#72 Article 1207 Posted at 1991/04/05 21:35:03 by 根本 剛志 (MAP1144) [NO.439]

Subject: 「星になったさやか」

《#439・Bパート》

                《《《 星になったさやか 》》》


 マール星音楽業界のムジエル氏と並び評される商売の天才。敏腕プロデューサー
アタリガモ氏は悩んでいた・・・ ここ暫くライバル社のエリさま関連出版物攻
勢にアタリガモ氏の所属するメーカーは存亡の危機に直面しているのである。こ
の場を何とか切り抜ければ社長からの信任が厚くなりこの社での地位も向上する
だろう。だがもし自分が失敗したらこの社の命運は決する事になる。そう。アタ
リガモ氏は重大な選択を一方的に周囲から一切を一任(押し付け)されてしまっ
たのである。

《アタリガモ・設定:そのものズバリ! 敏腕プロデューサと言う事でヒット
          させる(アタリを出す)事に長けている鴨型のアニマル
          タイプマール星人(安直である(^_^;))》

 ワンダユウは今更ながらエリのマール星での人気に驚いていた。それはエリの
意匠権をワンダユウが独断で行った『エリさま商標』をマール星官庁に上申。こ
れが受理された時点でワンダユウはエリ関連の出版物の版権を独占することになっ
たのである。その為エリへの支払いである印税を軽く超えた額がワンダユウの懐
に入ると言う寸法。またワンダユウはこのエリ出版関連を某1社と独占契約した
為に袖の下、言わゆる「賄賂」をおも受取っていた。賄賂分はともかくとして、
これによりワンダユウはマール星長者版付けの筆頭にまでのし上がったのである。
ワンダユウは既に一生遊んで暮らせるだけの資産を残していたのだ(^_^;)。
 さりとてマール星王室議会の仕事は名誉の印。殿下の元で仕事をするのはマー
ル星では憧れの仕事である。今日も今日とてワンダユウは一路殿下のプレゼント
を携えて地球に向かうのであった。

 地球・・・
 エリの住むかえでヶ丘にワンダユウがマール星から到着するのに大して時間は
掛からなかった。マール星の科学力とはかように優れた、地球人にとってオーバー
テクノロジーなのである。
 いつものようにワンダユウは例のパターンでエリの部屋に乱入した!
「おめでとうございますっ!!」
 『どばばぁっ!★』と大量に、しかも一気に落ちる紙テープ。されど、そこに
居るのはチンプイただ一人(?)だけ。
「あらぁ? またしくじってしまったようじゃな・・・」
 そう力無く笑うワンダユウにチンプイは両腕を腰(?)に付けながらワンダユウ
を黙って見ていた。
「ところでチンプイ。エリさまはおらんのか??」
「エリちゃんはまだ学校から帰ってきていないよ」
「そうであるか。まぁまだ学校から帰られないのなら仕方が無い。チンプイ、ワ
シはこれから急ぎの用があるからお前がこの殿下からのプレゼントをエリさまに
しっかとお渡しするのじゃぞ」
 強制的に渡された、念の入った包装の包をチンプイは手に持たされた。
「ちょ、ちょっとじいさん! これってあんまりじゃないか!! もしかしてエ
リちゃんの帰っていないのを見計らって届に来たんじゃないだろうね!!」
 ワンダユウは『ニャ!』っと笑い、そんな事は無いと言いたげにチンプイに顔
を押し付けて言った。
「ワシがそのような事をする筈が無いではないか。まぁチンプイもお世話係と言
う要職に就いているのじゃからもっと真剣にエリさまのお世話と殿下のプレゼン
トをエリさまに気にいて頂くよう務めるのだぞ! 良いか? 分かったな!!」
 圧倒的に、しかも一方的にチンプイを説き賦せたワンダユウはベランダに通じ
るガラス戸を開けた。
「じゃ、ワシはこれで帰るぞ。チンプイ後は宜しくな。うひひひひ・・・」
「ワンダユ~~~~ウ!!」
 飛び去るワンダユウのUFO。チンプイはマール星とエリの間に挟まった格好
である。これも運命と言えば簡単だが、チンプイはこれから自分がどうすれば良
いのか分からなくなっていた。

 暖かな春の日差しの中、三人の少女が歩いていた。今だ太陽は高い。
「今日はパパとママが夜まで出かけて居るのよ。だから遊びに来ない?」
 エリはさやかとほたるに誘いをかけた。最初に答えたのはさやか。
「良いわよ。土曜日だし特別する事も無いし」
 きっぷの良いところは江戸っ子そのもの。さっぱりとした性格にエリはさやか
を姉のように思っていた。そして妹のようなほたるはと言うと・・・
「今日はちょっとおかあさんと出かけるの。だから私は行けないわぁ」
 あくまでも控え目な性格。この微妙なバランスが三人を強くつなぎ止めている
のであろう。
「じゃぁ仕方無いね。今日は私だけでエリの家に行くから」
「ごめんなさぁい」
「気にすること無いわ。ほたるのおかあさんいつも仕事で大変だからこんなチャン
スを潰すこと無いわよ」
 絶妙なタイミングでエリがフォローした。ほたるの家は共働きであるから母親
と出かける事自体が少ないのである。ここは気を利かせておこうと二人は思った
のであろう。
「じゃあ後でね! ほたるもバイバ~~イ! また月曜日にねぇ!!」
 手を上げ分かれる三人。エリはそのまま走って家に向かって行った。勿論例の
垣根を飛び越える為の助走である。スピードは載り今回はタイミングもピッタリ
に決まるだろうとエリは確信して尚も足を早めていた。ポイントが見える。あの
場所でステップを踏めば必ず今回は失敗する事は無いと。そしてエリは一気にそ
の場でステップを踏もうとした瞬間! 目の前に何か黒い影がエリの目の前を横
切った!!
「な、なんなのぉっ!!」
 エリは完璧にタイミングを逸し、飛び上がったは良いがステップが遠く結局今
回も足を引っかけ見事に顔面から落ち、庭の地面と親睦を深める事となる。
 庭の『地鳴り』にチンプイは気付いた。
「あ、エリちゃんが帰って来たな」
 チンプイはエリの部屋のガラス戸を開けると一気に庭まで降りて行った。そこ
には痛そうに顔を手で覆うエリの姿があった。
「エリちゃんお帰り。それにしても今日はまた派手におっこちたね」
 チンプイの言葉にエリはちょっと不満そうである。
「ただいま。でも今日の失敗は私が跳ぼうとした瞬間に誰かが私の目の前を横切っ
たからよ。私の落度じゃないわぁ」
 そう言いながら、尚手で顔の、特に鼻辺りを抑えていた。ちょっと擦りむき気
味に傷になっている。
「エリちゃん、何はともあれ傷の手当しなくっちゃ。後が残ったら大変だよ」
 エリはチンプイの言葉に渋々と立ち上がった。

「それにしても、いつもいつもよく飽きないで垣根なんか飛んでられるね。普通
の女の子ならあんな事しないと思うけどな」
 エリの傷の手当をしながら、チンプイはさも女の子何たるかを知ったような口
ぶりで言うので、エリはちょっと意地悪っぽくこう切り替えす。
「あら。じゃぁ私は女の子じゃないって言うの? それなら私、殿下との婚約な
んて気にしなくても良い訳よね(クスクス)」
「エリちゃん。それってちょっとあんまりだよぉ・・・」
 二人は顔を見合わせ『ぷっ!』と思わず吹き出していた。ここでチンプイは先
程のワンダユウさんが持ってきたプレゼントをエリに渡そうと切り出す。
「ところでねぇ、エリちゃん」
「なに? チンプイ」
「ワンダユウさんが殿下のプレゼント持ってきたよ」
 先程までの笑顔は消え、エリの表情は明らかに嫌そうな表情に変貌して行った。
言葉もやや刺のあるように豹変している。
「あたしは殿下のプレゼントなんて、ぜ~ったいに受け取りませんからね!」
「でもエリちゃん、これを使うとお星さまになれるんだよ?」
「星にですって!? とんでもない!! 早く殿下に返してきてよ」
 地球人、特に日本人にとって『星になる=天に召される』。つまり死ぬと言う
事である。これには流石のエリも驚かずには居られなかった。
「でもワンダユウさんしつこいからなぁ・・・」
「冗談じゃないわよ! 死んで華身が咲くもんですか! 殿下も殿下よ!! 私
がお妃になるつもりが無いからって、殺してまで私を独占したいって言うの?
それは私だって殿下が嫌いな訳じゃないけど、そこまで思い詰められる程私には
魅力なんかないわ!!」
「エリちゃん。それどういうこと?」
 チンプイはどうもエリがを誤解しているように思えた。
「だってチンプイ! 星になるって事は死ぬことでしょ!! 私はまだこの12
歳の命を異星人の為に無駄にしたくないわ!!」
「エリちゃん『星になる』て言うのは『キレイになる』って事なんだけど・・・」
「・・・・・・へっ?(・_・)」
 エリの目が点になったのは言うまでもないだろう(^_^;)。

「こんにちわぁ! エリ居る?」
「あ、さやかだ!」
 茶の間で傷の手当をしていたエリはすぐさま玄関に出た。
「いらっしゃい、さやか。さあ上がって」
 さやかはエリの顔に貼ってあるバンソウコウが目についた。
「エリ。どうしたのよその顔・・・?」
「え? コレのこと??」
「そう。ソレのことよ」
 階段を上りながらどうにも気になると言ったようにしつこくエリにバンソウコ
ウの事を聞いていた。エリはちょっと照れたように理由を話した。
「えぇ? 顔から地面におっこちたぁ!?・・・・・・
 ・・・あはははははははははっ!! エリらしいわぁ!!」
 さやかは大声で、それもエリの顔を指さしながら笑ったのである。確かに普通
顔から落ちたなどと言えば所詮他人様に笑われても仕方あるまい。それもチンプ
イの手当は少々念が入っていて、至る処にバンソウコウが貼ってあるのである。
 これで包帯を巻いたらもっと笑えるだろうとさやかは思った。
「・・・ははは・・・ひひぃ・・・ で、でもエリ。女の子なんだからもうちょっ
と考えた方が良いと思うわよ。それじゃぁ内木さんだって将来考えが変わちゃう
かも知れないじゃない(笑)」
 エリは笑いころげるさやかを忌々しそうに見ていた。
「もう。よりによってさやかに言われるなんて・・・」
 やっとさやかも笑いが落ち着いたようである。崩れていた足を整えながら。
「まぁまぁ、そう言わないで。エリの事心配して言ってあげているんじゃない」
「ならさっきの大笑いは何なのよぉ・・・」
 さやかはしょうしょうやり過ぎたかとは思ったが、そこはさっぱりし過ぎてい
る為フォローは少々正直過ぎたものが。
「だって、その顔可笑しいんだもんっ!!」
「言ったな、さやかぁ!!」
「きゃぁ!★ ごめんなさい!!(笑)」
 二人はじゃれ合うようにとっくみ合をしていた。
 さやかの足がエリの『勉強机』に当たった反動で、何かが机の上から落ちて来
た。それは4cm位の星型のブローチのようだ。
「なにこれ? エリの??」
「ううん、私のじゃないわ。チンプイ、何これ?」
 二人のとっくみ合のとばっちりから上空に非難していたチンプイはエリの言葉
に下に降り。
「それは今日ワンダユウさんが持って来た殿下のプレゼントだよ。中身が何なの
かちょっと気になったからワンダユウじいさんが帰ってから開けたんだ」
 その言葉にさやかが素早く反応。
「ねぇねぇ! プレゼントって一体何の事よ!」
「これはマール星のルルロフ殿下が・・・(むぐぐ・・・)」
 エリに口を抑えられたチンプイはバタバタと手足をバタつかせた。
「ど、どうやら落し物らしいわね・・・ へへへ・・・(^_^;)」
 エリはこの場をごまかそうと必至である。
「エリ、どうしたの・・・?」
「な、何でもないわよ。ははは・・・」
 これはおかしいと思ったさやかはエリの手からチンプイを強奪。
「あっ! さやか、チンプイを返しなさいよ!!」
「別に良いじゃない。さてチンプイちゃん、一体これは何なの?」
 さやかの手にあるチンプイはさやかの背後に居るエリに気を使う事なくこのブ
ローチの正体を語る。
「へぇ! キレイになれるブローチかぁ。エリ素敵じゃない。羨ましいなぁ」
「そう? じゃぁさやかにそれあげるわ」
 急な事でさやかは少々びっくりした。
「え? 本当に良いの??」
「良いの良いの。これで殿下のプレゼントが片付くし無駄にはならなくて済むで
しょう?」
「わぁ、エリありがとう!! でも、これどうやって使うの?」
「それはね、このプローチに懸かっている制御部分を科法で取り除くんだよ。そ
うすればこのプローチの素晴らしさが分かるよ。まぁエリちゃんには今更返せな
いけどね」
 チンプイの意味深な言葉に、少々エリも『まずかったかな?』とは思ったのだ
が、殿下のプレゼントなぞ受け取る気にはなれない。

 そんなエリ達を見ている物が居た。極めて小さいカメラロボットでエリの部屋
を監視している。そいつは庭の「片隅」でエリ達の様子をモニターで伺っている
ようである。

「じゃぁチンプイ、お願い」
「では『科法・制御解除』チンプイっ!!」
 エリはさやかの様子を固唾を飲んで見守っていた。『キラっ!』と光ったかと
思うとさやかの胸に付けたブローチはすさまじい光を発しさやかを包み込んで行っ
た。

「こ、これは! マール星の王室以外では決して使用出来ない幻の科法『夢見の
星』じゃないか? どうしてエリさまでなくあの少女が・・・?」
 大鳥はモニターに食い入るように見入っていた。大鳥の名はアタリガモ。そう、
例の不幸なプロデューサーである(笑)。敵を知る為にはまずその主力商品である
『エリさま』を観察しに来たと言うところであろう。だがこんな辺境くんだりま
で来てアタリガモは珍しい物を見る事になった訳だ。

 さやかを包み込んだではない!!
「え? ちょ! ちょっと!? まさか、あなた、さやかぁ!?」
「どうしたのエリ? そんなに慌てちゃbス。
「な、何なの? これ、私?? きゃぁ! わりかし美人じゃない(オイオイ(^_^;))。
そw�なさい!!」
 そう言うと一気に階段を駆け降り、階下のママの姿見までさやかの腕を引っ張
りながら連れて行ったエリはさやかに今彼女がどういう姿になっているのかを事
実として伝えた。
「な、何なの? これ、私?? きゃぁ! わりかし美人じゃない(オイオイ(^_^;))。
それに服まで変わってコディネートされてるし! 私って意外とスカートが似合
うbゥの腕を引っ張
りながら連れて行ったエリはさやかに今彼女がどういう姿になっているのかを事
実として伝えた。
「な、何なの? これ、私?? きゃぁ! わりかし美人じゃない(オイオイ(^_^;))。
それに服まで変わってコディネートされてるし! 私って意外とスカートが似合
うのね!」
 エリはさやかの姿を見て、ちょっと、いや完璧に惜しい事をしたのではないか
と思い始めていた。そうこうする内、エリ達の後から来たチンプイはやはりと言
わんばかりにエリに対して言うのである。
「ほら! やっぱりエリちゃん後悔してるじゃない」
「そ、そうね、ちょっと羨ましいかも・・・ !?」
 い、いけない!! このままではチンプイの思う壷である!!
「そ、そんな事無いわよっ!!」
 明らかにエリは無理をしている。チンプイはそんなエリを見てちょっとばかり
マール星の科法に関して優越感に浸っている。
「ところでチンプイちゃん。元の姿に戻るのにはどうすれば良いの?」
 さやかの言葉にチンプイは、
「元に戻る方法は簡単なんだ。そのブローチの後ろにあるボタンを押しながら、
念じれば良いんだよ。『12歳に戻りたい』ってね」

 三人は再びエリの部屋に戻った。キレイに成長したさやかと面と向かうと、ど
うもバランスが悪い。
「チンプイ、このブローチ確か『キレイになる』って言ってたわよね」
「うん」
 余裕でコーヒーを飲むさやかを見ながらエリはチンプイに聞いた。
「じゃぁ、このさやかの姿って単に『美化』されただけなの?」
「エリちゃんの言う『美化』とは違うよ」
「それ、どゆこと・・・?」
「つまりね、今のさやかちゃんはさやかちゃんの魅力を最大限に引き出した結果
こうなってる訳さ。だから『美化』って言うよりも内面の美しさを『引き出した』
と言って欲しいね」
「じゃぁ、このさやかって・・・」
「そう! 完っ璧なさやかちゃんって事」
 二人はしげしげとさやかを見回した。
「ど、どうしたの二人とも・・・(^_^;)」
「ちょ、ちょっとね・・・」
 エリは無理に笑顔を繕うとしたその時であった。

「失礼します」
 ベランダに通じるガラス戸が開き、大きな鳥がエリの部屋に入って来た。
「ど、どなたでしょうか・・・」
 エリはその余りに大きな鳥を見て驚き、またチンプイはその鳥を見て何か考え
込んでいるようであった。
「始めましてエリさま。私こう言うものでございます」
 さっと名刺を差し出す大鳥は器用に羽で名刺をエリ手渡した。
「・・・なんて読むのチンプイ・・・?」
 マール星の言葉で書かれているのでエリには全く分からなかった。チンプイは
その名刺を見て何かを思い出したようである。
「あぁ! マール星で活躍している敏腕プロデューサーの!」
「はい。アタリガモです。どぞ宜しく!」
「こ、こちらこそ・・・」
 エリは毒気を抜かれていた。それもそうであろう。今まで気が付かなかった方
がおかしい位の大きさで、アタリガモが入って来た瞬間に部屋の窮屈さが感じら
れるようになったのである。まぁいつものマール星人ならエリに追い出されるの
が落ちであるが、今回ばかりは勝ち目が、無い・・・(^_^;)
「ところでアタリガモさん。何で地球なんかにやって来たの・・・?」
 アタリガモは沈痛な表情になり・・・
「はぁ。実はエリさまの前で話せる事ではないのですが・・・」
 そう前置きしてからアタリガモはこれまでの経過を話した。
「何ですってぇっ!! ワンダユウさんってばそんことをしていたって言うの!
まったくあの人ってば・・・・・・!!!」
 エリは自分が利用されているような感覚に陥った。事実そうではあるが・・・
「まぁまぁエリちゃん。ワンダユウじいさんのしている事は全部法律に元ずいて
るんだから文句を言っても始まらないんだよ!!」
 エリの眉間が『ひく!』っと動いた。
「と言うと、チンプイもこの事知っていたのね・・・」
 エリの迫力に当てられたチンプイは蛇ににらまれた蛙・・・ でなく猫ににら
まれた鼠そのものである。身動きも取れない程緊張し、汗をダラダラとかきまくっ
ていた。そんなエリとチンプイをみてアタリガモは二人の間でこう話始めるので
ある。
「実はですね。エリさまの御学友と言う事でそちらのさやか様に我がプロジェク
トを押し進める為のキャラクターとなって頂きたいのですが・・・ いかがなも
のでしょうか?」
「え・・・??」
 突然の言葉にさやかは何の事かさっぱり分からない様子である。そんなさやか
を後目にエリとチンプイはアタリガモに、
「さやかをキャラクターに起用すれば何とかなるの・・・?」
 アタリガモはいかにも自身たっぷりにこう答えた。
「はい。エリさまの御墨付きを得て我々がバックアップしさえすれば必ずや大ヒッ
ト間違い無しです!! どうか協力して頂けますでしょうか?」
「これでワンダユウさんが困るなら、私はさやかに協力して欲しいな! チンプ
イ、どうかな?」
「そうだね。僕とエリちゃんでさやかちゃんのマネージャーを務めれば大丈夫だ
と思うよ」(その方がよっぽいど恐いゼ!(笑))
「よっし! ねぇさやか、ちょっとこの話に乗ってみない?」
 さやかはちょっとうつむき加減で考え、アタリガモに質問をしてみた。
「あの、どの位で仕事は終わるんですか?」
「1日あれば充分です。キャラクター商品はさやか様の写真を多少撮らせて頂け
れば大丈夫ですし、レコーディングも僅か数時間で終わるでしょう。条件として
は元のさやか様の姿と今変身している姿の両方を使わせて頂ければ結構です。如
何でしょうか?」
 その言葉を聞いた後、さやかは決心したらしい。
「じゃぁアタリガモさん、明日やっちゃいましょう」
「ありがとうございます!!」
 『これで何とか会社も潰れずに済む!』とアタリガモは胸をなで下ろしていた。
「それとね・・・」
 さやかはここで注文をつけた。
「もし、もしもよ。このプロジェクトが成功したとして、私に支払われる印税は
すべて恵まれない星の人達に寄付して下さい。それが私の条件です」
 アタリガモはさやかの言葉に痛く感動した。
「あ、貴方様はなんて心が温かいのでしょう・・・」
「さやかやるじゃない! 宵越し金は要らないって事ね。流石は江戸っ子!!」
「まっかせなさぁい! ワンダユウさんの企みなんて私達で粉砕しちゃいましょ
う!!」
「をををっ!! 私は今もぉれつにかんどうしているぅぅぅ!!」
「きゃあっっ!!」
 さやかの明るい言葉に、歓喜あまったアタリガモが余りの感動に三人を羽で抱
きかかえてしまった(^_^;)。
「ちょっと、アタリガモさん苦しいわぁ・・・(クスクス)」
「ははは・・・」
「ははははははははは」
 誰からともなく、何となく三人は楽しそうに笑うのであった・・・

 それから数日後。
 エリの御墨付きを携えてさやかのキャラクター商品がマール星で大人気となっ
たのである! ヒット中のエリさま商品の売上をも上回った。

 そう。『さやか』はマール星でスター(星)になったのだ(笑)。

 これにはワンダユウも大慌て! このヒットの影には例のブローチによる『美
化』ではなく真の自然な美しさを『引き出す』「夢見の星」の効果を否定は出来
ないだろう。本来エリの元にあるべきものがさやかによって使用されている事が
王室議会で糾弾されワンダユウは多額の罰金を受け、また『エリさま商標』版権
まで剥奪されるのであった。これでワンダユウは今まで版権によって蓄えた資産
をすべて吐き出さざるを得ない事となる。またこれにより独占契約の切れた某社
は他のメーカーとの競合を強いられる事となり、殿様商売がたたって経営は悪化
して行ったのである。悪い事は出来ないものであると言う事か(^_^;)。

「ワンダユウさん。これで少しは懲りたでしょう?」
「はぁ・・・ 確かに。しかしエリさまも中々強かですなぁ。このワンダユウめ
も参りました」
 流石にワンダユウも今回ばかりはぐうの音も出ない様子である。
「ところでワンダユウさん。さやかの商品ってまだ大ヒットしているのかしら?」
 やはり自分のキャラクター商品が負けているかは、エリも気になるところのよ
うである。
「はぁ、最近はエリさまの商品も新たなメーカーの参入で売上を伸ばしている様
子でございます。・・・ただ気になる事が・・・」
「何なの?」
「はい。実はですな・・・・・・」
 ワンダユウはそっと小声で答えた。その内容にエリはド肝を抜かれた!!
「え~~~~~~~~~っ!!」

 翌日。
 かえでヶ丘小学校のエリのクラスでは、マール星のキャラクター販売メーカー
の営業が多数訪れていた。目的は全て同じ!! エリの御学友である『さやか』
の商品が売れたのに目を付けエリのクラスメートでありルルロフ殿下のライバル
であるらしい内木のキャラクター商品を作ろうと契約を取り付ける為にやって来
たのだ・・・・(^_^;) 数々のアニマルタイプに囲まれた内木は正に災難としか
言い様がなひ・・・
 教室の一角でエリとさやかは内木を見ている。その表情には彼の災難をかわい
そうに思うと同時に、引き吊った笑いをも浮かべていた。
「内木さんも、エリとつき合うと大変みたいね・・・」
「そのことは悪いとは思っているんだけど・・・」
 時間経過と共にアニマルタイプのマール星人は一層増えて行くのであった。

「ぼくはそんなもの出すつもりはありませ~~~~~~~~~んっっ!!!」


                《《《 星になったさやか 完 》》》

 Bパート・アイキャッチ『ち~~~んぷいっ!!』(さやか)

                           根本 剛志(MAP1144)