#43 Article 546 Posted at 1990/12/29 15:36:33 by 南極二郎 (MAP1537) []
Subject: 社会派シリーズは是か非か問題
今回のお話は、現在社会的現象になっている、「自然保護運動」を好 意的に見るか、それとも、疎ましく思うか、で、随分感じ方が違って くると思います。テーマに共感出来るのであれば、多少の構成のアラ も目立たないでしょう。作品の好き嫌いと、出来不出来は、等価では ないし、気に入ってもらえたのであれば、それはそれで良いのかも知 れませんが、今現在ボード上での議論は、その辺が食い違ったまま進 められているのでややこしいことになっているのです。テーマに共感 し、フィルムに描かれている以上のことを感じとった人には、そこそ こ良い話だったかもしれませんが、純粋にフィルムだけを評価すると、 疑問符だらけです。 結局、自然保護団体の啓蒙(洗脳)フィルムでした。異なった視点か らのアプローチも無く、ただ単に保護団体の主張を代弁しているだけ で、そこから一歩も脱していないでしょ。 社会全体の漠然とした問題と言うのは、たとえば、その社会の代表者 としてキャラクターを立て、それと対峙させるというのがひとつの手 ではあります。29話のように。ここでは、渋長がその役割ですが、 あまり効果的でないし、なにより、彼が何故改心するに到ったかが、 説明不足であり、また、説得力が無い。これは御都合主義以外の何物 でもないです。 テーマが云々以前にシナリオ技術の問題です。 また、大地の扱いや、ようこたちの回想の使い方が、中途半端のまま に終わっています。思い付きだけで書いているとしか思えない。 なにより、 ようこが物語に介入していない。 ライターが主義主張するのに夢中になって、「ようこ」という作品を 作っていることを忘れているのではないか。社会派シリーズには、い つもついて回った問題点です。 以前私が「社会派ネタは嫌いだ」、と書いたのは、事象に対する客観 的視野が無くなってしまうからです。「社会問題」は、誰もがよくな いと思っていながら、社会の、他の大きなしがらみによって、思うよ うにならないから、「社会問題」なのです。双方の意見が平等に出て、 尚且つ、それに対してようこの純粋な視点から問題を描いていくのな ら「問題定義」とも言えましょう。が、客観的立場を捨て、自分の主 張のみを叫ぶだけでは説教に聞こえてもしょうがないです。 「ようこ」のシナリオは、必ずしもプロのライターが書いている訳で はない。これまでにも、アニメライター以外の人が、結構書いていま す。思い入れの強さ、専門ジャンルに対して一般の人には書けない視 点など、メリットはあります。思い入れの強さは、時には、他方に対 する中傷になってしまう場合もあり、その辺は監督、演出等が修正し ますが、描きたいことに対する意志のつよさはフィルムに表れている と思います。が、今回の「自然保護」に対する視点は、ISAMさんに指 摘されていたように、マスコミ一般程度の認識でおさまっている。本 当に「自然保護」を訴えたいのならあまりにも御粗末です。だから「 浅い」と言われたのです。テーマの善し悪しじゃなく、描き方です。 これらを冷静に反省し、今後の創作活動の糧としてより一層の精進を 重ねていく所存であります。 一時期「社会派」シリーズが続いたとき、落ち込んで、網野さん等と「 どうせならようこに『鯨の大和煮はおいしいです、はい!★』と言わ せたいねぇ」等と話していたのよ。 南極二郎