#34 Article 69 Posted at 1990/09/03 22:30:51 by MUK (MAP1480) []
Subject: ナディアの時代の 未来技術観
ちょっち ボードからずれる内容かもしれませんが おもしろい資料を入手しましたので UPいたします。 20世紀の初頭に 100年間で科学がどれほど進歩するかを 予想したものです。 長いですから、しょもないとお感じのかたは CTRL+C ですよぉ。 ナディアの時代に、人々が未来科学に対して どんな期待を抱いていたのかが なんとなく見えてくるようで 楽しいです。SFマインド たっぷりよっ! なお、漢字は現在の文字に直しました。( )内は私が入れた よみ仮名です。 二十世紀の予言 報知新聞 明治34年(1901) 1月2日(水)、3日(木) 十九世紀は既に去り人も世も共に二十世紀の新舞台に現わるゝことゝなりぬ。 十九世紀に於ける世界の進歩は頗(すこぶ)る驚くべきものあり。 形而下に於ては「蒸気力時代」「電気力時代」の称あり また形而上に於ては「人道時代」「婦人時代」の名あることなるが 更に歩を進めて二十世紀の社会は如何なる現象をか呈出すべき、 既に此三四十年間には仏国の小説家ジュール、ペハスの輩(やから)が 二十世紀の予言めきたる小説をものして読者の喝采を博したることなるが 若(も)し十九世紀間進歩の勢力にして年と共に愈(いよい)よ増加せんか、 今日なほ不思議の惑間中に在るもの漸漸思議の領域に入り来ることなるべし、 今や其大時期の冒頭に立ちて遥かに未来を予望するも亦(ま)た快ならずと せず。 世界列強形勢の変動は先ずさし措(お)きて暫(しばら)く物質上の進歩に 就きて想像するに ▲無線電信及電話 マルコニー氏発明の無線電信は一層進歩して 只(た)だに電信のみならず無線電話は世界諸国に連絡して 東京にあるものが倫敦(ロンドン)紐育(ニューヨーク)にある友人と 自由に対話することを得べし ▲遠距離の写真 数十年の後欧洲の天に戦雲暗澹たることあらん時 東京の新聞記者は編集局にいながら電気力によりて其状況を 早取写真となすことを得べく而(しか)して其写真は天然色を現象すべし ▲野獣の滅亡 亜弗利加の原野に到るも 獅子虎鰐魚等の野獣を見ること能わず 彼等は僅かに大都会の博物館に余命を継ぐべし ▲サハラ砂漠 サハラの大砂漠は漸次沃野に化し 東半球の文明は漸々支那日本及び亜弗利加に於て発達すべし ▲七日間世界一周 十九世紀の末年に於て寡(すくな)くとも 八十日間を要したりし世界一周は 二十世紀末には七日を要すれば足ることなるべく また世界文明国の人民は男女を問はず必ず一回以上世界漫遊をなすに至らむ ▲空中軍艦空中砲台 チエツペリン式の空中船は大に発達して 空中に軍艦漂ひ空中に修羅場を出現すべく 従つて空中に砲台浮ぶの奇観を呈するに至らん ▲蚊及蚤の滅亡 衛生事業進歩する結果蚊及び蚤の類は漸次滅亡すべし ▲暑寒知らず 新器械発明せられ暑寒を調和する為に 適宜の空気を送り出すことを得べし 亜弗利加の進歩も此為なるべし ▲植物と電気 電気力を以て野菜を成長することを得べく 而して豌豆(エンドウ)は橙(みかん)大となり 菊牡丹薔薇は緑黒等の花を開くものもあるべく 北寒帯のグリーンランドに熱帯の植物生長するに至らん ▲人声十里に達す 伝声器の改良ありて 十里の遠きを隔てたる男女互いに情話をなすことを得べし ▲写真電話 電話口には対話者の肖像現出するの装置あるべし ▲買物便法 写真電話によりて遠距離にある品物を鑑定し且(か)つ 売買の契約を整へ其品物は地中鉄管の装置によりて瞬時に落手することを 得ん ▲電気の世界 薪石炭共に渇き電気之に代わりて燃料となるべし ▲鉄道の速力 十九世紀末に発明せられし葉巻煙草形の機関車は大成せられ 列車は小家屋大にてあらゆる便利を備へ乗客をして旅中にあるの感無からしむべく 啻(ただ)に冬期室内を暖むるのみならず暑中は之に冷気を催すの装置あるべく 而して速力は通常一分時に二哩(マイル)急行ならば一時間百五十哩以上を進行し 東京神戸間は二時間半を要し また今日四日半を要する紐育(ニューヨーク)桑港(サンフランシスコ)間は 一昼夜にて通ずべし また動力は勿論石炭を使用せざるを以て煤煙の汚水なく また給水の為に停車すること無かるべし ▲市街鉄道 馬車鉄道及鋼索鉄道の存在せしことは老人の昔話にのみ残り 電気車及び圧搾空気車も大改良を加へられて車両はゴム製となり 且つ文明国の大都会にては街路上を去りて空中及び地中を走る ▲鉄道の連絡 航海の便利至らざる無きと共に鉄道は五大洲を貫通して 自由に通行を得べし ▲暴風を防ぐ 気象上の観測術進歩して天災来たらんとすることは 一ケ月以前に予測するを得べく 天災中の最も恐るべき暴風起こらんとすれば 大砲を空中に放ちて変じて雨をなすを得べし されば二十世紀の後半期に至りては難船海嘯等の変無かるべし また地震の動揺は免れざるも家屋道路の建築は 能(よ)く其害を免るゝに適当なるべし ▲人の身幹 運動術及び外科手術の効によりて人の体は六尺以上に達す ▲医術の進歩 薬剤の飲用は止み電気針を以て苦痛無く局部に薬液を注射し また顕微鏡とエツキス光線の発達によりて 病源を摘発し之に応急の治療を施すこと自由なるべし また内科術の領分は十中八九まで外科術に移りて 後には肺結核の如きも肺臓を摘出して腐敗を防ぎバチルスを殺すことを得べし 而して切開術は電気によるを以て毫(すこし)も苦痛を与ふること無し ▲自動車の世 馬車は廃せられ之に代ふるに自動車は廉価に購ふことを得べく また軍用にも自転車及び自動車を以て馬に代ふることなるべし 従て馬なるものは僅かに好奇者によりて飼養せらるゝに至るべし ▲人と獣の会話自在 獣語の研究進歩して小学校に獣語科あり 人と犬猫猿とは自由に対話することを得るに至りて 従て下女下男の地位は多く犬によりて占められ犬が人の使に歩く世となるべし ▲幼稚園の廃止 人智は遺伝によりて大に発達し 且つ家庭に無教育の人無きを以て幼稚園の用無く 男女共に大学を卒業せざれば一人前と見做されざるにいたらむ ▲電気の輸送 当本は琵琶湖の水を用い米国はナイヤガラ瀑布によりて 水力電気を起して各々其全国内に輸送することゝなる 以上の如くに算(かぞ)へ来たらば到底俄(にわか)に尽くし難きを以て 先づ我予言も之に止め余は読者の想像に任す 兎に角二十世紀は奇異の時代なるべし なかなか するどいところをついてるのもありますねっ ともかくナディアの時代には、こんな感じだったわけです。 ども長々と失礼しましたぁ MUK