#70 Article 6074 Posted at 1997/08/30 14:32:22 by みりす (MAP6909) [PORINFANO]
Subject: Re: 読書日記です(児童文学とファンタジー中心) /6003
「ドルイドの歌」O.R.メリング/作 井辻朱美/訳(講談社) 第三作「妖精王の月」、第二作「歌う石」に引き続き翻訳された メリングの処女作「ドルイドの歌」です。日本じゃ発表と逆順の翻 訳になってます。 カナダに住んでいるローズマリー(姉)とジェイムズ(弟)は夏 休みを利用してアイルランドのおじさんの家に遊びに来ます。そこ にはピーターと名乗る謎の雇い人がいて、夜中になるとこっそり抜 け出してどこかへ行く様子。冒険心をそそられたふたりはある夜こ っそりピーターをつけていき、アイルランドの神話世界にひっぱり こまれてしまうのでした。 カナダ人の少年少女がアイルランド旅行中に異世界に迷い込むの は、どうやらメリング黄金のパターンのようです(笑) 作者自身が アイルランド系であること、幼い頃にカナダに移住して育ったこと などから、そのパターンに愛着があるのでしょう。 「ドルイドの歌」もアイルランドの歴史に関係した本なので、ケ ルトに興味のない人が読むと最初のうちはけっこう白けてしまいそ うですが、半神半人の英雄クーフーリンとジェイムズが出会うあた りからぐんぐん面白くなってお話にひきずりこんでくれます。「歌 う石」よりこっちのほうが読みやすいかもしれません。 クーフーリンっていうと、知ってる人には気になるのが謎の武器 ゲイボルグの扱い。普通は槍ってことになってますが、メリングの 説では槍ではなく、棒の先に固く重い皮の玉がついたフレイル状の ものと考えているようです。玉が敵に当たると沢山の刺が突き出す 仕組みになっていて、しこんである毒液によって致命傷を与えます。 うーん、それにしてもいつも思うのは、メリングは神話時代の戦 いを好んで書いてるのに、戦いを書くのがどうも苦手っぽいこと(^^; 必殺武器のゲイボルグも一度でてきたっきり、さらりと先へ進んで しまう。戦いを描くことが目的じゃないとはいえ、もうひと味あっ てもよさそうなんだけどな。 みりす