#139 Article 152 Posted at 1993/12/14 01:26:02 by TOSHI (MAP2425) [MEDIA]
Subject: Re:*35 リトルツインズ /150 .......... /686(#15) /685(#15)
ああ、ご返事いただけるとは。うれしかったです。ありがとうございます。 だから言っているではないですか。僕の「感動」には全体主義への「感動」も 含まれているのだと! 戦争見て「感動」することだってあるでしょう。『イ デオン発動編』を見て、人間が虫ケラのように死ぬのに感動した人間なんて、 いくらでもいるのです。 ISAMさんが、他人の「感動」に近代西欧ヒューマニズムを重ねてみたがる のは、今までのお話でよくわかっておりますが、こちらは全く違う地点から、 ものを言っているつもりなのです。バカバカしくて相手にできないのかもしれ ませんが、少しは耳を傾けていただけるとうれしいのですけれど。 あなたのおっしゃる「面白さ」なるものは、広義でもなんでもない。むしろ、 極々狭い意味でのものでしかない。そんなものを、さも広いかのように言い、 他の観点を攻撃しようとするのは、あなたがお嫌いだとおっしゃる「言葉遊び」 そのものではないでしょうか。そんなものでは、僕の薄っぺらな「感動」すら、 痛みを感じません。もちろん、「近代西欧ヒューマニズム」という巨大な怪物 には傷一つつけられませんよ。ハリウッドの論理を危険とするとかしないとか いう話ではないのです。あなたの「面白さ」は、所詮ハリウッドの倫理でしか ないのでは、という話なのです。 ハリウッドの倫理は、危険とか何とか言う前に、まず、陳腐であり、貧しいの です。さらに言えば、所詮、商売の倫理(しかもその内のほんのひとつ)でし かないのです。別に僕らは商売でアニメ見てるわけじゃないでしょ。ハリウッ ド映画しか見ないわけでもないでしょう。 おっしゃる通り、何も知らないのですね。 『ミラクル★ガールズ』が変わったことも、『ブラジル』のラストが差し替え られたことも、『ブレード・ランナー』で重要なカットが切られたことも、オ ーソン・ウェルズが「市民ケーン」以降、ほとんどまともに映画を撮らせても らえなかったことも知らないのですね。 「面白さ」のみでフィルムが判断できるかのように暢気に言っていられるのは、 それだからなのではないでしょうか。 それでもあなたがハリウッドの「面白さ」について言われた言葉は、なかなか 面白かったです。あの言葉を使えばこんなことも言えますね。 「ISAMさんは西欧近代ヒューマニズムを非難するようですが、その非難が、 -------------------------------------------------------------------------- もしも西欧近代ヒューマニズムが他の文化を圧迫し均質化してしまう悪意に満ちて いるというような意味なら、むしろそりゃたいへん結構なことだといいたいですね。 バンバンやりなさいとまではいいませんが、そういうのって「悪」どころか文化の もつ基本的な性質の一つでしょ。 それを「悪」などと言ってしまう思想のほうをむしろ危険だと思います。 -------------------------------------------------------------------------」 例えば、劇場版『宇宙皇子』をご覧になったことはおありでしょうか。 『RUNNNING BOY スターソルジャーの秘密』は? 私は、『宇宙皇子』を見て大笑いしましたよ。面白かったから。 でも、面白かったからと言って、『宇宙皇子』を評価しようとは思いません。 それどころか2度と見たくないですね。評価という言葉があれなら、他人に無 条件に勧める気にはなれないと言い替えましょうか。 シナリオも構成も演出も作画もまるで駄目。何より製作者の志が画面にない。 もちろん(広い意味で(笑))心を動かされることもなかったのですから。 しかし、その、型にはまったくだらなさが、実によかった。角川ブランドは、 こうでなくてはいけません。ISAMさん流の言い方をすれば、「面白がって る自分」を面白がっていたのかもしれませんね。 こういう作品に対して、「面白さ」のみを基準に善だ悪だということの、何と つまらないことでしょう。「感動」しなかったからと切り捨てることの、(広 義か狭義か知ったこっちゃないですが)何とくだらないことでしょう。 一筋縄ではいかないようなものだからこそ、アニメは、フィルムは、作品は、 時として人の心を動かすし、面白いんじゃないでしょうかね。 逆に言えば、一言で言えないからこそ、人は作品を作るんでしょう。 「たかがアニメ」に、ヒューマニズムはいかんとか、面白さのみを基準にする とか、初めから構えて見て、どうするんでしょうか。何か一つを基準に作品を 評価してどうするんでしょう。 MENUにだって、時と場合によっては感動もするし、面白いと思うこととて あるのです。それをあざ笑うような、その程度の狭量な「面白さ」しか、持ち 合わせていらっしゃらないんですか? 西欧近代ヒューマニズムが作品や評価を歪めるから悪だ、とおっしゃるようで すが、ハリウッド流の「面白さ」とて、それは同じではないでしょうか。 結局のところISAMさんは、西欧近代ヒューマニズムが嫌いで、ハリウッド 的な面白さが好きなだけなのでありませんか。それを倫理だの、優れてるだ のとレトリックで飾ろうとするから、ご自身の律し切れない行動を悪だと言わ ざるを得なくなったり、他人の「血肉になる」という言葉を、ヒューマニズム に基づいたものといなり断定してしまったりするのではないでしょうか。 好き嫌いだけでおっしゃってれば罪もないでしょうに。 もし、レトリックで飾るつもりなら、もっと首尾一貫していただきたいですね。 そうでないと美しくありません。美しくないレトリックなど無用の長物でしょ。 TOSHI