#28 Article 416 Posted at 1995/12/11 20:34:32 by Smilin' Ear (MAP3289) [INDUSTRY]

Subject: Re: Re: Re: タラコ唇が・・・・ /407 /406 /404

またまた遅延resで申し訳ない。
書き込むかどーか、ちと迷ってしまいましたが、書いちゃいましょう。^^;

>>> 産業として成立不能な作り方を押し通してきた結果、
>
> 誰もそんな事望んでる人いないと思うけど^^;
> 産業としては十分採算とっていると思うけど。

誰も望んではいませんが、ほとんどの人がBRY_FULさん同様「気付いていません」。

現実には、制作にしろ作画にしろ、この業界の最下層の人達は、毎日12時間以上働い
ても世間の学生アルバイト並の収入しか得られません。現在のアニメーション業界と
いうのは、そういった「ボランティア」としか呼べないような人達の存在に依存しな
ければ存続不能なシステムになっているのです。残念ながら私は、そのような状態の
ことを「産業として成り立っている」と呼べるほど、世間知らずでも楽天的でもあり
ません。

制作デスク以上の立場の人ならばすぐに分かると思いますが、外注の動仕上げレベル
まで含めた全スタッフの給与体系を「世間並み」にしようと思ったら、TVシリーズの
制作総予算はおそらく現在の倍くらいは必要になるはずです。現実にはそんな予算を
出す局もスポンサーも存在しないため、各プロデューサは初めから「ボランティアを
あてにした」予算を組んでいるのです。その結果として「会社レベル」ではかろうじ
て帳尻を合わせているに過ぎず、スタッフの個人レベルでみれば、ほぼ全員が「赤字
(実際の労働に比して収入が少ない)」を強いられているはずです。

たしかに小説家や漫画家といった、他の「創作」を仕事としている人達だって、「最
下層」は食うや食わずの生活でしょう。しかし、アニメーションの制作会社をそれら
の作り手たちと一緒の基準で判断することはできないのです。アニメーションは「創
作」そのものに莫大な資本が必要ですし、人材の育成、技術の開発を含めた再生産の
システムを持たなければいけませんから。(その点では、作家よりも出版社に近いと
いえるかもしれません)

現実のアニメーション業界は、これまでこの「再生産のシステム」をないがしろにす
ることで、「帳尻を合わせて」きたわけですが、このツケが現在の業界全体の人材不
足、質の低下につながっている、というのが私の最初の発言の要旨なのです。

この点での発想の転換が業界全体に(一部では無意味)訪れなければ、たとえ、手法が
セルから CG に変わったとしても、おそらく日本のアニメーションは長くはもたない
だろうと私は考えています。

# くどいようですが(^^;)念のため。もう一回要約を。
# 私は、ギャラが低いこと自体が問題としているのではありません。各スタッフの
# 赤字を「前提」としたシステム(発想)が問題だとしています。
# 健全な産業であったならば、ペイしない仕事になりそうな場合、「ペイできるレベ
# ルまで質を落とす」又は、「ペイできるようなシステムを考える」ものですが、こ
# の業界にはそれがない。まるで「アマチュア作家」であるかのように。
# ここが問題だと思っています。

長文失礼  Smilin' Ear