#12 Article 196 Posted at 1987/02/05 07:14:56 by Sysopポリアンナ (MAP001) []
Subject: アル ガクセイ ノ ヨル
彼は、ふと眠りから覚めた。強い喉の乾きを感じたのだ。恐らく、昨晩の酒宴の影響 だったのだろう。 時計を見ると、AM3:40。「今、ネットに入って来る人がいるなら、”こんなに あさはやくアクセスしてくださってどうもありがとう”だな・・・」とか考えながら、 彼は起き上がり、別に”おおきくのび”はしなかったが、ともかくガウンを羽織り、手 近にあった小銭を持つと、近くの自動販売機へ行くことにした。 いつものように外へ出て、何気なく鍵を掛けてから、彼ははっとした。 「しまった!! 今は鍵を持っていないんだったぁ!」 ここで解説が必要と思われるが、彼の住んでいるアパートは、はっきり言ってかなり 安っぽいもので、当然のごとく入り口の鍵は、”ポッチ”を押しておいてから閉めるこ とによって施錠するタイプのものであり、したがって鍵が無くても閉めてしまえるので ある! さて、完全に締め出されてしまった形の彼は、どうしたのであろうか? 「うーん、困ったぞ。昼間なら大家さんの家に行って合鍵をもらってくることもできる んだが・・・。」 大家さんは、アパートからちょっと離れた一軒家に住んでいる、感じのいいおばさん である。しかし、この時間に押し掛けて行くのは、あまりにも非常識だ。 「なんとか鍵を開けられないかな?」 彼は、入り口の前で、しばらく時間を潰した。しかし、現実は厳しかった。 「そうだよな。いくら安いと言ってもやっぱり鍵なんだもの。素人に開けられるはずも ないよな・・・。でも、この部屋の戸締まりがしっかりしているのが分かって、本当 によかった・・・。」 彼は、お得意のよかった探しで、鍵を開けられない現実から少しでも遠ざかろうとし た。 しかし、東京とは言っても、まだ2月それも先日の積雪が残っているのである。寒さ はかなりのものだ。 「風がなくて本当によかった。それに、雪が降ってなくて本当によかった・・・。」 こういう場合のよかった探しは、現実に体感している寒さの前には、あまりにも無力 であることに、彼は気が付いた。なんと言っても、パジャマの上に薄いガウンを羽織っ ただけである。 目に付く残雪が、ちょうど再放送をしている「フランダースの犬」の最終回のネロ少 年の姿をほうふつとさせる。それに、風が無いと言う事は、それだけ冷え込みが強い事 を意味している。 「とにかく7時頃まで待って、大家さんの家に行こう。」 ちゃんとした服を着ていれば、近くのファミリーレストランで時間を過ごすことも考 えられなくもなかった。しかし、このなりでは・・・。彼は途方に暮れた。 「今が4時くらいでよかった。もし、1時だったら、あと6時間も待っていなくちゃい けなかったんだもの・・・。」 しばしの間、寒さに耐えてよかった探しをしていた彼だが、これがあと3時間続くと なると、一体どうしたらいいのか分からなくなってきた。おまけに風まで出て来たよう だ。 その時、彼の頭に閃いたものがあった。 「そうだ、近くの24時間ストアは、ファーストフードを扱うから、一応座席もあった 筈だ。あそこなら訳の分からないおっさんも来るし、この格好でコーヒーだけ飲んで 座っていても、それほど問題はないのではないか・・・。」 彼は、近くにそのような店があったことを、本当によかったと思った。それに、持っ て来た小銭が、100円玉でなく500円であった偶然に、本当によかったと感じた。 何故かと言うと、その店のコーヒーは120円であったからだ。 ここから先は、もう語る必要もあるまい。彼は、7時までの2時間強を、その店で過 ごしたのである。 さらに、ここでも彼は1つよかったを見付けた。 「あれ? この店のイメージソングを歌っている人、なんとなく岡本麻弥みたいな声を してるな・・・。もしかしたらそうなのかな? うーん、今まで気が付かなかったけ ど、何回も聞いてみるとどうもそうらしいな・・・。 それが分かってよかった!」 ちなみに、岡本麻弥とは、彼の最も好きなアニメである「メイプルタウン」の中で、 「パティ」を演じている声優である。 しかし、彼女が本当に某ミニ・ストップなる店のアナウンスをしているのかどうかは 彼にも確認出来なかった。 Sysopポリアンナ.... アー サムカッタ。