#38 Article 926 Posted at 1991/02/23 10:36:33 by ユ-サク (MAP1754) [STORY]
Subject: Re:*9 激動焼け跡ラブコメ・小説版「てやんでえ」! /920 .... /889 /887
第5回! 「一文字ファイヤ一一一一一一一ッッ!」 「魔神真空斬りィッッッ!」 スカシ-の放つ青く輝くエネルギ-が一直線に空を斬る! カラ丸の刀の一振りが凄まじい衝撃波となって大地を揺るがす! …その激闘は遥か品川や大森の宿からも一望出来たという。 銀色の巨躯の周りを見えるか見えないか程の小さな者達が動き、飛び回り、時おり青い 閃光が、また陽炎の様な空気の揺らめきが怪物の身体に向けて走る……と、そこで炎と 爆煙の花が開く! 身長1mそこそこのメカ生命体にしては桁外れのパワ-を秘めたスカシ-であり、カラ 丸ではあった。が、…しかし! 「だめだッ!ニャンキ-2号ッ!装甲に当っても効果はねぇッ、関節部を狙えッ!」 「やってるよッ!だ、だけど…」 が…しかし。狙いすまして放たれた必殺の一撃も、当ると思われた瞬間に関節部が素早 く収縮し、弾かれてしまうのだ! 原子怪10号に死角は無かった。…警戒センサ-が四方を監視し、攻撃が加えられると 反射的に関節部の装甲がピッタリと密接し、”絶対に破壊出来ない ”外皮が全ての衝撃 をはね退けてしまう。…幻ナリ斎の設計にしては出来過ぎとすら言えるメカだった。 そうだ。出来過ぎであった。だからこそ幻ナリ斎は封印を施していたのだ。 原子怪10号はアホなメカ群とは完全に一線を画していた。 冗談にならない。シャレが通じない。説得も通じない!! エネルギ-を消耗したスカシ-が、よろめく様に着地する。 「ハァ…ハァ…」 肩で息をするスカシ-、…と、その頭上で原子怪10号がその顎をカッと開き、白熱光 を浴びせんとする! 「ッ!」 反射的に傘を開き、身を護ろうとするスカシ-。 「危ねェッッ!」 カラ丸がスラスタ-全開で超低空をフッ飛んで来て肩でスカシ-を突き飛ばす。 「ワァッ!」 思わず傘をとり落してしまうスカシ-、と思う間もあればこそ、傘は強烈な輝きの中に 飲み込まれ、…次の瞬間には跡形も無く蒸発していた。 「ああッ!ぼ、僕の傘が…」 落胆する間も無くジャンプして避けるスカシ-。間髪を入れずに、ハンマ-の様な足の 一撃が踏み降ろされて来て全ての物を蹴散らす! 空中で言い合う二人。 「まッたくッ!お前ら、結構なモンを造ってくれたぜッッ!」 「だから…こうして戦ってるだろ-がッ!!」 まずい。スカシ-は歯ぎしりした。怪物の足を止めているのがやっとだ。 このままではあと僅かで行動不能に陥りリチャ-ジの必要に迫られるだろう。 ああッ、こんな事なら! 作戦用のバッテリ-を使ってしまうんじゃなかったッ! スカシ-は激しく後悔していた。カラカラ一族との戦いが終って、安心して予備のバッ テリ-を全部、ピザキャットの皆で使ってしまった事を。 ………煮炊きに便利だったのだ(笑)。 ああ、あの時のあのオデン、あの時のけんちん汁の分だけでもとっておいたらッ! バラックを建てる前なんか寝る時にアンカにすら使っていたもんなァ…い、いや違う、 今はこんな事を考えている場合じゃない! 混乱した頭を必死に落ち着かせようとするスカシ-。 ヤッ太郎なら、リ-ダ-のヤッ太郎ならこんな時どうするだろう? しかし考える程、浮んで来るのは…最初にバッテリ-を使っちまおうぜと言い出した、 ヤッ太郎のバカ面…バクバクとオデンを食べていた、リ-ダ-のアホ面…(笑)。 大丈夫大丈夫、にゃははは!どうせもうエドポリを騒がそうとする敵はいねぇんだから!「あの馬鹿野郎ッ!」 思わず毒づくスカシ-であった。 「なにやってんだ、早く来ないと…手遅れになっちまうぜッ!」 一方、こちらはピザキャットの地下。 ヤッ太郎が机の上にガレキを積み上げて、天井の換気口を覗いている。 「ダメだ、通れやしねぇ。…まったく気が利かねぇったらねぇぜ、普通こういう時は人 一人楽々と通れるくらい馬鹿デカい換気ダクト付けとくのがセオリ-ってもんなのに よぅ…なぁプルルン?」 プルルンはそんなヤッ太郎のサ-チライトをさっきからジッと見ていた。 …やがてポツリと言うプルルン。 「大丈夫ヤッ太郎、なんとかなるわよ」 なにかを決意した様だった。 「エッ、エッエッホント!? にゃににゃに、おせ-て!」 「鍵を開けるのよ…」 「エッ?…だって、鍵は電気がなきゃ開かないって…」 プルルン、自分の机の引き出しを開けて、なにやら取り出す。 「電気ならあるじゃない…」 取り出したカッタ-ナイフをライタ-であぶり出すプルルン。 「あたしたちの身体の中に」 「………お、おいおい、馬鹿やろ、にゃに考えてんだ!」 慌てて制止しようとするヤッ太郎だが、 「ヤッ太郎、エドロポリスがピンチなのよ!」 「……」 「あたしたちの務めは、例え傷を負おうが平和を守り通す事でしょ?」 袖のパ-ツを外し、柔らかい地肌をむき出しにするプルルン。 「それに戦いで傷付く事を考えたら、ちょっと怪我して後は休んでた方が楽じゃない! あんた達が戦ってる間、病院で昼寝しててあげるわ、あ-楽な役で良かった」 「プ、プルルン…」 しばし、ジッとプルルンを見つめるヤッ太郎。 サ-チライトの明りの輪の中で、見つめ返すプルルン。闇の中に浮んだ顔は、幻想的で 美しい。…普段のガサツさ、凶暴さ、色気の無さを忘れさせる美しさであった。 …こ-ゆ-のがワナなんだぞ、ヤッ太郎(笑)。 「…わ、判った…」 絞り出す様にうなるヤッ太郎。 「お、おい、おいおタマ!」 ドアごしに怒鳴りつけるヤッ太郎。 「は、はいッ!!?」 「医者だッ!すぐに医者を呼んで来いッ!」 「はッ…はいッ、どうかしたんですか!?」 「いいから早くッ!」 「はいッ!」 プルルンはうなずくと、ブランデ-をあおって、自分の腕にもそれを吹き付けた。 …陰惨なシ-ンなので詳細は省くが、プルルンはよく耐えた。 それでも、ギュッと固くつむられた目尻から、大粒の涙がポタポタと落ちる。 「プルルン…済まねぇ…」 ジジッ! プルルンの片腕から引き出されたコ-ドが、ドアキ-のメカと接触して火花を散らす! ガコン! キ-が開いた。満身の力を込めて、ドアをこじ開けるヤッ太郎。 「キャ一一一一ッ!プルルンさんッ!」 医者を連れて来たおタマが、プルルンを見て悲鳴を上げる。 「おタマ、後は頼んだぞッッ!」 疾風の如く駆け抜けて行くヤッ太郎。…そのまま換装装置室に飛び込み、荒々しく戦闘 服を取り出す。 コネクタ-を接続するのももどかしく、戦闘服を着込むヤッ太郎。身体に馴染んだ軽く 強靭な鎧に、エネルギ-が流入して行く。アタッチメントをキツく締め、スラスタ-ユ ニットを背負い、マサマサを掴み取る。 チャキンッッ!! その途端に反応し、封印が解けるマサマサ。ヤッ太郎は2本の刃を抜き放ち、鞘を放り 捨てる。 「プルルンを、…プルルンをあんな目に会わせやがってッッ!」 怒りの炎が瞳の奥でキラめく。 「カラカラのメカッ、……許せんッッッ!!」 次回、最終回に続く。