#119 Article 7400 Posted at 1995/12/24 23:18:39 by L.A.KID (MAP5695) [USSM]

Subject: News Station on 11/23/95

L.A.KID です。

だいぶ遅れましたが、11月23日にニュースステーションの中で放映
されたアメリカにおける日本アニメのリポートを見ました。私のアニメ
仲間(アメリカ人)たちにも見てもらいました。

「日本のニュース番組の中で放送された、アメリカにおけるアニメに関
するリポートのテープを持って来たよ。」と言うと、「さっそくチェッ
クしよう」ということになった。そのときミーティングルームには10
人ほどいて、みんなテレビの前に集まって来て、いざ、Play!!

ナレーターのしゃべることを、出来るだけ通訳しようかと思ったが、面
倒なのとアメリカ人はべらべら喋りながら見るので、結局やめた(それ
に同時通訳出来るほど英語うまくないし)。


☆アメリカ版せらむんを見る黒人の子供達の様子

「この家庭を選んだことに何か意味があるのか?」との質問あり。「知
らん(笑)」と答えた。白人ばっかり出て来るアニメを、黒人家庭で見せ
て取材するとは、いったい何を考えているのだ?ニュースステーション
スタッフは(笑)。現在のアメリカの子供番組はたいてい、人種構成をよ
く考えて作られているので、黒人がひとりも出て来ないせらむんをみて
も、今のアメリカの黒人の子供達は不愉快だと思うぞ。


☆「全米80の放送局。主に月曜から金曜の朝に放送されています。」

おーおー、放送時間をはっきり言わずに、ごまかしている(笑)。なぜ、
朝5時台の地域が多いと言わない!


☆「アメリカ版セーラームーンは、日本で放送されたものを、ほぼその
    まま英語に吹き替える形を取っています。」

うーん、「ほぼ」ねぇ。確かに「ほぼ」といえば「ほぼ」なのだがねぇ。
大切なポイントをよく外すんだよねぇ。最終回なんてボロクソにされた
し。それから、検閲について何も言わないの?ちっとはジャーナリズム
を発揮しろよ、日本のテレビ局。アメリカのジャーナリストだったらこ
ういう議論できるポイントは外さないぞ。


☆DiC の Director の Janice のコメント。

"I have to say...  when I first looked at it and I thought it
looked... very odd animation, and i didn't get the story at
all...  when I looked at it first without the translation.  But
then, there were also things like wierd still shots where the
mouth's like a wide-open lime bean.  But as soon as you hear the
music, you get into the story, it's completely forgotten...  and
just get into the story."

「正直に言って、最初見たときは、とても奇妙なアニメーションだと思
いました。ストーリーも全然分からなかったし。最初、翻訳無しで見た
ときですよ。でもそれに、口が大きく開いた豆みたいになる、変な静止
画とかもありましたし。でも、音楽を聞くとすぐに、ストーリーに夢中
になって、そんなことは完全に忘れてしまいますね。で、まったくストー
リーに夢中になってしまうんですよ。」

やっぱりな。最初は DiC の人たちも全然分かってなかったんですね。
そうだと思いました。もっと分かっていたら、もっといいものが出来て
いたはずだもん。どうしてせらむんフリークみたいな人を一人でも雇わ
なかったんだろう? Internet でちょっと求人広告出せば見つかるのに。


☆英語版オープニングソング

一ヵ所、(おそらく意図的であろう)変な和訳あり。

"Never running from a real fight" が、「苦しくても戦うの」とかな
り意訳されていた。本当は「真の戦いからは絶対に逃げないわ」の意。
最初我々が、この歌を聞いたとき、「この詩を書いた奴は誰であれ、一
度たりともセーラームーンを見たことが無いに違いない」と話していた
ものだ。


☆「ロマンスよりもアクション、これがアメリカの女の子たちの好みな
    のです。」

僕はそうは思わない。これまでロマンスを真剣に扱った子供向け番組が
アメリカでほとんど作られなかっただけ。だから本当は分からない。そ
ういったものはアメリカではウケないのさ、みたいな先入観を、アメリ
カの作り手たちが持っているだけだと思う。日本製アニメみたいな、多
様なジャンルが存在しないのは、作り手がそういった固定観念を捨てき
れていないせいなんだよね。


☆インタビューされた女の子。どこが好きかと聞かれて。

"The part where she just fights... and she transforms"

「戦うところと、変身するところ。」

"It was good to me because... its action is just like Power
Rangers...  It's good."

「良かった。だって…アクションがパワーレンジャーズみたい。いい。」

この娘たちの言い方を聞いていると、たいしていいとは思っていないよ
うに思われる(笑)。だから、押しかけるなら、裕福で幸せそうな白人家
庭に行くべきだったんだよ。


☆「パワーレンジャーとは日本で3年前に放映されていたジュウレンジャー
    のこと。おととしアメリカでの放送が始まるとたちまち爆発的な大
    ヒットとなりました。」

ホントは大ヒットになるまで結構時間がかかった。初めは誰も注目してなくて、
放送時間も酷かった。


☆バンダイアメリカのコメント

"We looked at the dolls and decided that the dolls that are sold
in Japan are certainly beautiful dolls but they are not what
American girls are used to.  We looked at the Japanese dolls. To
us, the faces are very child-like and the eyes are sad.  We
thought that Sailor Moon character should be strong character,
happy character, and heroic character, and that this doll look
from Japan would not convey to American girls."

「私たちは人形を見て、こう結論を下したんです。日本で売られている
人形は確かに美しい人形だが、アメリカの女の子が慣れ親しんでいるも
のじゃない。私たちは日本の人形をよく見ましたが、私たちには、顔が
非常に子供っぽく、眼が悲しげに見えます。私たちは、セーラームーン
の性格は強く、明るく、勇敢な性格なはずだと考えました。日本製のこ
の人形の顔つきでは、アメリカの女の子には伝わらないでしょう。」

この人のコメントの最中のみんなの反応:

「そう、そう、それで、だから、…」
(ここでアメリカ版せらむん人形映る)
「あ゛~~~~~~~!!!」

そうなのです。このアメリカ版せらむん人形は、オタクである、無いに
かかわらず、「大変」評判が悪い。みんな、本当にみんな、文句を言っ
ている。アメリカ版の方がいいデザインだなんて言う人はほとんどいま
せん。私の友達に、ビバリーヒルズで日本のアニメグッズなどを売って
いる店で働いている人がいるのですが、「日本版とアメリカ版の両方を
置いているけど、日本版の方が、高いのに、3倍よく売れる」と言って
いました。ちなみに客層はビバリーヒルズのお金持ちのお坊っちゃま、
お嬢さまたち。「セーラームーン人形を娘のクリスマスプレゼントにし
ようとおもったが、あまりに安っぽいので、やっぱりバービー人形にし
た」という話まで聞こえて来ます。日本版のものをそのまま売った方が
絶対商売になるのに(日本での生産ラインもそのまま使えるかも知れな
いし)、バカですねぇ、バンダイは。

☆Janice のせらむん人形に対するコメント

"She(Barbie)'s still ultimately a fashion doll.  This is Sailor
Moon.  She's a fourteen-year-old girl.  She's got story,
brother, sister, parents.  She's got school.  She's got a
boyfriend.  She hopes and she dreams.  You know... plus, she has
to fight evil.  You know, it's like...  it's... it's... it's...
it's roll-playing.  It's an action figure doll.  First
just... oh, let's change cloths and fix your hair."

「バービーはそれでも結局はファッション人形なんです。これはセーラー
ムーンで、14才の女の子、ストーリーがあり、弟、妹(いねーぞ(^^;)、
両親がいて、学校があり、ボーイフレンドがいる。夢も希望もある。で
しょ?それに悪と戦わなきゃならない。ね?ちょうど、ロールプレイン
グみたいな。アクションフィギュア人形なんですよ。まず、じゃ、あ、
お着替えして髪を整えましょうね、っていう。」


☆「マンガ、アニメという単語は既に英語になりました。」

そうなんです。ただし、日本製のマンガ、アニメだけを、そう呼ぶんで
す。決して American Cartoon を Manga とか Anime とか呼んだりしな
い。その辺に彼らの思い入れが感じられますね。


☆ニューヨークのアニメクラッシュというお店

「俺、ここに行ったことあるぞ」という人あり。「俺の店に取材に来い!」
という人もあり(笑)。


☆「OTAKU = 日本のアニメの熱烈なファン」

正しい。しかも彼らは誇りを持って OTAKU と言う言葉を使っている。
だから、「この前、日本から来た女の子に出会ったので、『ワタシハ、
オタクネ』と言ったら、彼女は笑った。どうしてなんだ?」とかいうこ
とが起きる(笑)。


☆「このドラゴンボールも10月からアメリカでの放送が始まりました。」

こちらは週1回の放送で、既に全13話の放送を終え、セカンドランに
入っています。ロサンゼルスでは土曜日の午前11:30から放送され
ています。ドラゴンボールも地域によっては朝の6:30とかからやっ
ているらしい。こちらはあまり注目されていないみたい。週1回だけだ
からかな。せらむんの方が、注目度が高いようです。


☆岡田斗司夫(OTAKING)のコメント。
「簡単に言えばですね、日本がかっこいいからなんですよ。昔、日本が
  アメリカ文化に憧れたのと同じで…」

僕もそう思う。ただ、「かっこいい」という言葉を論理的に言い換える
と、その国のもつ文化の何かが、自分達のもつものより優れているとか、
自分達には無いと感じ、それが自分達には達成したくても達成しづらい、
と感じることだと思う。だから、日本人は自分達のこの文化にもっと自
信やプライドを持って欲しい。その昔、アメリカ人がアメリカ文化を世
界中に浸透させたとき、アメリカ文化の象徴として、コカコーラをあげ
て、"Coca-Cola-ization" と言ったものだが、日本文化の世界への浸透
が "Otakunization" とか呼ばれる日が来るかも知れない。そしたら命
名者は L.A.KID だったと言ってくれ(笑)。

そういえば、このあいだ、「どうして僕はアメリカ人なんだ。日本人に
生まれたかった。アメリカ人なんてイヤだ。」と言う人がいて、ビック
リ。アメリカ人になりたい人が、世界中にたくさんいるのに。


☆江戸時代の浮世絵と比較する久米宏。

特定のグループのみに受け入れられる文化、すなわちサブカルチャーと
して、アニメをとらえているあたり、この人はちっとも変わってません
ね。いつでも大衆の味方なのですね。まぁ、久米宏の分析をしてもしょ
うがないか。

浮世絵との比較はよく行なわれますね。浮世絵自体、日本の漫画文化の
ルーツでもありますし。浮世絵はゴッホ(だったかな?)も大変夢中だっ
たと聞きます。多くの保守的な民衆や、社会的上位に位置する人々が、
浮世絵をポルノとして蔑み、評価しようとしなかった一方で、実は一部
では高い評価を受けていたのですね。そして、今では、ほとんどの人が
浮世絵を日本の大切な文化遺産として考えています。今のアニメが、ハ
リウッドの人間達の間で人気が高い、ということを考えると、世界中に
浸透して行くに連れ、単なる子供向け・おたく向けのサブカルチャーと
して見下されるのではなく、日本の大切な文化として見なされる日が来
るだろうと思います。


☆見終わって

「今度はロサンゼルスに来て、俺達を取材しろ、と言ってくれ。」とい
う声あり。また、「俺達がこのビデオを見ているところをビデオに取っ
てテレビ局に送ったらいいじゃないか」と言う意見あり。


P.S.
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L.A.KID