#194 Article 3876 Posted at 1997/07/26 07:39:53 by ☆Eiji☆ (MAP5673) [BOOK]

Subject: Re:*9 エヴァ関連書籍の動き /3822 .... /3523 /3517

小谷真理「聖母エヴァンゲリオン」読みました。エヴァ関連本で読んだのは
これだけ。いちおうSF者なので。:)

謎本に毛が生えたものか、それとも小谷真理の評論となってるか、読む前は
どっちだろうと思ってましたけど、こりゃ完全に小谷真理の評論ですね。
強引に自分の得意フィールドにひきこんで話をしています。
エヴァブームのどさくさにまぎれて、とにかく言いたいことを言っている、と
いうか。
小谷真理って人はちょっと我田引水な傾向があって、(おそらく戦略的に)
強引で誇張したものいいをしたりすることが多いので、少し眉に唾つけながら
読まなきゃいけないところもありますが、それでもなかなかおもしろかったです。

けど、ものを知らないわたしは、フェミニズムの基本すら知らないので、
どうもよくわかんないところがたくさん。自明としていることがらの共通理解が
ないので、読むのはなかなか苦労しました。

たとえば、第19話「男の闘い」付近について。
電気(=男性性)が切れたエヴァが拘束具(=コルセット=女性の束縛)を
ひきちぎり、獣性(=女性性)を噴出させ、咆哮(=フェミニスト的ガッツ
ポーズ)をあげ、肉(=女性的)を食う(=共食い)。
その後、物語は秩序あるリニアな様相(=男性性)から混沌の様相(=女性性)
へと傾倒していく。シンジは女性化し、ミサトはネルフ(=家父長制)に
反旗を翻す。アスカは精神汚染(=レイプ)され、委員長の家に泊まり
(=同性愛的=女性性)、廃人化(=肉人形化=家父長的世界観への敗北)する。
などなど……。

いや、わかりやすい図式なんだけど……。
「砂沙美ちゃん、これがエヴァだよ!」って言われると、
「なんかだまされてる……」っていう気がしてならないです(笑)。

全体的に、万事を女性性と男性性のシンボルとしてあまりに図式化しすぎてる
ような気がするんですが、こういうものなのかなー。
テクノロジー(=電気)=西洋家父長制的・男根的とか、ほぼ自明のことと
なってるんだけど、うーむ。そういうものなのかなー。
とりあえず、自分の勉強不足はよくわかりました。フェミニズムのやさしい
入門書はないかなー。
ひとつ気になるのは、この本がフェミニズム的に妥当な内容なのかどうかってこと。
著者が著者だし、わりと極端なことも書いてあるので、この本の内容をこういう
ものだと信じちゃって大丈夫なのかなー。そのへん、識者の声を聞いてみたいです。

素人目には、エヴァを作ったガイナックスのメインスタッフの多くは男性だと
いうことの意味が問われてないのがちょっと不満かなー。
あと、キリスト教バックボーンのない日本人によるキリスト教世界だという
ことについても掘り下げが足りないような気が。

本のつくりとしては、まんなかによくわからない英文が8ページも挿入されてる
のが謎。めんどくさいから読んでないけど、「Evangelion as the Immaculate
Virgin  A New Millennialist Perspective Daughters of EVE  Synopsys」って
タイトルになってるから、この8ページだけ読めばこの本のだいたいの内容は
わかるのかな? しかしなぜ英語。なめとんのか。脚注にも英文を訳さず
原文のまま長々と載せてるところがあるし。とめろよ編集者。

しかしまあ、こんな本がマガジンハウスから1,200円で出てしまうとは、さすが
ブーム。エヴァ解釈のひとつとしてはなかなかおもしろいので、一読は
おすすめします。

	MAP5673  ものしらずEiji