#126 Article 13213 Posted at 1994/02/21 08:29:59 by 速水 明 (MAP4167) [NOVELS]
Subject: 姫ちゃんノベルズNo.14
以前、この物語を書くぞ!と言ったとき・・・・
夢でみたから・・・・が理由でした。
確かに、今までの連載の中で基本的な骨組みとして書いていました。
早い話しが、夢で見ていたのは今回のお話しまでで、その先は書いてる自分でも
よくわからん・・・・・と。
つまり、こんな感じで「つづく」みたいな・・・・^_^;
要は、起きてしまった(目が覚めた)わけで・・・・(^^ゞ
そんなわけで、ようやく第一話が終盤にさしかかって来ました。
~~~~~~
それでは、お楽しみ下さい。
「姫ちゃんのリボン ~夢物語編~」
第一話 恋の季節は師走のなかで
●S-32 秘密の隠れ家
姫子と大地の間を静かな時が流れていた。
しばらく考え事をしていた姫子は、ふと教室での出来事を思い出していた。
---「なぁ、大地、今度の休み、練習試合があるから助っ人頼むよ」
---「こめん!また今度な」
(そうか!それで大地・・・。この件があったから・・・・)
自分なりに納得した姫子はにこにこしながら大地の顔を見ていた。
「な、なんだよ・・・・」
姫子に頬づえをついて微笑みかけられた大地は一瞬たじろいだ。
そんな大地の反応を見て急におかしくなり、くすくすと笑いだしていた。
「なんなんだ、全く・・・」
大地は訳が分からないといった感じで姫子を見ていた。
「さてと、そろそろ帰ろうかな」
そう言って立ち上がるとコートに袖を通した。
促される様に姫子も帰る準備を始めた。
カバンを肩に掛けた大地は先に部屋から出ていった。
「待ってよ」
カバンを手に取ると、あわてて大地の後を追っていった。
隠れ家から出てきた二人は並んで歩いていた。
「ねぇ、自転車は?」
「近所の公園に置いてきた。」
(近所の公園って・・・・前、大地が住んでたマンションの前の・・・)
いつのまにか大地より数歩遅れて歩いていた姫子は小走りで追いついてきた。
(大地って、歩くの早いんだ・・・・・。今まで一緒に並んで歩いたって事無かったし・・・
走った事はあったけど・・・・。)
ふと、そんな事を考えていた姫子は、不意に立ち止まった大地におもいっきり
ぶつかってしまった。
「痛ったーい」
したたか、大地の背中に顔をぶつけた姫子は鼻をさすりながら大地の前方を見た。
「どうしたのよ、急に立ち止まったり・・・・・・・げっ!!」
そう言いかけた姫子は思わず大声を上げてしまった。
「ひ、日比野さん・・・・・」
(なんで、こんな所に日比野さんがいるのよぉ)
●S-33 隠れ家周辺
「あーら、大地君。こんな所で会えるなんて・・・まさに運命の出合ね。」
熱い眼差しで大地に迫る日比野さん。
「会長、抜け駆けは・・・・」
「だ・い・ち・くぅ・ん・・・」
すでに、周りの声は届いていないらしい。
そんな日比野さんに大地が自分から身体を寄せてきた為、さらに舞い上がって
しまっていた。
お供の伊藤と江藤は、こりゃだめだと呆れたように成り行きを見ていた。
「大地君・・・・・」
完全に自分の世界に浸っている日比野さんを現実に戻す一言が返ってきた。
「痛ったーい」
「まぁ、大地君ったら、『痛ったーい』だなんて・・・・・・ん、痛い?」
はっとなり、声のした方を見た。
「ひ、日比野さん・・・・」
「の、野々原さん?」
なんであんたがここにいるのよと言わんばかりに、二人のにらみ合いが始まった。
(ああっ、あたしって・・・・・なんてついてないんだろう・・・・・・はぁ)
落胆しながら姫子は大地の横で自分の運の悪さを悔やんでいた。
「大地君!まさか今まで野々原さんと『デート』って事は無いでしょうね!」
いきなり凄い剣幕で振られた大地は一言「さあな」と取り合っていない。
姫子も「デート」という言葉が出た瞬間顔を一瞬赤らめた程度で、日比野さんの
問いかけにも相変わらずのそっけない態度でかわす大地を見て快く思っていた。
「じゃあな」
と、一言残して去っていく大地。
「大地くぅん・・・」
別れを惜しむ恋人の様な仕草をして日比野さんは大地を見送った。
その大地を追いかける様にして駆け出した姫子の前に、怒りをあらわにした日比野
さんが立ちはだかった。
「の・の・は・ら・さん!。今日という今日は勘弁ならないわ!あなた、いい加減に
大地君を諦めなさいよ!我雑で優雅さのかけらもない男女のあなたが大地君と吊り会
うとでも思ってるの!」
さすがの姫子もその一言で完全に切れていた。
完全に座った目で日比野さんを睨み、一歩間合いを詰めると姫子の右手が一閃した。
パァン・・・・・・
叩かれた左の頬を両手でかばいつつ、涙目になっている日比野さんと、思わぬ展開に
なってしまったと、ただただ呆然としている二人・・・・・
「な、なによ・・・暴力ふるう気?」
弱腰になっている日比野さんをよそに姫子は低い声で呟いた。
「いい加減にして欲しいのはこっちの方よ!人の顔を見るたび何か文句を言ってくる
し・・・・、大地君、大地君って騒ぐだけ騒いで・・・・大地って日比野さんの何なのよ!」
完全に姫子の迫力に圧されている日比野さんは後ずさりをしていた。
「だいたい、人の事をどうこう言う前に自分から行動しなさいよ!人の事をゴミみた
いに・・・・そんな事言える権利がどこにあるのよ!あたしは、ただ大地が好きなだけ
よ!」
一気に話してしまって姫子は「はっ」とした。
(好きだって言っちゃった・・・・・)
はっとしたのは姫子だけではなく残りの三人も同様であった。
顔を真っ赤にした姫子は「それだけよ」と一言残して去って行った。
姫子が去り、その場に残った三人はしばらくたたずんでいた。
「な、何よ・・・・」
打たれた頬に左手をあて、右手で握り拳を作る日比野さんであった。
「会長・・・・」
伊藤と江藤もそんな日比野さんを見守るしか出来なかった。
つづく
MAP4167 速水 明
ps. 感想まってます。