#223 Article 259 Posted at 1999/03/31 23:32:14 by Elcaset (MAP4600) [X.25]

Subject: Re: 光・・・ /256

何て言うか、不思議な終わり方でした。
 初めは何が何だか解らず、ポカンとしていました。

 生身の赤ん坊に転生してしまうというのは、あまりにも奇麗に決まりすぎていて、
その線はないんじゃないかと思っていただけに意外でした。
 ただ、奇麗ということと仲良しな事柄があります。
 それについて、書いてみたいと思います。


 小樽を慰める前のファウストの台詞が妙に印象的でした。
 ここいらへんに制作側の今回のシリーズの決着に対する残念さと本音が出ていた
ような気がします。
 花形が終盤で小説にまとめるくだりがあるところ、作った方も疲れ果てたんだろ
うな、たぶん。と感慨しきりでした。


 さて、赤ん坊の肉体に封殺されてしまった人格というのもある意味、残酷物語だ
と思うんですが・・・幼児の身体に成長した人格という組み合わせは悪夢だと思い
ます。
 もっとも、この話の上では三人の人格は同時に幼児退行も起こしている様ですか
ら、それが救いかなぁ・・・と一瞬思ったんですが、よく考えてみると、これはも
っとコワイ話だと思いました。

 せっかく、マリオネットとか人間とか、そういうことではなくて、一つの自我を
確立することが大切なことなんだ、と3人が気付いた後でこれですから。

 断末魔、妙に諦めの良すぎる3人も変ですし、やっと見つけた「生」の意味を掴
んでいる人格の取る態度ではないですよ、あれは。
 何としてもテラ2に帰ろう、そして新しく見つけた「生」をまっとうしよう、そ
う考えるのが正常だと思うのです。
 あの無気味なまでの虚無的な振る舞い、これもまた怖いです。
(もしかして、「今」という時代の空気を色濃く表しているのかも?)
 結果、バラバラになるマリオネット達の機械の身体も出てこなくて、ただ抽象的
なシーンの積み重ねがあり、それで最後は人間の赤ん坊になってしまう。
 ドクターヘスが何度もその台詞で「人間」というものを扱き下ろしているのに、
それに拮抗し得るだけの悟性をライム、チェリー、ブラッドベリィが持つに到った
のに、最後に3人はその「人間」という入れ物に、封殺されてしまう。


 制作側の悪意だとかそういうのではなくて、制作側がどういうことが本当に残酷
なことなのか解っていないから、こういうラストになってしまったんだと思います。
奇麗に終わらせようとして、その誘導体である残酷さを析出させてしまった、そん
なラストだったと思います。
(この作品とは関係ないのですが、ミンキーモモのラストをつい、思い出してしま
いました。あれは作者が本当に残酷な人なので、まず肉体的に殺し、そして精神的
にダメ押しで殺す、と2回も念に入った殺人シーンを描いたアニメでした。である
がため、ラストの『夢のフェナリナーサ』のシーンは無気味なまでの奇麗さを醸し
出していました)

 これなら、いっそのこと3人とも死んでしまうラストの方がまだ穏やかだし、幸
せだったかも知れません。が、3人にとって「死」というものがどう定義されるも
のなのか、そこまで考えると大変なことになってしまうでしょうから、その道も選
べなかったんじゃないかと。

 で、このラストだとしたら、あまりにも3人がかわいそうです。
 これならわざわざJtoXの新シリーズを作る必要も無かったと思います。

 前作のJシリーズである程度の決着はちゃんと付いていたのですから。

 今日、この日本で殺され続けている「自我」と個の尊厳、個性について袖触して
いた作品だけに、結局、最後に主人公達が日常生活の無限地獄の中に落とされてし
まうラストを迎えたという事実からは、暗澹としたこれからの日本社会を予見して
いるようで無気味ですらありました。


 ただ、制作側は、今後もこの3人組で商売をしていく意志はあると思います。
 いずれ何らかの形でまた復活するのだと思います。
 しかし、一度デッドエンドを作ってしまった以上、今後はヤマトシリーズみたい
に根本的な矛盾を無視しながら続作が作られて行くんでしょう。
 せっかく今まで流麗にストーリーが流れていただけに残念です。

 ライム、チェリー、ブラッドベリィの次回復活、期待しています。



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