#215 Article 166 Posted at 1996/05/29 19:00:00 by ヨウメイ (MAP2597) [NO.09]

Subject: Re: Re: 羽根の記憶 /164 /163

うーむ、バァンの危機にここぞと言うばかりのタイミングでやって来る
アレン。アレンが深手を負ったその場に医術の心得があるミラーナ姫が
居合わせる。

 これって御都合主義と言うことも出来るけど、この作品の場合は
そういういちゃもんを付ける気も失せてしまうほどの、作品を徹底的に
美しく荘厳に描写しようという意志と美学に貫かれているような感じがします。

 私も結構やることなんですけど、アニメ作品を批評、批判する時に
良く使われるのが「リアリティが無い」という物言い。でも、最近私が
思っていることは、現実のものではない作品に対してリアリティが
無いと言う批判をすることは果たして正しいのかと言うこと。

 だってリアリティをとことん追求したら、最終的には実際にあったこと
だけしか語れなくなってしまいますもの。それって単なる歴史や伝記ですよ。
「水色時代」の様な、平凡な他者の恐らくはリアリティあふれる?日常を、
脚色や演出を押さえて描写した作品は私にとっては無味乾燥で退屈なだけです。

 リアリティがあり過ぎると作品が物語足り得なくなってしまい(現実そのもの
になってしまう)、リアリティが無さ過ぎると虚構であることすら維持できない
単なる「素材」の羅列になってしまう。この二つの間のバランスこそが重要かと
思うんですけど、最近はちょっとバランスが崩れただけで、受け入れることを拒否
する人が多くなっているかもしれません(自分も含めて)。

 アニメ作品とはあらかじめフィクションであると作り手も受け手も知っているはず
なのに、受け手の側はどうしてもリアリティと言う観念に過度に縛られてしまって
いる。

 この、「虚構である作品」と「現実生活から発生するリアリティの感覚」との
不整合という問題を解決する一つの方法論が、この作品のような作品世界の徹底的な
描写かなと思います。もう、疑問を感じさせる暇を与えないほど濃密な情報量を
もって受け手を押し切ると言う様な。

 本当は単純な世界観とストーリーでも素直に受け入れて向こう側の世界に
飛ぶことの出来る豊かな想像力こそ受け手に必要かとも思うんですけど、想像力が
足らなくても楽しむことが出来るという意味で、この作品は分かりやすくて
親切だなとつくづく感心してしまいます。

                                                ヨウメイ