#38 Article 1110 Posted at 1991/04/11 16:54:17 by ユ-サク (MAP1754) [STORY]

Subject: Re:*6 連載小説「ウサ姫道中記」・今度こそラブコメだっ! /1108 ... /1080 /1079

第2回。

「にゃ、にゃにい!?」
「大変だぜ!…カラ丸がめっかったら、おカラちゃんとの暮しが…!」
「知らせに行きましょ!」
3人組が駆けだそうとしたその時。
「いけません!」
決然とした声がとんだ。
「ヘッ!?」
唖然とする3人組の前に、おタマが立ちふさがる。
「あたしたちは隠密です!…幕府の活動を手助けする事はあっても、妨害する様な事は
 間違ってもしてはなりません!」
小さな身体に精一杯の威厳を込めて、猫忍一族頭領の少女が冷たく言い放つ。
「そ…そんにゃこと言ったってよぅ…」
「ダメです!」
3人組との間に、沈黙が流れる。緊迫した場面である。
…がしかし、やがてその空気はシラ-ッとしたものに変っていった。
「ああそうだろにゃ。店長さんにとってはその方が得だろ-からにゃ」
「さっすが計算高いぜ」
ジト目でおタマをにらみつける3人。
「…エッ!?」
思わずたじろぐおタマに、なおも3人組の目線が突き刺さる。
「ライバル店がトラブッて潰れてくれればお客は戻るし、あっちのお得意まで呼び込む
 事ができるもんにゃぁ」
「こうでもないとやってけないんだろうなぁ。…店長ともなると」
「おタマちゃん、…………見損なったわ…」
「ち、違うもん!そんな事、考えてないもん!」
わたわたと慌てるおタマに、なおも。
「どうだか」
「遠慮するこたぁないぜ。資本主義社会で勝ち抜くには、こうでなくっちゃなぁ」
「こうしてのし上がっていくのよねぇ」
「(ボソット)金の亡者…」
唇をふるふるさせ、思わずとり乱してしまうおタマ。
「ち、違うったらぁぁ!そんな事考えてないったらあぁぁぁぁあぁぁ!!」
パタパタと走って行き、3人組にいやいやをしながら取りすがる。
まだ修業が足りない様である(笑)。

一方、こちらはお城。

広間が無いので、小さな中庭に幕府の重臣達が勢ぞろいしている。
「なんでもウサ姫様から緊急のお達しがあるそうで…」
「な…なんだか、よ、よ、よくない予感がい、い、いたします…」
カバ型の幕府の重臣、バカ之進らがいぶかしんでいると。
と、突如、スポットライトが閃き、縁側にしつらえられたステ-ジが明るく輝き出す。
鳴り響くドラムロ-ル。
「NOW! EVERYONE!! らいどおんだぞよ-!」
スピ-カ-から張り切った声が飛び、威勢良くスモ-クがあがる。
障子が開くと、電飾ギラギラのコスチュ-ムに身を包んだウサ姫が踊り出る!
点滅するおびただしいランプ、袖や箆(カンザシ)には電光パネルがしつらえられ、『御意見
無用』だの『兎一匹』だの(笑)、訳判らない文句が浮んでは消えている。

「ARE YOU READY!? 今夜は、姫の熱いハ-トを聞いてくりゃれ-!」
絶句する重臣達。その前で歌い始めるウサ姫!

  HOLD ME TIGHT!!
  ぞよ ぞよ ぞよ ぞよ
*
  'CAUSE I WANT YOU!!
  そじゃ そじゃ そじゃ そじゃ 

頭に来るぞよ(SUPER HYSTERIC!)
不愉快だぞよ(DYNAMITE PRINCESS!)

可憐な少女の小さな願い 耳に入らぬ不届き者は
御家断絶!打首獄門!

姫 「FUCKIN'OFFだぞよ-!」
腰元「ああ姫さま何て言葉を!?」

YOU KNOW WHO I AM?

  領下も 藩も 猫も 杓子も
  姫の思うがなすがまま
@ 惚れた婿殿 逃がしはせぬぞ
  WARNIN'愛情!! BURNIN'純情!!
  SUPER HYSTERIC 姫のROCK'N ROLL!!

(*繰り返し)

それでも好きぞよ(SUPER HYSTERIC!)
判ってくりゃれ(DYNAMITE PRINCESS!)

可愛い少女の切ない想い 意にも介さぬ不忠の輩は
石抱き鞭打ち!逆さ張り付け!

姫 「STILL MORE 島流しじゃ!」
腰元「ああ姫さまお許しを!?」

ARE YOU READY!?

(@繰り返し)

姫のROCK'N ROLL!! 姫のROCK'N ROLL!!

ひときわ大きくジャンプしてフィニッシュするウサ姫。
「せぇんきゅうぅだぞよ!」
ワ一一一一一一ッ!!
いつの間に集まったのか中庭を十重二十重にとり囲んだ腰元や幕臣らが喚声を上げる。
ニコニコしてそれに答えたウサ姫、ふいにバカ之進の方に向き直り、
「これ!手配人物の情報は、まだ入って来んのかぁ!」
「は…はい…」
ワンコ-守に変って大目付役に昇進したバカ之進が深く頭を下げる。
「ええい、まだるっこしい!こうなったら姫が討って出るぞよ!」
「ウ、ウサ姫様!?」
「いけません、ウサ姫様!!」
今や家老職のワンコ-守らが制止するのも聞かず、
「ええい、だまりゃ、だまりゃっっ!!そち達が昼あんどんのせいでわらわのハ-トは
 もうメルトダウン寸前じゃっっ!このスカポラチンキッ!…ぜいぜいぜい」
一瞬キレかけて、激しく肩で息をつぐウサ姫。頭部パ-ツの下部にしつらえられている
排熱ダクトから、ブシュ一一ッと蒸気が逃げる。
…別に家臣達は昼行灯な訳ではなく、どこの誰とも判らぬ忍者を婿に(将軍に)したい
などと言いだしたウサ姫のワガママに戸惑っているだけなのだが。
「こうしてロックコンサ-トでも開かんかぎりは、姫は頭が焼け付いてしまうぞよっ!
 このお城にダメな家来はいらんっ!GETOUT FUCKERじゃ一一一一一っ!」
ワ一一一一一ッッ!!
再び、観客らが喚声を上げる。…どうやら身の危険を感じてゴマを擦っているらしい。
ニコニコとそれに答えるウサ姫。
「姫様、一体どこであのような汚い言葉を…」
「多分ビデオでしょう」
ブツブツ言いあってる重臣達の合間で、ワンコ-守は腕組みをして考えこんでいた。
「まずい事になった……」

宵闇せまるピザキャット、奥の調理場。
「え一一一一一一ッッッ!!」
3人組とおタマが、やっと取り付けられた簡易通信装置(白壁に画像を投影するプロジ
ェクタ-タイプ)に向かっている。
「オ、オイラ達に!?」
「カラ丸を捕まえろっていうの!?」
画面でうなずくワンコ-守。
「そうなのだ…。姫様直々の御指名でな。”あの道化者のマヌケ忍者と、その仲間の
 凶暴怪力くノ一を呼べ!”との事なのだ」
「………」
ブ然とするヤッ太郎、プルルンはこめかみに青筋を浮べているが、何も言わない。
「姫様は共に討って出るとおっしゃられているが、お前達を動かすからという事で、
 どうにかおなだめしておいた。ヤッ太郎、プルルン、直ちに出動せい!」
無念そうに奥歯を噛み締めるヤッ太郎。やっぱりこうなっちまったか…。
忍者の使命の非情さを、これ程までに感じた事は無かった。
果して自分に、あの仲のよい夫婦を引き裂くなんて仕事が出来るだろうか?
「と、言うのは表向きの命令で…」
「にゃ!?」
目をパチクリして画面を見据える一同。
「婿殿を捕えれば、一介の忍者が、ゆくゆくは将軍。こちらとしても何とかその事態
 は避けたいのだ。よってお前らは、”婿殿は追い詰めたが、逮捕は不可能だった ”
 という工作をせい!…事故死でも国外逃亡でもよい、その証拠となる物を持って、
 ウサ姫様に説明をするのだ!」
「エ一一一一ッ!?」
「オイラ達が、それをやんの!?」
「そ…それって、もし失敗したら」
「島流し…」
「ならまだいいけど」
まっ青になって顔を見合すヤッ太郎とプルルン。ワンコ-守は少々決り悪そうにそんな
2人の顔を見比べていたが、…やがてオホンと咳払いをすると、
「…ま、……頑張ってくれ」
プツンと通信が切れた。
「あ一一ッッ!ちょ、ちょっと!」
「ワンコ-守さま一一ッ!」

それから数十分後。
「PIZZA烏山支店」では明日の仕込みも終わり、ようやく床につこうとしていた。
「それじゃぁ、カラ丸様!」
「失礼いたしや-す」
「おうッ、あまり道草すんなよ!」
二人の店員を送りだした後、店の裏の簡素な家へ戻って行くカラ丸。
「カラ丸さ、お茶づけでも食べっか?」
チョコンと茶踊台の前で待っているおカラ。
「疲れているんでねが?…オラ、肩でももんだげる…」
カラ丸が好きで好きでたまらないらしい、一途な瞳。
か。か-いい。か-い-じゃね-か!筆者は頭の中にあるおカラのイメ-ジに、一人で
転げ廻っていた。
「そんなこどいいから、…ホレ、こっちさこ…」
おカラを引き寄せるカラ丸。
「あ…。だって、だってカラ丸さ、疲れて…」
と言いつつも、なにやら嬉しげなおカラ。
くっそ-、こんないい娘を、うらやましいぞ、カラ丸ッ!
あいかわらず頭の中のイメ-ジに一人で七転八倒するあぶない筆者であった(オイオイ)。
カラ丸の手が、おカラの腰に廻る。
「ア…」
頬を紅潮させるおカラ。
一方、そんな2人を、天井裏からジッと見守る目があった。
ヤッ太郎とプルルン。
2人とも、固唾を飲んで、目を思いッ切り丸くして眼下の光景を見据えている(笑)。
「あ、い、いけね。見とれてる場合じゃね-んだ!」
「あ、あら、あたしッたら、おほほほほほ」
気付いて座り直し、フと目と目が合い、…慌ててさらにぎこちなく笑いあう二人。
「誰だッ!」
天井裏の気配に気付き、声を張り上げるカラ丸。
シュッ!
天井板の一つがめくり上がり、くないが飛んで来る。
すかさず手刀で弾き返し、  ^^^
「何奴ッッ!」
翼を拡げ、天井裏に踊り込むカラ丸。
既にそこは、も抜けのからだった。
「チッ………平和ボケかッ…」
自分の失態に舌打ちするカラ丸。その目の底に、忍者の闘争心が再びチラと光を覗かす。と。
「カ、カラ丸さ、これッ!!」
おカラがくないに縛り付けられていた手紙を開いてよこす。
「ムッ!」
そこには、次の様に書いてあった。

『毛いこく!!
 ひめどのが木でんの損ざいに木ずき、おっテをさし無けたも用!
 すみやかにEDOを花れること! くりかえす、こん矢じゅうにたびだつコと!』

「き、汚い字だ…カラ…」
「全くだ、頭の悪さを字に現した様な文だぜッ」

その頭の悪いヤツに、去年1年はメタクソにやられていたカラ丸であった。


つづく。						ゆ-さく。