#28 Article 517 Posted at 1996/11/19 17:04:44 by 和泉 晶 (MAP6160) [KANTOKU]

Subject: Re:*8 監督って・・・? /516 .... /506 /505

> ここで語られているのは技法的なものでしょうか?
> それとももっと感覚的な部分についてでしょうか?

> 少し話がずれるようで申し訳有りませんがそのあたりを明確に示していただけると
> 和泉  晶さんの考える良い脚本、良い作品が見えてきそうですが、どうでしょう
か?

私の考える良い脚本、ですか・・・
最初、冗談で書いたアーティクルなのに、何だか大変な事になってきたな(^^;
普段から論理的にモノを考えていない事を暴露してしまいそうで怖いな。

先のアーティクルで書いたのは、感覚的でセンスで支えられる部分およびドラマの
根底を成す部分を指しています。
「このギャグはつまらないからやめよう」とか、「この台詞はこのキャラの性格に
はそぐわないからこういう風に変えよう」とかいうのが一般的な直しですよね。極
めて局部的なものです。
でも、ドラマが(お話が)面白いとかつまらないとか、そういったものは局部的な
ものではないですよね。ドラマが面白いと思われる要素の中の、意外性とか視聴者
の想像を越える深い掘り下げとかいった根本的なものは、構造的にドラマに練り込
まれなければならないものなので、なかなか直しの段階で入れられるものではない
と思うのです。ですから監督など他のセクションの人間が物語の本質的な面白さに
寄与しようとする場合、脚本以前の構成の時点で手を尽くして置かなくてはならな
いというのが私の考えです。たとえ悪い脚本であったとしても、脚本完成後に出来
る直しなんてたかが知れています。
脚本家でも演出家でも無い私がこんな事をいうのは何ですが、私は完成した脚本
(決定稿)にあまり手を入れるのは良くない事だと思っています。
ですから、出来の悪い脚本に対して監督が出来る事は「OKを出さない事」に尽き
ると思うのです。何度でも書き直させる。勿論、脚本家は直しを嫌がってはいけな
い。最近のシナリオライターには、決定稿が出た後で無断で内容を変えられても怒
らない人が増えていると聞きます。彼らは自分の書いたものにポリシーがないんで
しょうか? 改訂を迫られるのを甘んじて受けるのは当然としても、無断で変えら
れても平然としているなんて、どうかしています。
悪い部分は監督(演出家)が直すのではなく、ライターに直させるべきです。そし
て、何度直しても使えるものを書いてこないライターは次から使わない。
それが大切だと思います。(時間も金も無いから、大変だとは思いますが・・・)
何故か今のアニメ業界はろくなものを書かないシナリオライターが淘汰されずに居
る不思議な世界ですので、まずそれを何とかすべきでしょうね。
シナリオ書きたい奴なんてこの世にゴマンといるんだから、既成の3流脚本家にな
んてこだわらずにもっといろんな人材を探せばいいのに・・・不思議だ。

たくさんのスぺシャリストが参加するTVアニメですから、いろんな側面があるの
は当然ですが、こと「物語としてのアニメ」は、脚本作業の終了とともに出来上が
るべきだと私は考えています。そしてそこから先の「映像表現としてのアニメ」の
段階で手を尽くすのが演出家の仕事だと思います。
そのへんをハッキリさせて脚本家に警鐘をならさないと、これからのアニメは絶対
に面白くはならないだろうと思います。

                              
                              和泉 晶