#40 Article 1131 Posted at 1992/09/17 17:52:04 by T.IWATA (MAP1375) []
Subject: 思うことあれこれ
「人気サークル」とかいう言葉には何か抵抗感がある私ですが、少し考察してみました
「人気サークル」になるメリット・デメリット(笑)
メリット
1.多くの読者に読んでもらえる(描き手としてこれに優る幸せ無し)
2.部数が多く出るので、様々な印刷技法が使える(箔押しだって望むまま)
3.完売すれば経済的な不安が無くなる(赤字の恐怖は経験者のみがわかる)
4.プライドが満たされる(女王様よホホホ...)
5.ともだちや仲間ができる(一人じゃ耐えられないよね)
デメリット
1.サークルを維持するのが大変(スタッフ集め・発行のプレッシャー)
2.事務作業に忙殺される(問い合わせ・通販など)
3.売れないと大惨事(まさにハイリスク・ハイリターンたまに発生している)
4.多くの嫉妬や悪意に悩まされる(シクシク)
5.ともだちや仲間がいなくなる(どうして皆んな行ってしまうの)
昔は、個人でやっていても問題無かったのですが、最近は運営側の要求も結構過酷に
なってきています。スタッフを○人用意しろ、販売物はわかりやすくしろ、看板を用意
しろ、行列は自分たちで面倒見ろ、果ては発行部数!から当日の販売方法にまで要求が
来るのです(特にコミックマーケットは酷いので有名)。私だったら、とてもできない
ね(自分で出来ないことを要求する矛盾...)。
あるサークルの例を挙げよう(決して大手ではない女性系JUNEサークル)。
発行部数が約3千部(1種類につき)で、そのうち1回のコミックマーケットで売れ
るのが2千部弱、残りを通販と全国の即売会での引き売りで捌いている(まるで八百屋
みたい...)。1年近くかけて売りつづけるのだが(たまに数年)、大半の地方の即
売会では収支は赤字になる(例え本人が行かないで誰かに頼んで売ってもらっても、参
加費・配送費・売ってもらった人の経費を計算すれば確実に赤字になる)。それでも地
方の即売会に参加するのは、読者へのサービスとプロモーションがあるから。ここをし
ないとコミックマーケットでも人が来なくなるのですね。
大体、3カ月単位で本を発行する(コミックマーケット+春と秋のイベント)。これ
も、なるべく定期的に出さないと読者が困るし(いつ行っても本が無いサークルには、
そのうち行かなくなるものね)、何よりもそれ以上の速度はアマチュアには無理だ。
トータルで考えると、年間で1万冊強の発行部数だが、掛かる経費も並でなくなる。
特に痛いのは、これくらいの規模になると自分一人では絶対に運営できないということ
なのだ。全国レベルで委託で売ってくれるスタッフ、大きなイベントで絶対に逃げない
(笑)スタッフ(しかも数人)、通販を手伝ってくれる自宅近所のスタッフ、そして、
山のような在庫を置く場所、これらを全て賄うのは大変。コミックマーケットなんかで
は売ってくれるスタッフのホテル・交通手段まで全てを手配しておくことが必要、本人
だけだったら簡単なんだけれど。
もちろん発行部数を減らすことも可能だ(地方には一切参加しない・通販しない等)
私の想像だが、一回の発行部数を千部にまで減らせば、確実にスタッフワークを免れる
ことができるだろう(事実、男性系サークルはこの部分をカットしているのだから)。
そのかわり、読者は東京・大阪以外での入手が著しく困難になってしまうだろうし、同
人誌の価格が上昇することも止むを得ないだろう(同じ様な完成度を望むかぎり)。
赤字で自腹を切ると言う方法では1回は出来ても続けられない。結局ツケは読者にまわ
るのだ。ちなみに書店で委託するという傾向が最近見られるが、これは、ちゃんと宣伝
とか通販をやっているサークルでしか成功しない、だってこれをやらないサークルの本
は書店だってイベントと同様に売れないんです(かって自分のサークルでも書店委託を
何度もやったが、売れる時はどこでも売れて、売れない時はどこでも売れないのだ)。
それに、書店で売るっていうのは何か心理的な抵抗感がある(通販システムがパンク
寸前になったサークルが止むを得ず選択していると言うことは判るのだが)。
すごく難しい問題ではあるのだね。同人誌は描くだけではなく販売するまでも自分で
やらなければならないのだ。あるプロの作家(同人誌もやっている)が言った言葉で、
「商業誌は楽だよ、自分で売らなくて済むし、売れなくても出版社が負担を被ってくれ
るし、印税は売れた分だけ貰えるのだから」というのがありました。まぁレトリック
半分にしろ、昔、作った同人誌が売れなくて苦労した経験が長かった人だけに納得して
しまいましたね。
そんなにまでして何故同人誌をやっているのか? 答えは簡単、好きだから。
みんな死ぬほど好きなんだよね同人誌が。好きでなければやれないのが同人誌なんだ、
お金を目的にしたら、とてもやれないのは明白。だって今の日本では、いくらでもお金
を稼げる方法があるし、同人誌なんて将来がはっきりしていないものに人生を賭けるの
は恐ろしいぞ(コミケットだっていつ無くなるかわからんのに)。
T.IWATA(岩田次夫)