#42 Article 1807 Posted at 1994/04/25 05:57:19 by 鳥坂(細川)司 (MAP703) [SUNDAY]
Subject: 連載終了記念
コミックス版のパトレイバーは、あの世界の1断面の1瞬間であると考えて下さい。 コミックス第2巻(第1巻は序章だから)以降最新の第21巻に到るまで、作品世界 における経過時間はいかほどのモノであったか。アストロ球団(!)の例を引くまでも なく、ヒーローの活躍とは短時間だが密度の濃いモノであると言えます。 さてヒーローの仇役である内海ですが、当然の如く当初から影のようにつきまといま す。これはヒーローと仇役は表裏一体であると言う、よくある設定に基づいているよ うです。無意識の総意を体現し存在する明確な意志集団。ゲゼルシャフトの中に存在 するゲマインシャフト。第2小隊と企画7課はどちらもその様なモノです。 それらの求心力と方向性の違いを描いていく。という方針もあるようです。 これについてはゆうきさんの頭の中作られた設定なので、あんまり詳しい事は判りま せん。 基本的には、正体不明の敵と闘っていくうちに、もりもりパワーアップして秘密の力 炸裂といった類の話ではなく、絶望的な現実を相手に淡々と闘ってゆく話です。 地味なサイバーパンクとでも分類するのでしょうか。 設定屋としては、これらの話が無理なく進行し、大幅な現実乖離きたさず、自己整合 性を維持するような世界を構築するわけです。。 例えば人型ロボットの設定について、年代、サイズ、総重量、稼動範囲等を考慮して 動力を決めます。リアル指向である以上現用技術の延長上に位置しなければならず、 その技術の社会的位置づけも考慮します。その結果レイバーは超伝導電池(SCB)による 電動式。と言うことになった訳です。まぁ、超伝導技術とロボット工学にブレイクス ルーがあった。という補助設定が必要ですけど。 動力という点では、ガンダム系の熱核融合炉搭載という設定をパクっているものが多 いですが、アレをあの大きさに入れて、更に安全性を確保するとなると・・・。 何の設定にしても、AD2100ぐらいまでの20m級以下のメカニックには、核融 合炉を搭載しないほうが無難ですね。 木亥 火暴 怖いし。 で、出来たロボットを社会に組み込みます。日本の現行法令を鑑みると、運輸系では 道交法と車両法付近、通産系は全般薄く広く、労働系はクレーン等安全規則付近の手 直しで済みそうです。が、いずれ専用の法律が必要になってくるわけで、それがレイ バー新法と呼ばれている代物です。草案ぐらいまでは書いてみたのですが、とても細 則まで書く気合いがなくて、放り出してしまいました。((笑)) 遊馬の親父さんはこの手直し実施時の立役者で、またレイバー新法制定推進の中核で もあるわけです。この辺の設定はあっちこっちで使ってますが。 このようにして作った設定ですが、大半は世界観構築の土台となるため、直接ストー リーで語られることはありません。一般的には裏設定と言われるモノになる訳ですが、 本来設定とはストーリーを進行させるために用意するのですから、基本的には大部分 が楽屋に残るべきです。それを開陳するためにストーリーを広げるというのは、所謂 本末転倒という奴です。 番台の暴プロデューサー辺りは、「折角構築したオイシイ世界観なんだから、もうち ょっとやろうよ」的な発言をしていますが、それもストーリーがあればの話です。 しかも、ストーリーを世界観に合わせるのではなく、世界観がストーリーの辻褄を合 わせてゆく形でなければなりません。そうでないと、こじんまりしたつまらない話に なってしまうと思います。(でも、松井刑事の「ダイ・ハード」は観てみたい) 劇場版第1作はそれの典型でしたが、企画の初期段階から参加していたため、割と楽 に擦り合わせが出来ました。第2作はその類の部分が殆ど無かったため、当初から観 客の立場で観ることが出来、かなり楽しめました。 設定屋と呼ばれる一部の人達(某SHとか)に、ストーリー軽視の傾向があるように みうけられます。また、明らかに力量不足と思われる設定もあります。これらの原因 は、プロデューサー(漫画家)がブレインチームを持たず、作画のように設定を外注 している点にあると思われます。設定側にしてもゴツい設定を押しつける傾向があり ます。科学者系の人は、演出を意図したウソが許せないのだそうです。でも、それで は話は面白くならないと思います。 以前、仕事でテクニカルライターの鹿野 司さん(私と同じ名前!)の所へ情報交換 に行ったときの事。充電された超伝導閉回路が温度変化等により常伝導化した場合、 爆発状態となることを聞き、それは放電兵器にならないかと尋ねたところ、電気エネ ルギーが熱エネルギーに全量変換されるわけだから残らない。熱兵器なら火薬のほう がよっぽど効率がいい。というつれない返事でした。((泣)) で、それを元にうまいこと嘘をくっつけて放電グレネードをでっち上げたのですが、 これはボツになりました。 ブレインがプロデューサー(漫画家)サイドに居る場合、ストーリーのコンセプトに 合わない設定はどんどん変更させることが出来ますが、外注だとなかなかうまくゆか ず、自分で設定を造る為、図書館に行く羽目になったりします。 結局、下手に外注に出すくらいなら自分でやったほうがマシ。っていうことですか。 T3(東京臨海副都心)プロジェクトがハマってるのは、企画(設定)を外部にやら せたのが原因ですね。(元担当が言うのだから間違いないです) 三菱総研も野村総研も馬鹿と虚言と不誠実の集合だから嫌い。 どこでも一緒か・・。((笑)) 最終回分の作画、そろそろ開始です。 とりり