#13 Article 9758 Posted at 1995/03/18 00:15:12 by WAK (MAP5274) [SYNTAX]

Subject: Re:*18 タイトル… /9752 ...... /16414(#148) /16322(#148)

Art 9752  MSP-Iris さん
> それはですね、文節や単語をどこで切るかという問題と絡むわけですよ。

 文法規則は知っています。ただ、規則に行きつく前に、現実の使われ方を意
識しないことには、チト危ないんじゃないかと思ったんです。
 というのも、従来の日本語文法は、なぜか独り歩きを始めるクセがあって、
というのは、何も文法が悪いんでなく、そういう姿勢で文法の話をする人間が
悪いんですけれど、言語は情報伝達の道具だ、という事を忘れて、いきなり規
則の話に行く人が多い。「連用形+助動詞」の話にしても、明文化された規則
が先にあったのではなく、実際の使われ方を分析したら、そういう法則が見つ
かった。こういう順序の筈なんです。

 で、ここから先は私の悪い癖なんですが、「か行の活用で連用形の[い]に
ついてどう考えるか」というときに、いきなり「音便」と言われると、「ちょ
っと待って」と言いたくなるんです。

 特に文系を自称する人に多かったのですが、音の転化の問題を、なんでも音
便で片付ける人がいるんです。詳しいことは長くなるので省きますが、とにか
く経緯をすっ飛ばして「音便」に話が入るのには警戒してしまうんです。

 とりあえず、文語の「咲きて」の音便で「咲いて」になって云々、というの
は、理屈では解るんです。ただ、現代口語では、文語と口語の間にかなりの乖
離がありますし、現在の学校カリキュラムでは、実際の文語を突っ込んでやる
のは高校に入ってからだと思いますから、そういう教え方では順序が逆ではな
いかと。それでも文部省が「そう教えるべき」というのであれば、いい加減な
事をせず、教育システムに則した形に書き換えるべきではないかと、そういう
事なんです。まぁ、そんな事をしたら、しょっちゅう書き換え作業が必要にな
るでしょうし、どうせ無理でしょうけど。<文部省

 で、仮名遣いの方に話題を振っちゃうんですが、「書かう」を、現実の発音
に則した形という理由で「書こう」にするのなら、「書いて」についても「音
便でどうの」と教えるのでなく、「現実にこう発音しているんだ」という程度
の説明で構わないのではないか、と思うんです。どうせ。
 まず肝心なのは、「書きます」と「書いています」の決定的な違いを認識す
ることなんです。「連用形+助動詞」というのは、その後で構わないんです。
 また、「音便云々」の説明を、連用形でやる必要があるのなら、音便につい
てもきちんと教える必要がありますし、でないと「音便」とそうでないものと
の区別がつきにくくなるのでは?と私は考えます。
 ここまで来ると、今の授業のあり方では無理ですね。

 文法授業は、実際の用例に照らして教えるのが一番負担が少ないんです。そ
の際には、古典を参照して発生の元まで教えたほうが判りやすいものもありま
す。だから、従来の研究によりかかった形の文法を教えるのであれば、なおの
こと現代仮名による古典との断ち切りは意味がないのではないのかな?と思う
んです。
 それでも、あえて仮名遣いの変更の必要があるのなら、姑息なやりかたでは
なく、合理的な説明や変更を、文部省と国語審議会はしなければならないので
は?と考えているんです。

>  この補助動詞の「いる」は、動詞の「いる」とは意味が全然異なります
> ね。WAKさんの感じている時間的な問題は、この「いる」の方にかぶっ
> てくると思うんですけど、どうでしょう。

 これは、答えようとすると結構長くなりますから、次のアーティクルにしま
すね。

                            WAK(MAP5274)