#28 Article 605 Posted at 1997/08/03 10:53:57 by giji (MAP2218) [SEMINAR]

Subject: Re: Re: Re: セミナー「デジタル&アニメーション1997」 /603 /602 /658(#101)

予想どおり3・4回目には行けず、5回目に行ってきました。
今回は
 「アニメーション・キャラクタの心理学的研究」
からタイトルが変更され
 「アニメーション・キャラクターは如何にパターン化されているか」
となりましたが、内容はまっとうな心理学の講義でした。

キャラクタの顔とそこから受ける印象の関係ということで、
前半は善玉・悪玉の顔のパターン化、そこにも見られる赤ん坊顔・成熟顔の
特徴、相手の相貌の違いによる感情や対応の変化、といった点を写真や絵を用いた
これまでの心理学的研究などを使って解説しました。
頭が丸くてあごが小さくて額が広くて目の位置が低くて目と眉が離れていて
鼻が小さくて口が小さくて唇が厚い赤ん坊顔は、愛らしくて世話したくなって
攻撃性を抑制されて無防備に接近できそうな感じがする(がセクシーさに欠け
力強さに欠け問題解決能力が低く見える)そうですが、まあ確かにそういう
アニメキャラは多いかな。

ここまでの解説に使われた絵(「この2つの顔のどちらに親しみを感じますか?」
とかいうやつ)は心理学を勉強していると結構見慣れた感じがしますが、
アニメーション関係の人には受けが悪かったようです。そりゃ、無理に顔の一部を
変化させてるからバランスが悪くて、とりあえず好印象は受けないもんなぁ。
言ってしまえば下手な絵だし。
そんな中で、
 顔の一部分をパラメータとして研究するために、他の要素やバランスは
 変えずに特定の要素だけを変えた絵が必要になるので、そういう絵を
 指示通りに上手に描いてくれる人がいると助かります
という話が出ました。
そうかぁ、心理学の研究には画力も要求されるのね。

さて、後半は講師自身の研究ということで、アニメキャラを題材に顔の印象に
ついて分析をしていきました。分析法はいつもどおり、顔の絵を見せてその印象を
相貌・性格・感情などの尺度やSD法で調査し因子分析・重回帰分析するという
もので、その結果もまあ大体予想どおりという‘あたりまえを確かめる’内容に
なっていましたが、題材がなかなか笑いを誘いました。
被験者は講師の勤める大学の学生、そこで最初は‘被験者に馴染みがないと
思われる’ということで「少年猿飛佐助」で善玉・悪玉の差を、次に悪玉の特徴を
見るためにディズニー長編の歴代悪役を、さらに最近の作品での傾向を見るために
アニメージュ96年11月号のBEST10キャラを、また誇張表現の印象を調べるのに
テックス・アヴェリーのキャラ(目が飛び出したりあごが落ちてるのをいろいろ)
を使っていました。しかも、さすが数量化、アヴェリーでは目や口の縦・横の
大きさと印象の度合の相関関係も調べているという。
ちなみに、BEST10キャラは被験者にはほとんど馴染みがなかったそうです。

結果は人物写真を使った場合とあまり違わなかった訳ですが、写真や少年猿飛佐助
では目つき・眉・口元が別の因子として作用していたのが、BEST10キャラでは
3項目が同一因子となって好き嫌いに影響していたのが気になるそうです。
もしかすると、これが最近の作品の人物描写法の特徴に関係しているかもしれない
ということで。

この実験の問題点は、既存の映像を資料としているため場面や表情の影響が出やすく
これを除去しなければならないこと、研究用とはいえ著作権の問題も考えなければ
ならないこと、だそうです。

なお、この研究に関する詳細は論文を探せば見つかる…のかなぁ。
気になる方は調べてみて下さい。

                 大学で少しは心理学を受講した  giji