#40 Article 2350 Posted at 1994/03/15 16:43:09 by T.IWATA (MAP1375) [PIRATE]

Subject: Re:*7 海賊版同人誌って何?   カモチャン /2349 ... /2334 /2333

純粋に法律問題だけですが、
  「アニメパロディ」が元のアニメの「翻案」であったり「二次著作物」で
  あったりすれば、話は簡単至極、「アニメパロディ」は原著作者の権利を
  侵害したことになります。これは著作権法に明白に書かれています。
  「翻案」とは、小説を例にすれば、舞台を変えて作りなおしたもの(良い
  例としては坪内逍遙のシェイクスピアの作品が有名でしょう)。
  「2次著作物」とは、小説の映画化などがわかりやすいと思います。

  ところが、「パロディ」はこれとは別だと言うの見解が法律解釈ではしっ
  かりとあるのです。これは特にシューレアリズム以降の美術に於いて典型
  的にあらわれており、かのサルバトール・ダリの一連のモナリザをテーマ
  にした連作(モナリザの模写に髭を書き加えて作品として発表し、その後
  に髭無しの作品(モナリザの模写と同じに見える)というものも発表した)
  から、このパロディと言う難しさが判ると思います。

  マッドアマノ事件はこの問題を中心にしていて、結局判決は、元の写真を
  直接使用した点だけを判断にしました。この判例だと、同じ構図で写真を
  自分で撮ってくれば、パロディ(作品)としては成立してしまうと読めて
  しまいます。
  写真の場合には構図そのものにも、作者の意思が込められるので、同じ様
  な写真を撮ってきて同様の目的に使用すれば違法になる疑いが高いのです
  が、パロディでは元の撮影者とは全く異なる意思を以ていることが明白で
  あることから上記の判例を考えると違法にならない可能性が生まれてしま
  ったのです。

  さて、これが「アニメパロディ」に至ってはもう難しさの極致です。私に
  は正解が出せません。はっきり言ってお手上げです。まぁはっきり違法と
  思える作品もありますが(生写真や取り込み画像をプリントアウトするだ
  けの本、これが研究や自分の発表に不可欠な資料としての引用の範囲であ
  れば合法ですが)、多くはグレーゾーンです。ほとんど白からほとんど黒
  までのぼんやりした作品群が「アニメパロディ」の世界だと思います。
  ほとんど白でろうと、黒であろうと、元の作品の著作権を十二分に尊重し、
  自らの意思と思いを込めたパロディを作って欲しいと思います。そうでな
  ければ、せっかくのパロディというスタイルが泣きますよ。

  私はパロディの価値を評価しますが、それは現状の「アニパロ」全部と混
  同されるとちょっと困ります。本当に「アニパロ」で胸を張れる作品なん
  てそう沢山はあるものじゃ無いですね。

  注意して欲しい点をいくつか書きます。
    1.著作権法は目茶難しいです。特にマンガ・アニメに関しては圧倒的
        に判例が不足しています(大半は謎の和解です)。集英社とふゅー
        じょんぷろだくとの間の「翼パロディ事件」、あるいは勝川さんの
        「ドテラマン事件」、全部和解です。
    2.裁判に行った例は皆無に近いです。
        告訴も辞さずなんて警告書は何度も見ましたが、実際に裁判を起こ
        した例は皆無です。これは被害の立証の困難さと被害額の僅少さが
        大きな原因です。それよりも弁護士の見解としては、裁判の維持が
        大変で(マッドアマノ事件のように直接写真を使われた例でさえ、
        際どい勝利でした)、万一敗訴した時のダメージが尋常では無いと
        いう面もあるようです。
    3.商標は別です。
        商標権は全く別です。こちらはもっと大変な問題です。著作権法に
        違反したという判決が出ても、権利者が得られるのは、発行差止め
        や回収、あるいは発行物の権利者分の印税(だいたい2割以下でし
        ょう)で済みますが(もちろん、原著作の頒布などに著しく打撃を
        与えるような場合は別だが、そのような例は皆無に近い)、こと、
        商標権に反すると、下手すると発行した総額以上の弁償を求められ
        る場合が少なくありません。ディズニーのように全てのキャラクタ
        ーを登録している場合(いやーしているんだよね、これが)、1点
        使用毎に幾ら×使用点数×部数で請求されるので、場合によっては
        ウン百万円なんてのはラクに達成できます(笑)。
    5.日本の著作権法は模索中
        コンピュータと著作権の関係は、Nifty-Serve のFLAW(法律フォーラーム)
        が一番わかりやすいです。Sys-opのMADIさんはじめとして現役
        の弁護士さんが揃っていますから。
  えーと、私は本当は理系の人間なのに、こと著作権法に関しては良く研究
  する羽目になってしまいました(爆笑)。あんまし嬉しく無いなぁ。

  最後に海賊版は、問答無用に著作権法違反です、パロディ論議とは別のベ
  クトルであることをご了解下さい。ここんところはKatayamaさんが書いて
  いますね。

T.IWATA(岩田次夫)