#124 Article 5175 Posted at 1998/02/05 03:41:39 by ASA (MAP2105) [MOVIE]

Subject: 『顔役暁に死す』

この映画見るのは二度目。脚本が池田一朗(後の隆慶一郎・本作は小川英との
共同執筆)とは初めて知った。初めて観た時はオープニングに間に合わなかった
のだっけ。しかも原作大薮春彦。大薮と聞くとつい『餓狼の弾痕』思い出して吹
き出しちまいますが。「ウルフ」「餓狼」……って知らないか、誰も。
  WOWOWの特集のうち、『斬る』ももう三回くらい、『殺人狂時代』は五六回は
観てます。観るたびに新しいディティールを発見するのが喜八映画のいいところ
で、この映画でも、主人公(加山雄三はアラスカ帰りのタフガイの役どころ。い
かにもアメリカンユーモアっぽいキザなセリフがハマッてる)が事件をかぎまわ
るとそのたびに誰かが誰かに電話をかけるとか、本筋とは関係ない胴長ギャグと
か、サスペンスとユーモアが同居してる「喜八テイスト」が実にいい感じ。

  怪獣映画~黒澤映画~喜八映画、とこの時代の東宝映画を観て来て面白いのは
脇の顔ぶれがおんなじなこと。冒頭に登場するガソリンスタンドのおやじは大村
千吉、『キンゴジ』の現地人ガイドをやってる人だし、対立するヤクザの片方が
平田昭彦(いわずと知れた芹沢博士)と中谷一郎(おなじみ風車の弥七、『独立愚
連隊』二本でいい味出してる喜八映画の常連)なら、もう片方は田中邦衛(『椿三
十郎』では平田ともども「鞘に入ってた」若侍)と中丸忠雄(『電送人間』。この
人も鞘に入ってたなあ)。

  きりがないからこのへんにしときますが、不思議なことに昔から怪獣映画や黒
澤映画を観てたにも関わらず、こうした顔ぶれが気になるようになってきたのが
喜八映画を見出してからなんですね。
  それも岡本喜八という人のうまさのひとつ。役者の持ち味を出させると言うか。

  さて、来週は『斬る』。仲代達矢と高橋悦史のダブル主人公が売りですが、敵
方の隊長の岸田森がめっぽうカッコいいのが拾い物。
  まあこの人は『斬り抜ける』だって『怪奇大作戦』だってめっぽうカッコいい
のですが、喜八映画ではもう二割増し。『座頭市と用心棒』では途中から出たく
せに、勝新と三船(うわあ、みんな故人になってしまってるじゃないか)の二人を
向うにまわしてあわよくば食っちまおうかってな勢い。
  その彼が『斬る』ではいかにカッコいいかというと……これは来週のお楽しみ、
てえことで。

		  『顔役暁に死す』リピートは7日(土)午前6時より  ASA