#70 Article 6090 Posted at 1997/09/04 23:34:10 by みりす (MAP6909) [PORINFANO]
Subject: Re: 読書日記です(児童文学とファンタジー中心) /6003
コロボックル物語1「だれも知らない小さな国」 佐藤さとる/作 村上勉/絵(講談社) コロボックルシリーズ第1作目。1959年に自費出版され、同 年に講談社から出版しなおされる。毎日出版文化賞やアンデルセン 国内賞を授賞している。 その村の東北の方角にある小山は鬼門山と呼ばれ、この山で木を 切ると魔物のたたりがあるといわれていた。しかし、村の古い言い 伝えでは、鬼門山に住むのは魔物ではなく小法師さまとよばれる小 人の神様で、村に悪い神が入ってこないよう守っているのだという。 だがそれも過去の話。今ではそんな言い伝えを信じる人もなく、有 料道路建設にあたって、この山は切り崩される予定になっていた。 村で少年時代をすごしたセイタカさんは、幼い日に一度だけ鬼門 山の小法師さまを見たことがある。その経験が忘れられず、大人に なって村へかえってくると小山の持ち主にかけあって、いつかお金 をためたら小山を自分に売ってくれないかと頼んだ。この時から鬼 門山の小さな人たちとセイタカさんの友情がはじまるのだった コロボックル物語が何冊出てるか調べようと、図書館で検索して たら懐かしくなっちゃって、結局はじめから読み返してるのでした。 やっぱりこのシリーズは面白すぎます。 コロボックル物語の5作目では、図書館勤務の女の子が作者が書 いたコロボックルシリーズを読んで「つくり話のくせに、この話を 書いた人は、まるでほんとうのことのように書いている」なんてひ とりごちるシーンがあるのですが、この本を読んだ人なら誰もが同 じようなことを思うんじゃないでしょうか。 人間とは大きさが違う人たちが、何をどう利用して快適に暮らす 工夫をしているのか、彼らから人間を見るとどう見えるのか、綿密 に考えぬかれた設定をただ羅列するんじゃなく、作品のはしばしに 見えかくれする様がたまらなく本当っぽい。佐藤さとるというのは 希代のオオウソツキなのか、それとも本当に小人さんたちのトモダ チなのではと思わせるほどなのでした。創作するということが自分 独自の宇宙をもうひとつ創り出す作業なんだってことをつくづく思 い知らされるシリーズです。 ところで、講談社青い鳥文庫の「だれも知らない小さな国」の巻 末には、神宮輝夫が解説を書いてるんですが、面白いのでちょっと 引用してみると >イギリスの名作「床下の小人たち」(メアリ=ノートン)のよう >な作品に似ていることから、佐藤さんがイギリスの影響を受けた >と考えている人たちもいますが、それは間違いだと思います。 なんてこと言ってる。「床下の小人たち」といえば、わたしも読んで ”イギリス版だれも知らない小さな国”とかって読書日記に書いたん ですが、ハッキリいってコロボックルシリーズのほうがストーリーの 運び方といい、小人たちの設定の具体性といい、読者ののめり込み度 は高いように思えます。佐藤さとるがメアリー・ノートンの影響を受 けてたとしても、その面白さは遥かに越えてるので、胸を張って外国 の人にもお勧めできるシリーズじゃないでしょうか。 みりす ★コロボックルとは、コロ(蕗フキ)ポク(~の下に)ウン(いる) クル(人)の意味でコロポクンクルとも言う。また、カラフトに はトンチトンチと呼ばれるコロボックルに近いヒコたちが住んで いるとも言われる……全世界こびとさん友の会会報より ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^ ↑ 嘘だけど