#210 Article 14626 Posted at 2000/03/29 23:10:38 by 高木志郎アオ (MAP3887) [TV]
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1972年春の新番組。
『海のトリトン』(1972/4/1~ABC)アニメーションスタッフルーム
最初は『青いトリトン』原作者の手塚治虫自身が手塚プロで作るつもりで、
虫プロに下請けに出すという話もあったが、立ち消えになった。虫プロ商事が
『トリトン』の企画を引き受けたが、結局虫プロ商事も潰れ、スタッフルーム
だけが残り、西崎義展が権利を買った。
富野喜幸は「基本的にオリジナル製作。キャラクターも作り直す。極端にい
えば、手塚治虫の名前と『トリトン』の名前だけを使わせてもらう作品という
ふうになったわけである。」と書いている。最終回は、富野がぶっつけ本番で
コンテで仕上げたという。
富野は「己の思いを十分の一もシナリオ化してもらえず、己の二十分の一も
フィルム化できなかったという実感に僕は自分を嫌悪した。そのかわり、狙い
目だけは、自分の考えている方向性だけは、決して間違っていない、という自
信も得たのである。それは何か?簡単に口でいうことはできないのだが、本気
でぶつかればそれに応えてくれるファンたちがいるのだな、という確信を得た
ことである。」という。
『海のトリトン』では日本初のアニメのファンクラブが結成され、放送局への
署名嘆願などが行なわれた。かくて、この作品は視聴率が悪くて放映打ち切り
→再放送で“幻の名作”として再評価→劇場版公開という後の西崎『ヤマト』
や富野『ガンダム』と同じ流れをたどることになった。
『魔法使いチャッピー』(1972/4/3~NET)東映動画
異色作『さるとびエッちゃん』の後を受けて企画された『チャッピー』は、
作品の骨子からキャラの布陣まで『サリー』への原点回帰を試みた。ただし、
『アッコ』のコンパクトに相当する魔法のバトン、『マコ』の社会問題を反映
したストーリー展開、『エッちゃん』のブクをほうふつとさせるドンちゃんと
過去のシリーズの要素を巧みに盛り込んでいる。
制作中に起こった東映動画の会社側と組合側の労働争議によるロックアウト
の影響で、その後外注スタッフが増加することになった。シリーズ後半、健闘
したものの、その人気は『サリー』に及ぶものではなかった。
が、『チャッピー』のキャラクター商品は魔女っ子でも随一といえるライン
ナップである。第1次怪獣ブーム期に、大伴昌司が怪獣図鑑で確立したテレビ
キャラクターの単行本の出版事業は、第2次怪獣ブーム期には各出版社の慣例
かつ重要な業務になっていた。'69年までにキャラクター使用許諾業務が整い
'72年に変身ブームが頂点を迎え、現在まで続くキャラクター商品展開の基本
的ラインナップがほぼ出揃ったのである。
『チャッピー』関連商品の多くを'70年に興された“とびだすえほん”の万創
が手がけたが、万創は当時のテレビキャラクターの使用権を網羅しようとする
姿勢が災いしたか、'73年6月倒産した。
「ウォーリャー」
「猪口才な小僧め!名を!名を名乗れ!」
「赤胴鈴之助だ!」
『赤胴鈴之助』(1972/4/5~フジ)東京ムービー
原作は、1954年に手塚治虫のライバル・福井英一が「少年画報」に第1回を
描き、福井の急逝で武内つなよしが後をひきついだ時代劇漫画。今日では武内
のみが作者として明記されている。武内は福井の絵を忠実に真似ながら物語を
考え、独自の工夫を凝らし、この作品で人気を確立した。'57年、さゆり役で
吉永小百合が出演したラジオドラマやテレビ実写ドラマになり、'72年『月光
仮面』などと同様ヒーローもののリバイバルブームにのってアニメ化された。
日本一の少年剣士を目指す鈴之助が北辰一刀流の千葉道場に入門、幕府転覆
を企む鬼面党と戦う。
宮崎駿は、ドタバタアクションの快作第26話、空中戦をしてお姫様を救う話
で後の宮崎漫画映画の原型といわれる第27話の絵コンテを切った。
「これは、バレーボールに青春をかけた男たちの、血と、汗と、涙と、そして
心の記録である。」
『アニメ・ドキュメント ミュンヘンへの道』(1972/4/23~TBS)日本テレビ動画
同年行なわれたミュンヘンオリンピックで金メダルを取ることを目標にする
バレーボール選手たちと松平康隆監督のエピソードを毎回1人分ずつ映像化。
実写を併用し、オリンピックアマチュア規定にひっかかるため選手たちの登場
場面はアニメで描かれた。
『ドボチョン一家の幽霊旅行』(1972/4/10~NET)ハンナ・バーベラ
元気一杯の変な幽霊ドボチョン伯爵が若者たちと一緒に冒険の旅を続ける。
『弱虫クルッパー』などに連なるハンナ・バーベラのミステリーコメディーの
決定版。
高桑慎一郎は、ハンナ・バーベラ作品ではない『幽霊城のドボチョン一家』
の続編的に位置付け、日本版の主題歌は歌詞を変えて同じメロディを使った。
『ピンクパンサー』(1972/6~フジ)
気取ったポーズで澄まし顔のピンクパンサーは無類のイタズラ好きで迷警部
クルーゾーをいつも悩ませキリキリ舞いさせる。
『くまくんトリオ大脱走』(1972/6~NHK)ハンナ・バーベラ
『トリトン』のファンクラブ活動、『チャッピー』のキャラクター商品など、
アニメの周辺が現在につながる状況になってきた時期だと思います。
21世紀まで、あと278日 高木志郎アオ