#25 Article 3 Posted at 1990/07/30 09:32:31 by 南極二郎 (MAP1537) [KONGOMAOU]
Subject: 金剛魔王
長いので、読みたくない人は^Cしてね。 このようなボードが出来て、いきなり張り切る私である。アマチュァ制作作品とある ので、いきなり10年以上も前の作品について書き始めるぞ!! 今回UPする作品は、「金剛魔王」(1980年作品)である。金剛魔王とは、当時 大阪芸術大学映像計画学科生だった坂下慎二氏によって、創作されたキャラクターであ り、長い間自主制作マニアの間で噂になっていた謎の作品である。岡山方面に、自主制 作もののビデオを大量に置いている喫茶店があるのだが、そこの店主が相当入れ込んで いて、以前「ぱふ」か何かに紹介された時、金剛魔王のコスプレ姿で写真が載っていた ほどである。 おそらく、「DAICON4」のスタッフによって全国に流れたと思われるが、未だ以 てその全容を知る者は数少ない筈だ。 以下にアップする文章は、私が大阪芸術大学時代、あるサークルの会報に載せたもので ある。誤字脱字、文章のおかしいところもあるが、ご了承いただきたい。なお、この文 章は以前某同人誌に殆ど流用の形で、無断使用されたこともあるがこちらがオリジナル である。また、この後、現在までに新たに発掘された事実等もあるが、それはいずれ日 を改めてUPしたい。 元々、芸大生用に書かれた物であるため、判らない単語等あると思うが、説明は後日行 う。御免、出勤前なので・・・・ CASフィルム列伝 1 「金剛魔王」 8mm、ビデオの普及と共に星の数ほどの映像作品が生まれ、そして消えていった。 この連載では、その中から我がCASの、もしくはCAS会員の制作した作品にスポッ トを当て、一作ずつ解説、物語紹介、総論などを交え、その作品が何であったかを考え てみたいと思っている。 今回扱う「金剛魔王」は、CAS四期生の坂下慎二氏が、映像計画学科2回生必修のF PS(ファースト・ピクチュァズ・ショウ)に提出し好評をはくした作品で、FPS主 演変態賞を受賞している。この金剛魔王という特異のキャラクターが受けに受けたため、 この後、続編が次々と作られた。 それでは「金剛魔王シリーズ」の記念すべき第一作、「金剛魔王」監・脚 坂下慎二 を取りあげてみよう。 「金剛魔王!!」と言う声と共に、「赤影」の曲をアレンジしたテーマ曲が流れる。 テンポの良い出だしである。定石にならって金剛魔王の役者は”?”マークである。イ キな心配りである。 大阪芸大近くの内田学生マンション。その一室に、FPSの締切に追われる坂ヤン(坂 下慎二)と長ヤン(長瀬哲也)の姿があった。アニメを作ろうとしたばっかりに、締切 ぎりぎりまで苦しまなければならない芸大生の悲哀! 長ヤン「坂ヤン、今日何日や?」 坂やん「二十三日」 長「ファーピクの締切、何日や?」 坂「二十五日」 長「それじゃエート・・・」 坂「アー、後二日じゃ! お前がアニメなんかしよう言うからやぞ!」 長「ハハハー。坂ヤン、留年やー」 坂下、長瀬の絶妙のコンビネーションによるセリフのかけ合いが、緊張感を彌が上に も盛り上げて行く。とその時、高らかな笑い声! 金剛魔王の登場である。 魔王「そのアニメ、この金剛魔王が一晩で仕上げてあげよう」 二人が茫然としている間に、魔王は作画台を陣取って、かけ声と共に作業を開始する。 あっと言う間に作画、撮影、編集、録音をすませ、企画書とシナリオまで取り出す魔王。 狂喜する坂ヤン、帰ろうとする魔王に彼は聞く、せめてお名前を、と・・・。金剛魔王、 くるりとふり返ると「金剛魔王!!」と一言。BGMが流れ、スーパーカブに乗って魔 王は去っていく。しかし結末には意外なオチが・・・。 この一作目以前に、金剛魔王のルーツとも言える作品「奇勝どんづるぼ」がある。こ れは、金剛魔王の修業時代を描いた作品であるそうだが、今となっては知る人も少ない。 またこの金剛魔王と言う人物、第3金剛寮の伝説の人物であると言う説もある。何にせ よ謎の多い不思議な存在であり、そんな所が私たちが幼い日に見た古典的ヒーロー物を 思わせ、しだいに親近感のような物がわいて来る。 胸に「悪霊退散」の文字、頭にターバン、サングラス、背にマントといったハリマオ を思わせるこの魔王、やはりCASフィルム史上、突出したキャラクターであるといえ よう。 一作目は、ファーピク用に、とにかく一日で撮れるものを、という理由で開始された。 カメラの位置替えの手間を省くため、3台のカメラをそれぞれの位置から同時に回し、 ほとんど1テイクでOKを出している。唯一手間がかかったのは冒頭とラストで魔王が スーパーカブに乗っているシーンで、その当時学マンに四台しか無かった車の内の一台 を借りて撮影、これに一日かかっている。結局、全シーンを二日間で撮り終えている。 しかし、そうして撮影したフィルムも、つなげてみると6分にもなってしまった(F PSでは3分15秒までが限度)。そのためやむなく、余計な部分やギャグを切り取り、 これ以上切るとストーリーがわからなくなる、と言うところまで切った。だがなお時間 オーバーしたため、18コマで撮影したこの作品を、24コマで録音、上映している。 全体的に動きがチャカチャカしているのはそのせいで、おかげでテンポは良くなったも ののアフレコの際には苦労したと言う。 しかし逆に、切りつめたからこそ、ヒーロー物のエッセンスだけが残ったとも思える。 金剛魔王のキャッチフレーズは「結果はどうあれ善意の人」なんだそうである。決し て悪気がある訳ではないのだが、結果として失敗してしまう。よくいるでしょう、そん な運の悪い、と言うか不器用な人が。そんなところが、人間的で憎めないところなので ある。 一作目の金剛魔王はギャグ一辺倒だったが、二作目以降はシリアスな役どころもこな している。またPART2のオープニングは、優しい感じのテーマ(坂下氏自作自演!) がながれ、金剛魔王が喜々として動き回るのだが、それを見ているとなにか童心に返っ たような、心が洗われる思いがするのだ。そこに写し出された魔王は、子供の様に純真 な、私達が十数年前に忘れて来た姿なのであった。 姿、行動共に、私たちの郷愁をそそるヒーローなのである。彼、金剛魔王は。 二作目以降はページの都合もあるのでいずれまた機会を改めて行う事にする。アニメ の企画もあったりして、もしそれが実現したら別冊で、「金剛魔王ロマンアルバム」な んて作りたいですな。 <金剛魔王 7つの秘密(順不同)> 1 変身 2 8823Hzまで聞こえる耳 3 大喰い(4つの胃を持つ) 4 こむらがえし 5 どこでも走れるスーパーカブ 6 コマ落とし走り 7 必殺金剛おろし <「金剛魔王」作品リスト> 1 金剛魔王(1980年公開 3分15秒) FPS提出用に制作。主演変態賞受賞。 2 題不明(未公開) 編集研究の課題として制作したが未提出。魔王が音楽に合わせ、縦パン、 横パン、回り込みをする。 3 金剛魔王PART2(1981年公開) シネグラ、映ドラ提出用に制作。助演男優賞(アニメックス売り)受賞。 4 PART2予告編(1981年公開 90秒) シネグラ、CF提出用。3本一組。 5 THE LONGEST DAY OF CAS (1981年12月13日公開 27分) CAS追いコンビデオとして制作。 6 金剛魔王 II (1982年7月9日公開 3分15秒) 1のフィルムのセリフを入れなおした作品。次の年の話になっている。 7 アニメ金剛魔王(1982年10月13日公開) 佐藤龍介氏が、氏のアニメ制作の基本に返ろうとして制作した作品。 南極二郎