#148 Article 7270 Posted at 1994/07/05 08:01:23 by 羽鳥絢 (MAP4556) [MORNING]
Subject: Re: 【ある朝の出来事】 /7219
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【ある朝の出来事】
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(目覚し時計)
今日こそ 今日こそは自分の使命をしっかり果たす
彼は必死になっていた
自分の仕事に全神経を集中する
彼は目覚し時計 毎朝少女を起こすのが役目
手ではたかれようが、足で蹴られようが
壁に投げつけられようが
どんな扱いをされようともそれが彼の仕事である
もうどのくらいがんばっているだろうか
少女を起こすために彼は力の限りにベルを震わせ続けていた
さすがに疲れて来ている
彼の努力を無視して少女は快い寝息をたてている
今日も少女は布団を足でけとばし
大の字になって眠っている
ねぞうがわるくパジャマがめくれ おへそがみえている
なんと無防備な寝姿だろう
窓から風が入って来て、微かにピンクのカーテンを揺らす
女の子らしいかわいいカーテン
昨夜が暑かったせいか窓は開いていて
外の気持ちいい空気が室内に入ってくる
庭の木から小鳥が飛び立っていくのが見える
布団を掛けないで眠るとおなかをこわすよ
と言ってやさしくかけてやりたかったが
彼にはそれはできなかった
なんの心配事もない安らかな寝顔
少女の顔からわずかに笑みがもれる
きっと楽しい夢を見ているのに違いない
この笑顔をずっと見ていたいな
と、ふと思う
4文字の言葉が胸に湧いてくる
しあわせ
それはこういう至福な瞬間の事を言うのだろう
いつまでもこのままでいれたら
しかし彼は今、少女を起こさなくてはならない
少女を楽しい夢のひとときから連れ戻さなくてはならない
それが彼の仕事なのだから
彼は、自分の職務に誇りに感じている
少女を起こすその事に
その事だけに全神経を傾けた
全身全霊をかけてベルをふるわせた
彼の努力が実ったのか少女はわずかに寝返りをうった
わずかな振動がベッドを伝う
頭の近くにあった目覚し時計は床に落ちた
少女はわずかにまどろみながら
また少女達の夢の世界へ帰っていく
今日も少女を起こせなかった悔しさのためか
最後にもう一度ベルを震わせ 彼は止まった
こうして彼は今日も力尽きてしまった
彼はそれでも思う
明日こそは、と・・・
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