#70 Article 4156 Posted at 1995/01/19 03:07:38 by iSOMEC (MAP4141) [GFLEECE]
Subject: ゴールデン・フリース ロバートJソウヤー著 の感想
久し振りにハヤカワ文庫SF(買い置きして読まずに何か月もたっている^_^;)を読 んだので、その感想。 タネの大きい話だった。ストーリーを追うだけにとどまらず、主人公の過去に触れた りと人物描写もしている点は好み。だが、冒頭の事件を除いて、あらすじとして大き く扱えるような派手な事件(事件はあるにはあるのだがかなり地味だと思う)はクラ イマックスまで起きていないので、ストーリーとして大きく行ったり来たりする話で はなかった。アーロンの探偵役はクライマックス近くにならないと御目にかかれない 。急展開するのは、おおよそ全体の4/5を過ぎてからで、動きの活発なストーリー が好きな向きにはつらい。前編を通じて、語りがコンピュータという設定のせいか、 少々説明の描写が過ぎたような気もした(あまりにそれにページを割きすぎているよ うでもある。中編を長編に書き足したせい?)。 巨大な人工知能が人間に挑むというプロットは、HAL9000から始まって「未来の二つ の顔」でもあるわけで、正直言って新鮮味が無いのだが、犯人としてのナレーション を担当し且つかなり人間臭い(イアソン本人は否定しそうだが)点が飽きさせはしな かった。大仕掛なタネは、メガゾーン23などの例のようにアニメとして十分使えそ うだと思ってしまった。逆に言えば、類似のアイデアはすでに(どっちがマネなのか は別として)見ているわけで、その辺にも新鮮味はない。でも、ははぁ、な~るほど というのはあるので、まったくトリックがつまらない訳ではなかった。 個人的に興味深かったのは、2、3章おきに挿入される異星人からのメッセージを解 読していくくだり。おそらくプログラマやそれに類する知識のある人には、何でもな いものだと思うが、かなりの字数で説明されているそれを読むのは素直に楽しかった 。一見パソコンに無縁と思える書籍に、それっぽい親切な説明を見つけると、単なる 無知な一庶民であるせいか、妙にうれしくなってしまう。 相手が第10世代のコンピュータでも、やはり今日のパソコンにつながる部分が見受 けられて(これは単に用語が同じだとかという低次元な感想だろうが)、妙に親近感 があって分かり易かった。つい先日のTNGのエンプラのシステム異常のエピソード とだぶるような感じもあって、読み進む原動力にはなった。ニューロンネットワーク のシミュレーションは、マクロスプラスのシャロンを思わせるし(こうしてみると、 日本のアニメってなんて先進的にアイデアをむさぼっているのだろう)。 チャンという中国人が出てくるが、はたしてこの口調はほんとに的を得た翻訳か? 「~ね。~アルよ。」的な言葉尻はちょっとムムムだぞ。 iSOMEC