#40 Article 3854 Posted at 1995/08/11 01:46:12 by N.MISAKI (MAP2000) [C.CITY]
Subject: 同人誌レポートその2(久しぶり過ぎ)
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ □ ■ ■三 崎 尚 人 の 同 人 誌 レ ポ ー ト VOL.2 1995.8.10□ □ ■ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 【HARUコミックシティ1とは何なのか?】 6月11日のコミックシティin晴海45で、来年3月31日(日)に開催される HARUコミックシティ1の開催案内の申込用紙が配布され、即日参加申し込みが 開始されました。当初9000スペースでの募集が、7月23日のコミックシティ in晴海46のカタログでは全館使用12000スペースでの開催となりました。これ は、東京文芸出版との共催のスーパーコミックシティに次ぐ規模で、赤ブーブー通 信社単独としては、昨年10月に中止なったコミックシティin幕張1を含めても、 これまでで最大の即売会となります。それでは、なぜ赤ブーブー通信社がこのイベ ントを開催するのか、様々な角度からこれを分析してみたいと思います。 まず第一に挙げられるのは、運営上の問題。つまり、会場がそのとき空いていた から。空きがなければ即売会は開催できないのは、当然と言えます。展示場と即売 会の力関係は、後者に不利なのが一般的で、他の大企業や諸業界団体のイベントの 日程が優先され、その後に同人誌即売会に日程が割り振られることが通例です。そ んな中で、春休みの日曜日という好日程が得られたなら、会場を押さえてしまうこ とにはなるでしょう。 次に考えられるのは、収益上の問題です。今年秋~冬、晴海の見本市会場は、前 述の通常のイベント日程が込み合っていて、同人誌即売会が開催しずらい状態です。 コミックシティにとっては、1回あたりの規模が大きければ大きいほど、収益率が 高いのですが、3館以上を使用できるのは、今のところ、9月3日のみ。これは、 夏コミケ後はじめての東京での開催となり、夏コミケのフォロー的な性格が強いと 言えます。つまり、赤ブーブー通信社は、ここ数年開催してきた夏コミケと冬コミ ケの間の秋の大きな即売会を、中止となった去年に続き今年も開催できないのです。 それに対するある意味の穴埋めが8月27日、10月8日、10月10日開かれる、 コミックシティONLY BOXとなるわけですが、収益面からすれば、6千スペース級の 即売会とは比較にならないでしょう。また、通常のコミックシティも、10月に2 館使用の中規模即売会が1回、11月は1館のみの小規模即売会が1回、12月に 至っては、開催予定が発表されていません。この今年秋~冬の収益減を補うために も、「スーパーコミックシティ」に加えて、どこかで大きなイベントを開く必要が 赤ブーブー通信社にはあるわけです。 ところで、本筋からはそれますが、ONLY BOXについてもここで一言触れ ておきます。去年あたりから、ジャンル限定のオンリーイベントが再び盛んになっ ています。これには、コミケット、そして毎月の即売会の規模の大きさの中で、ジ ャンルの一体感が失われつつある状況への反動が大きく作用しています。特に、メ ジャーなアニパロ系ではないジャンルの場合、大規模即売会よりもはるかに参加者 の少ないオンリーイベントの方が逆にサークルの売上げが多かったりすることもし ばしばのようです。しかし、オンリーイベントの最大の魅力は何よりも、主催者も、 サークルも、参加者も、同じものが好きだという共通認識が、「場」を自立的に作 り出しているというところにあります。こうした場が主催者の都合だけでは形成さ れないのは当然ですし、「まるごと、芸能、ゲーム、小説FC」などという現実を まったく反映していない訳のわからない組み合わせをサークルに押しつけてもうま くいかないでしょう。だいたい、ONLY BOXのもう一つの目的(というか、 これがメインという説も)は、テナッセンつぶしなのですから。秋のテナッセン4 が土曜日の午後からという変則開催(一部には、「トゥインクルコミケ」というジ ョークもあり)とならざるを得なかったのは、赤ブーブー通信社が、日曜日に空い ている数少ない会場をONLY BOXという形で無理矢理押さえたからなのです から。 さて、話を戻しましょう。三つ目として考えられるのは、都市博問題に対する保 険の意味合いです。春の統一地方選挙において、世界都市博覧会は都知事選挙の大 きな争点となりました。そして都市博中止を訴えた青島幸男氏が当選したのはみな さんご承知の通りです。以後5月31日の都市博中止の正式決定まで、中止か、開 催かを巡って、様々な動きがありました。そもそも、都市博は新しく有明にできる 国際展示場をメイン会場とすることになっており、一般への展示場の貸し出しは、 都市博後に予定されていました。もし、中止という事態となれば、建物そのものは 確実に来年3月までに完成する以上、一般への貸し出しが早まることも予想されま した。また、晴海の会場との兼ね合いもありました。展示会場としての運営コスト を考えれば、同時に二つの会場を営業させておくメリットはまったくありません。 そこで、有明会場の竣工をもって、晴海会場の展示会としての機能を停止させるこ とも考えられました。つまり、最も早ければ、来年四月から有明会場での展示会の 開催が始まることが予想されたわけです。ここで、問題となるのは、既にサークル の応募をはじめている来年GWの「スーパーコミックシティ」となるわけです。こ のイベントは、晴海での開催を前提としているわけで、この春の時点では、この都 市博中止問題の大波を受けて、最悪の場合、開催を中止する可能性もないわけでは なかったわけです。仮に中止というような事態が発生した場合にも備える意味で、 「HARUコミックシティ」が考えられたと推察されます。もちろん、結果として は、来年4月から晴海会場に変わり有明会場が使用可能となり、「スーパーコミッ クシティ」もそのまま有明に移ることになったわけです。 そして、最後に述べておかなければならないのは、東京文芸出版との関係につい てです。共催という形で「スーパーコミックシティ」を開催し、広告・申込書をパ ンフレット上で相互乗り入れして、外見上は盟友関係にあるように見える両者です が、その関係は冷却しきっていると言って過言ではないでしょう。そもそも歴史的 経緯において両者の関係は複雑で、敵対関係にも等しいときもあれば蜜月状態の時 もあったわけです。東京文芸出版には、老舗としての誇りがありますし、赤ブーブ ー通信社とすれば、現状のNO.1は自分であるというプライドがあります。 このGWの「スーパーシティ」での逮捕事件で、対応の悪さを図らずも露呈した 両者ですが、「スーパーシティ」では以前から共催による指揮系統の混乱が問題と なっていました。しかも、今回赤ブーブー通信社は、「スーパーシティ」の準備の 一方で、東京文芸出版と完全に敵対関係にあるスタジオYOUと、来年正月の名古 屋での共催イベント「ライブ&シティ」の準備を進めていました。名古屋は、東京 文芸出版が大規模即売会を単独開催している唯一の都市であり、まさに東京文芸出 版系の「コミックシティ」とスタジオYOUの「コミックライブ」が激突している 場所です。今まで、東京文芸出版への配慮から名古屋への参入を控えてきた赤ブー ブー通信社が、東京文芸出版の敵対勢力とともに名古屋へやってくるということは、 ある意味宣戦布告とすら言えます。 これには、実は伏線があります。去年秋の幕張メッセ中止事件において、東京文 芸出版の吉見氏は、ほとんどまったく問題に関わろうとはせず、無関係を通してい ました。「スーパーコミックシティ」を共催し、しかもその運営のほとんどを自分 たち赤ブーブー通信社が行っているのに、利益の配分は運営への労力とは違う割合 でしてあげている、名古屋は東京文芸出版の縄張りと認め、自分たちは進出しない、 そこまで配慮してあげているんだから助けてくれて当然、と思っていた赤ブーブー 通信社の赤桐氏にとって、吉見氏の日和見的な態度は許し難く、東京文芸出版への 悪感情が、この時点ですでに深まっていたのでした。 そうした流れの中で「HARUコミックシティ」を考えるならば、これは「スー パーコミックシティ」つぶしの即売会でもあるのです。常識的には、1万サークル を越えるような大規模イベントがわずか1ヶ月少々しか間をおかずに開催されるメ リットは、誰にもありません。参加者は一般もサークルも集中力が削がれます。そ の集中力の分散は、申し込みサークル数、一般来場者数にも影響し、即売会主催者 としてイベントの運営を難しくするでしょう。「HARUコミックシティ」と「ス ーパーコミックシティ」合わせて3万2千スペースという数は、コミケットへの申 し込み総数にも匹敵する数字で、赤ブーブー通信社の現状の力を持ってしても、安 易に満了に出来る数字ではありません。このことは、赤ブーブー通信社としてもわ かっているはずで、ならば、それでもなお「HARUコミックシティ」を開催する にはそれ相応の理由があるはずです。それは、「スーパーコミックシティ」を形骸 化させ、東京文芸出版との共催ではない自社単独の大規模イベントをひとつだけ、 春(含ゴールデンウィーク)に開催するような状況を作り出すことです。こうして 東京での頂点を極めるとともに、「ライブ&シティ」の共催や「コミックストリー ト」への支援を通じて、地方への影響力を強め、究極的には「赤ブーブー通信社に よる同人誌即売会業界の全国支配」を目指しているのです。 このような独占資本の論理の前にサークルも、一般の読者も省みれることはあり ません。お金を出している人間がこれほどないがしろにされているサービス業も珍 しいものです。しかも、この独占資本、これまでの様々な問題を見てわかるように、 危機管理能力がありません。独占が完成した暁には、赤ブーブー通信社の失敗が一 社の失敗ではなく、直接即売会の失敗となるという恐ろしい事態が待っているので す。くわばらくわばら。 ************************************ *初出 Niftyーserve コミックフォーラム同人誌会議室 [ID KHB20022] * * Mapletown Network 40番会議室(同人誌即売会) [ID MAP2000] * * 本文は、一切の改変をしないことを条件に、あらゆる場所、メディアで * * の転載を許可します。作者への連絡は、下記まで電子メールにて。 * * 三崎尚人 KHB20022@niftyserve.or.jp * * (C)同人誌生活文化総合研究所1995 * ************************************ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□