みつくそうとした。これらの結果浮び上がったガーゴイル像とは、 なかなか興味深いものであった。 一見、紳士的にも思えるガーゴイルだが、その実体はそれとは裏腹に冷酷で無残とも いえるものである。 事実、彼がその生命を奪うのをいとわないのは直接的な敵だけに限らない。まったく 無関係な者や、必要とあれば味方や女子供であろうとも躊躇しないのである。 時としてガーゴイルは味方殺しという名で呼ばれることもあり、実際、敵よりも味方 をたくさん殺すようなこともあったようだ。 ガーゴイルの妥協なき冷酷さを示すエピソードがある。 ある計画で彼は少女を捕え、その仲間の幼女とペットを人質にして自白を強要したこ とがあった。 彼は、ニードルガンを人質に向けて自白をそくしたが、少女が喋らないのを見ると、 銃を発射、まったくの味方であり状況に関係ない護衛の兵士を一人殺してしまった。そ して、同じ銃口を幼女に向けて、少女にしゃべるように強制したのである。 このエピソードについてインタビューでたずねたところ、ガーゴイルはまったく感情 を動かしたようすもなくこう答えた。 「拷問などというのは、ある種の人間にとってはまったくまだるっこく効果が無いも のだ・・・それに私は血を見るのがあまり好きではないのでね。できれば紳士的にやり たいんだよ。また、仮に人質というものを取れたとしても、それを殺してしまっては元 も子もない、ということはむこうも知っているわけだ。そこで、私は、私という人間が 目的のためとあれば全く無関係な人間でも・・・たとえそれが仲間であったとしても、 何の躊躇もなく簡単に殺してしまえる男だということを、わかりやすい形で納得させて あげたわけだよ。人間の精神というのは決して強いものじゃない、肉体的な苦痛には耐 えても精神的なそれには脆く崩れてしまうということは、よくあることだ」 このような男がリーダーだからこそ、ネオ・アトランはかくも強力な組織を維持でき るといえるだろう。 冒頭の彼の言葉は、「何故世界を征服するのか?」という私の問に対する答えである。 Q―あなたを変質的なサディストと呼ぶむきがあるようですが。 A―まったく、ばからしい話だ。状況を考えれば当然の行為だよ。 Q―女子供であろうとも、手を緩めないとか。 A―誤解してもらっては困る。私はできるかぎり彼らをやさしく扱っているつもりだ。 Q―しかし、かなり残酷な仕打をされたとか・・・ A―私は、子供が好きだ。 Q―すべては目的のためなのですか。 A―目的というのは確かに重要だ。しかし、過程を軽視するつもりもない。とるにたら ない事柄について考えるのは無駄なだけだ。 Q―人命を軽視するような行動が目立つと・・・ A―まさに取るにたらないものだ。それこそが愚かさの、弱さの具現化であり、取るに たらないものなのだ。弱さとは軽視すべきもの、滅ぼさなければならないもの、支配さ れるものなのだ。命などというものは、ある偉大なる存在に捧げられ消費されていくも のにすぎない、それによって衆愚な生もわずかな充実を得られるというものだろう。 Q―話によると、アトランティスに深い関係がある少女を捕えたとか? A―よく調べているな。たしかに捕えた。まったく運が良かったよ、むこうから飛び込 んできたのだからな。 Q―また、拷問をなされたのですか。 A―ははは、冗談ではない。私は決してそんな野蛮なことはしない。直接的、肉体的な 行動が一番効果があるとは限らないのだ。人間というのは精神的な生き物だ、肉体とは 容器にしかすぎない。 Q―すると、その精神的な・・・ A―できる限りの、接待をさせていただいた。アトランティスの末裔とあれば当然だ。 Q―バベルの塔の件ですが。最近、敵対する勢力の行動が顕著だとか。 A―おろかものの行動がどれだけの効果があるものか。我々は、太古の英知を受継ぐ正 統な道を歩むものだ。邪道の微々たる抵抗など、何もできはしないな。 時計を見ると既に三時間が過ぎていた。 私は、取材の最後に握手を求めようとしたが、ガーゴイルははなからそれを無視した 。なにか、こちらのことなどまったく眼中にない様子であった。 徹底した選民思想の持主といわれるガーゴイルらしい行動であった。 一瞬、仮面の下に軽蔑の笑みが宿ったかのように見えたのは私の錯覚であったのだろ うか。 「サンキュー・サー」 「これからの取材の成功を祈るよ」 私はこの言葉にある種の皮肉がこめられていないよう、それこそ逆に、祈るしかない と思ったことを告白しよう。 ネオ・アトランの指導者ガーゴイルは足早に部屋を立ち去った。 ISAM