#149 Article 734 Posted at 1995/01/21 02:35:36 by ナリ (MAP4662) [COMIKET47]
Subject: Re:*5 コミケット47で見つけた同人誌” /733 ... /729 /722
ナリです。話がずれていきそうで、なんかすごく気になったので。
>加えて、「経済原理」というものも
>現在のアニメを動かしている原動力の大きな要因の1つであり
>決して無視できない部分だと思いますので、
>その辺まで考えていただけると完璧だと思います。
なんか話をはぐらかされたような…。(-_-;;) 「経済原理」という言葉があ
まりにも漠然としていて、発言の真意がつかめない。
多分このパラグラフは、僕の主張になんらかの批判をするつもりで書いたも
のだったのでしょうね。ここからは僕の推測ですが、だとしたら、このパラグ
ラフの言わんとしていることは、以下の少なくとも一方だと思います。
▽あんたが「理想」に燃えていることはよくわかったが、アニメは(少なくと
も「名作」は)スポンサーあって初めて成り立つもの。スポンサーさんが潤う
ようなアニメじゃないと何にもならないのよ。(以上批判1とします)
▽しっかりしたアニメを作るためには、いろいろと先立つものが必要でしょ。
限られた予算内ではあの程度で精一杯なのよ。(批判2とします)
批判1については、常識に反しているのはもちろんのこと(より広い層の観
賞に堪えるアニメを作ることが、なんでスポンサーの利益にならないんだ?
少なくとも、今より視聴率は上がるんじゃないの?)、論理的に考えても、ス
ポンサーが潤うことと、より広い層の観賞に堪えうるアニメを作ることとが排
他的であること(つまり、スポンサーが潤うようなアニメは必ず「つまらない」
アニメになってしまう、ということ)が言えない以上は、この批判は成り立た
ないですよね。これを明らかにするのって相当難しいと思いますよ。
批判2はちょっと厳しいですね。確かに、作画や背景の枚数を増やしたり、
制作本数をガンガン増やしたりするようなやり方でアニメの質を上げていこう
とするならば、お金の問題は早晩出てきてしまうことでしょう。その点では厳
しい批判です。
でも、少なくとも、現状の「名作」劇場が直面している質の問題ってのは、
そういうところにあるのではないでしょ? 前にも書きましたが、真に名作劇場
がどういうものを描くべきなのかということについて、製作側の人たちがあま
りにも浅くにしか考えていない、ということが今の「名作」の根本的な問題性
なのです。そう考えないと、『ティコ』の提唱した人間観や自然観、また家族
観のしょうもなさは説明できませんよ。「世界の名作」を原作に持って、ライ
ターが島田 満になって、監督が(高木よりはましな)楠葉に代わったからって
すぐさま解決するような問題ではない。
これは、誰が頭に座るか、誰が本の表紙に来るかという問題ではなくて、
「名作」をアニメ化するということで、実質的にわれわれは何を描くべきなの
か、また何を語るべきなのかということに関する議論が根本的に浅いままに終
わっている、という問題です。ここを根本的に改めないと、表面的には確かに
きれいかもしれないけどあんまり中身のない世界が、今年も!展開されてしま
うのです。『ティコ』よりまし、って言ったって自慢にも何にもなりゃしない
(そんな比較に「名作」が甘んじてていいわけはありません)。この問題はお
金の問題ではないでしょう。
こういうところに根本的な問題があるからこそ、われわれがどんどんものを
言って、「名作」の問題性をともに考えあうということが、有意義になってく
るのです。これはお金の問題じゃないんですもの。ここにおいては、作る側と
見る側とは、完全に分離した別世界ではなくなります。こういう点においては、
われわれだって「参加」はできるのです。
また、今の2つとはちょっと毛色の違った批判ですが、
▽あんたはどうやら、「リクツ」だけでアニメを変えていけるようだと思い込
んでいるようだけど、それだけじゃない。例えば「経済原理」なんか、無視で
きないでしょ。(批判3とします)
…こういうことが言いたかったのかなあ。だったらこう答えます。
「経済原理」と呼ばれるべきものがあって、それによってもアニメが動いて
いることは、僕だって知っていることです。それを今さら言われても困るので
すが…。
ただこのテの考えを抱くうえで気をつけなくてはいけないのは、そういう力
を認めるにしても、それを必要以上に大きく考えてしまい、結果としてそれを
万能視してしまうような態度に与してはいけない、ということです。それだけ
によってアニメが変わるわけではないという批判は、「経済主義者」にもそっ
くりそのままはね返ってきてしまうのです。
アニメは結局のところ、人が作っているものです。しかも、それ相応に合理
的な思考の手続きを踏んで。そのプロセスにわれわれが批判の目を向け、発言
していくことは決して無意味でない。わかってるのかわかってないのかわから
ないような「時代」とか「経済」とかに頼りきって沈黙してしまうよりは、こ
ちらの方がより実践的にアニメを変えていける方法だと思いますが。
どうも論点がずれていきそうな気がしたので、しつこくもレスしてしまいま
した。…論点がずれていくことによって、現状の「名作」が真にどういう問題
に直面しているかという問題がはぐらかされてしまうことこそが、この議論で
一番危険なことなのです。絶対に避けないと。
//ナリ(MAP4662)