#119 Article 4094 Posted at 1993/09/11 04:36:51 by K_Katayama (MAP3623) [S.STORY]

Subject: シルバーミレニアムのショートストーリー

ども K_Katayama です。

今回の連続投稿の最後はうさぎちゃんの話・・・と、いきたいところだったのですが
うさぎちゃんは本編で十分に語られていると思いましたので、ここは重要な存在で
ありながら今一つ描写のしっかりとしていなかったシルバーミレニアムのプリンセス
・セレニティを主役とした話でお茶を濁させてもらいます。(^_^;;)

-------------------- ここから --------------------
第1章~逢瀬-プリンセス・セレニティ

地球……青く輝く美しい星。
私はまたいつものように宮殿のテラスから眺めている。
そこで見つけた一人の男性。
会いたい。エンディミオン。
会ってはいけないと言われるたびにあの人のことを思い出す。

我慢できなくなった私は4人の目を盗み秘かに地球へと降りた。
彼が森に狩りに来るのが好きと知り、森に潜み彼が来るのを待った。

彼が来た。まっすぐにこっちに向かってくる。
彼は私の前にひざまづくと、手をとり優雅に口づけをして、その甘い、低い声
で私に囁やく。

「ようこそ我がプリンセス、セレニティ」
「エンディミオン……。」

そして私たちは見つめ合い、どちらからともなく抱き合い、キスをする。
2人の逢瀬はここだけの秘密。
知るのは私の側近である四守護神の戦士と彼の側近である四天王、そして私の
母親にしてシルバー・ミレニアムの女王のクイーン・セレニティのみ。

私は身を切られるような気持ちで言った。

「今日は、お別れを言いに来たの……」
「何故?」
「お母様が、クイーンが言うの。『地球と月の住人は通じてはならない。それ
は神のおきて』と」
「それで、君は僕と別れたいのかい?」
「そ、それは……」

ダメ、好きになっちゃダメ、逢ってはいけないのにこれ以上好きになったら辛
いだけ……。
そう私は自分に言い聞かせていた。

でも、もう、遅い。

私はエンディミオンと出会ってしまった。そして彼を愛してしまった。

「別れたくなんかない!あなた以外の人なんて愛せない!」

口をついて出たのは私の感情の全て、エンディミオンを愛している。ただそれ
だけ。

「僕もだ。セレニティ。僕も君以外の人と結ばれることはあり得ない」

その時、ガサガサと木の葉の揺れる音。

「誰だ!」

エンディミオンが誰何するけど返事はない。

「きっと動物だったのでしょう」

私はそう思うことにした。
今はただこの2人でいる時間を少しでも長く過ごしたい。

しかし、それがその後の悲劇を生むことになるとは神ならぬ私には知ることは
できなかった。

第2章~裏切り-ベリル

あの日、私はエンディミオン様にお会いするため、殿下の離宮を訪れたところ、
森に狩りに出かけたという家来の話を聞き、出かけていった。

そして、殿下のお姿を見つけ声をかけようとした私が見たのは、見知らぬ女と
抱き合って何やら語らっている殿下の姿であった。そして、

「僕もだ。セレニティ。僕も君以外の人と結ばれることはあり得ない」

という発言を聞いた時、私はショックを隠せなかった。
宮殿ではいつもお似合いのカップルと言われ、私自身もいずれは結ばれること
を夢見ていたエンディミオン殿下の口から他の女に向かって愛の言葉を語られ
るなんて……。

私は思わずそこから離れるように駆け出していた。
後ろの方で

「誰だ!」

というエンディミオン様の声が聞こえたが、返事もせずにそのまま駆け通した。
必死に駆けた。ただその場から離れたくて。
ふと気がつくと目の前に石碑が見えた。

石碑は何か語りかけてくるようだった。私はそれを受けるために石碑に触れた。

「お前、力はいらぬか?あらゆる憎むべきものをうち破る力は?」
「力?」
「そう、力だ。力を手にすれば愛するものをその手に入れることもできるぞ。
お主とあの王子との間に邪魔をするあの月の王女セレニティを倒すこともな」
「あの娘が月の王女?そのようなものに我がエンディミオンを奪われてなるも
:のか……」
「されば我を受け入れよ。我が名はクイン・メタリア、汝もその名をもって我
に誓え我と共にあの月の王国を滅ぼすと」
「我は誓う。このベリルの名において。そして月の王国を滅ぼしあの小娘をズ
タズタに引き裂き、辱めてくれるわ!」
「よくぞ言った。我、汝と誓いを結びしもの、汝、我がために働くならば我は
我が力の一部を汝に授けよう」

そして気が遠くなっていくのがわかった。
再び気がついた時、私は私の中に潜む新たな力に気がついた。

「ふっふっふ。我こそ真の女王となるのだ。月の王国も地球の王家も邪魔する
ものは我が手で滅ぼし、そしてエンディミオンを伴侶として月も地球もその全
てを我、クイン・ベリルのものとするのだ」

第3章~戦い

ベリル、いやクイン・ベリルは王城に戻るや否や、自らの計画を実行に移した。

まず王子の側近である四天王に洗脳をしかけ、月の王国が地球を常に見張って
いて、いずれはこの地球を攻め滅ぼさんとしていると信じ込ませた。

そして、国王に謁見を求め、その場でその魔力をもって国王を始めとする、セ
レニティと合うべくその場にいなかったエンディミオンを除く全ての王族を石
化させてしまったのである。

エンディミオンが帰ってきた時には既に地球の王城は完全にクイン・ベリルに
掌握されていた。エンディミオンは戦いの準備をする四天王に

「なぜ争いなどするのだ!」

と、問いかけた。
それに対し四天王のリーダークンツァイトは反論した。

「王子!われわれはいいなりはもうたくさんだ!
月の王国のやり方には我慢できない!一方的に我々を監視するなど!」
「いついいなりになったというのだ!
監視だと!?誰に吹き込まれた?あの忌まわしい生き物か?」
「あの月の王国の連中は自分たちが我々よりも長く生きるからということで我々
を見下しているのです。王子の会った月の王国のプリンセスとて影では何を言っ
ていることやら」
「クンツァイト!わからないのか!?
われわれは利用されているのだぞ!あいつに!」
「王子、クイン・ベリル様がお待ちです。どうぞこちらへ」

ジェダイトが手を差し出した。
エンディミオンは怒って叫んだ。

「クイン・ベリルだと!お前たちの主は誰だ?私ではないのか?」
「われわれはクイン・ベリル様に忠誠を誓った身です」

そこまでクイン・ベリルの力が強まっていたとは……。と考えたエンディミオ
ンは王城を逃げ出し、月へ帰る途中のセレニティのもとへと急いだ。

「地球の王城が乗っ取られ、地球の軍が月に攻めてくるですって!?」
「そうだ、一刻を争う事態になっている。早く月に帰って警戒体制を整えねば
大変なことになる」

そして、セレニティと共に月の王国へ行ったエンディミオンは至急クイーン・
セレニティと謁見し、その事実を伝え、それを知ったクイーン・セレニティは
すぐに軍備を整えさせた。

そして、クイン・ベリルと四天王率いる地球の軍とクイーン・セレニティ率い
る月の王国の軍との凄絶なる戦いの幕は切って落された。両者一進一退の攻防
を繰り広げながら、だんだん地球の軍が押し気味に戦いを続けるようになった。

長い戦いも決着のつく時が来た。
地球の軍がとうとう月の王国の宮殿シルバーキャッスルにまで押し寄せてきた
のである。

エンディミオン、そして四守護神の戦士たちも必死で戦った。リーダーのヴィー
ナスとエンディミオンはセレニティを守るべく護衛についたが他の3人は最前
線で戦っていた。

その中でなおエンディミオンは地球の軍に向かい説得を繰り返していた。しか
し、クイン・ベリルに完全に洗脳されている兵士たちはその説得に応えること
もなくつい先頃までの主に剣を向けるのであった。

その時、戦いの中から声がした。

「この者たちはお前たちでは荷が重い。我々がやる」

そこに姿を現したのはジェダイト、ネフライト、ゾイサイトの3人であった。

「ここは私に任せて、ちょっと試してみたいの。『臨、兵、闘、者、皆、陣、
列、在、前!悪霊退散!』」
「ぐあぁぁぁっ!」

マーズが早九字の印を切り、気合いを込めた所3人は苦しみ始めた。

「思った通り。彼らを洗脳しているのが邪悪なるものなのであればきっとこれ
が効くと思ったのよね」
「危ない!」
「キャーーーーッ!」

苦しみながらも打ったネフライトの一撃を避け切れず、マーズが倒れる。

「いけない!『我が守護木星よ、嵐を起こせ、雲を呼べ、雷を降らせよ!シュー
プリーム・サンダー!』」

その一撃はネフライトを撃ち抜き、彼は倒れた。
そして、驚くべきことに彼は死ぬと共に1個の石と化してしまったのである。
一方先のネフライトの攻撃を受けたマーズも致命傷ではないものの重傷を負い
再び立ち上がり戦いに参加するのは無理であった。

「ネフライト!」
「マーズ!」

両者ともに声をかけるが2人とも立ち上がる気配は見えない。

「許さない!」

ジュピターが怒り、ゾイサイトに攻撃を仕掛ける。しかし、ゾイサイトの体術
の前にことごとくかわされていく。

「さて、そうなると私の相手はお前のようだな」
「そうなるわね」

そして、マーキュリーとジェダイトの間にも戦いは始まった。
いつとも知れぬ戦いの中、一瞬のすきをつかれてジュピターが転倒した。

「ああっ!」
「ジュピター!」
「ふっこれで終わりね」

ゾイサイトが手に火球を作り今にもジュピターに浴びせようとする。
その殺那

「シャボン・スプレー!」

マーキュリーのシャボン・スプレーによってその火球は消え、その間に何とか
ジュピターも体勢を立て直した。しかし、その一瞬のすきをつかれてジェダイ
トの攻撃をまともに浴びてしまった。

「キャアーーーッ!」

倒れるマーキュリー、とどめをさすべく踏み込むジェダイト。
しかし、その一瞬何とマーキュリーは

「シャイン・スノー・イリュージョン!」
「何ぃっ!」

なんと自分もろともジェダイトを巻き込む格好で必殺技を放ったのである。
そして、その後には微笑みすら浮かべているマーキュリーと勝利の一歩手前で
倒され驚愕の表情を浮かべているという極めて対照的な2人を含んだ氷の塊が
あるだけであった。

「さぁ、そろそろ終わりにしましょうかね。お嬢ちゃん」
「ああ、これで最後だ」

そして2人はそれぞれ己の最後の力を振り絞って最後の技に入った。

「我が守護木星よ、嵐を起こせ、雲を呼べ、雷を降らせよ!シュープリーム・
サンダー!」
「ゾイ!」
「ぐぁーっ!」
「キャアーッ!」

2人の魂身の力を込めた最後の技はもはや防御を考えていない両者にとって充
分致命傷となるものであった。

一方、プリンセスを追ったクンツァイトはとうとうプリンセスらしき人間を見
つけた。

「ほほぉ、随分と諦めが良いようですね。プリンセス」

プリンセスは返事もしない。

「もはや恐怖で声も出ないというところでしょうか?プリンセス」

そしてだんだんと近付き、今まさに手を下そうとした時、プリンセスが動いた。
どこに隠し持っていたのか1本の剣を素早く抜くと近付きつつあるクンツァイ
トに切りつけたのである。

「ぐぉぁっ!」
「どう、幻の銀水晶の聖剣の味は?」
「き、きさま、プリンセスではないな?」

そのプリンセスらしき人影は黙ったままバッとプリンセスの衣装を脱ぎ捨てる
とそこには黄色い戦士の装束が、そして両脇で束ねていた髪を解き、頭のてっ
ぺんにリボンをきゅっと結んだ。

「貴様、ヴィーナスか!」
「その通り」
「だまし討ちとは卑怯な」
「いきなり攻めてきた相手にプリンセスはむざむざ渡せないの。たとえそれが
あなたであってもね。クンツァイト」

そしてヴィーナスは寂しげにクンツァイトを見つめると

「せめてもの慈悲。この聖剣であなたの命を断ってあげるわ。かつては愛した
人だから」

そう言うとヴィーナスは聖剣をクンツァイトに向けて振り下ろした。
クンツァイトはそのまま断末魔の叫びをあげると石になった。

「さあ、プリンセスのもとへ急がなくちゃ」

と、言い残し、プリンセスの後を追って走り始めた。
偉大なる月の力を目覚めさせると言われる月の塔へと。

第4章~転世

クンツァイトを倒しプリンセスの元へと急いだヴィーナスを待っていたのはプ
リンセス、クイーンに今にも襲いかからんとする地球の軍であった。
近衛の兵やエンディミオンも良く戦ってはいたが、いかんせん数が数である。
苦戦は免れなかった。

「セレニティ、覚悟!」

そんな中で兵に紛れて一人の女がプリンセス・セレニティに剣を振るった。
ベリルであった。プリンセス・セレニティにだけは己の手でとどめがさしたかっ
たのであろう。

プリンセスは避けられない。そう誰もが思った所で一人の人影がプリンセスをつ
き飛ばした。

エンディミオンであった。
エンディミオンはその体でベリルの剣を受けたのである。
ゆっくりと倒れるエンディミオン。

「エンディミオン!」

その場にいた全てのものがそう叫んだ。
プリンセスはもちろん、クイーン、ヴィーナス、そしてクイン・ベリルまで。

「お前!エンディミオン様の敵!」

いち早く立ち直ったヴィーナスによって振り下ろされた聖剣によって呆然自失
となっていたクイン・ベリルは切られ、倒れた。

突然のエンディミオンの死に誰もが呆然としていた。
だから、プリンセス・セレニティが懐から短剣をとりだし、それをその胸に突
きたてた時も誰もがそれに気づくのが一瞬遅れた。

「プリンセス!」

しかし、その時セレニティは既に息はなく、倒れ伏していた。
しかし、その表情は素晴らしく幸せそうだった。
それはようやく地球人と月面人の差を越えて、愛するエンディミオンとともに
過ごせるようになったからであろう。

そして、その死に顔を見たクイーン・セレニティは決意を固めたような表情を
すると、ヴィーナスに

「その聖剣をこちらに」

と、命じた。
ヴィーナスから聖剣を受けとると、クイーンはきっぱりと言った。

「これより幻の銀水晶の力をもってあの邪悪なるものを封じます」
「いけません!クイーン、そんなことをしては貴方まで……」
「よいのです。もうこの月の王国は最期です。ならばかの邪悪なるものを封じ、
我とともに永遠の眠りにつけましょう」
「しゃらくさいわ!封じられるものなら封じてみるがいい!」
「ヴィーナス」
「はい、何でしょうか?クイーン」
「これからプリンセスとエンディミオン王子を転生させます。今度こそ愛する
者同士が結ばれるように2人とも地球人として。そしてあなたと他の四守護神
の戦士達それとプリンセスのそばで最後まで働いてくれたルナとアルテミスも
また同様に。転生した後のプリンセスのこと任せましたよ」
「はい!」

そして全てを告げるとクイーンは祈り始めた。

「全ての邪悪なる者よ。今こそ清められし時は来た。この光にその身を任せる
が良い。ムーン・ヒーリング・エスカレーション!」
「ぐあぁぁぁぁ何だこの光は!?くそぅ、口惜しや。しかし、我は戻ってくる。
この力もまた我が物にするがために戻ってくるぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……」

そしてシルバー・キャッスルは光に包まれたかと思うと全ての人をクイン・ベ
リルの洗脳から解き放ち、傷ついた者の傷を癒やした。

その中で8本の光の帯が地球に向けて飛んでいったが、それに気がつく者は誰
もいなかったという。

終章~そして新たなる目覚め

そして時は過ぎ1991年、人間の言葉を解する黒猫と白猫が東京は麻布十番
の町に現れたという噂が流れた。一時期人は騒いだがすぐに忘れ去りその頃に
はセーラーVとなのる一人の少女が正義の味方として活躍していたという。

そして1992年3月吉日

「あ~~~!遅刻遅刻ぅ~~~!」

物語はまだまだ始まったばかりである。

        to be continued to Pretty Soldier Sailormoon Episode 1

-------------------- ここまで --------------------

まあ、長々とした文章を読んでくれた方どうもありがとうございました。(_ _)
これは実は知り合いの同人誌に原稿として流用され、売られたものでも
あるんですね。(^_^;;)

と、いうことでとりあえず手持ちのストックは全部放出しました。
後は Nukunuku さんにでも書いてもらいましょう。
と、いうわけでよろしく。> Nukunuku さん。