#201 Article 144 Posted at 1997/11/09 07:59:37 by 高木志郎アオ (MAP3887) [ETC]
Subject: Re: 手塚治虫の伝説化? /137
> 手塚治虫が『鉄腕アトム』で、採算度外視の納品価格を提示したと言
> われる事柄が、TVアニメに対するTV局側の歪んだコスト意識を育成す
> る一因となった背景がある以上、
手塚治虫自伝「ぼくはマンガ家」に
∥「五十五万ぐらいです、三十分もので」
∥ と言うと、M製菓の人は目をむいて、
∥「そんなもんですか!」
∥ と、安心した。
∥ この数字は、現在でも、いや、当時ですら、ばかみたいな安値である。
∥ だが、これには訳があった。当時、普通のテレビ劇映画の製作費が四、五
∥十万円で、漫画映画だけがそれからとびはなれて高ければ、とてもスポンサ
∥ーは寄りつかないだろうという思案がひとつ。それに、うんと安い製作費を
∥発表しておけば、とてもよそでは、それだけではできないだろう――という
∥計算をたてたぼくは、心で泣いて、赤字覚悟でこう言ったのだ。これは残念
∥ながら、あとで書くように、ぼくの大失敗であった。
(中略)
∥ アトムが好評だとわかると、ほかのプロダクションは、あわててテレビ漫
∥画の原作をあさりはじめ、コロンブスの卵ではないが、アトムの類似作品が
∥ずいぶんでてきた。「鉄人28号」「エイトマン」「狼少年ケン」など、アト
∥ム的製作法でつくられた作品が、目白押しにテレビに登場した。
(中略)
∥ ぼくが「アトム」の売りに失敗したというのはこれである。「アトム」は
∥好評でなければよかったのだ。「アトム」がそれほど話題にならなければ、
∥類似作品も作られなかったろう。「アトム」が儲かるとわかると、スポンサ
∥ーはどんなに大金を積んでも、どこかにテレビ漫画を作らせようとやっきに
∥なった。
と書いてあります。
というわけで、歪んだコスト意識を育成した原因は、アトムをヒットさせた
視聴者にもあるわけです。
もちろん手塚氏にも問題があるわけですが、私自身、明治のマーブルチョコ
レートを食べたり、光文社のカッパコミックスを読んで、版権収入に協力して
たし…(汗)。
> そんな氏が日本のTVアニメの黎明に立ち会い、かつては中心的な存在
> であった事は、良かったのか悪かったのか・・・。
悪かったに決まってます!
もしも手塚治虫がいなかったら、日本にTVアニメは存在せず、私の部屋が
漫画本やアニメ雑誌で埋まって、足の踏み場もない状態になることは無かった
はずです(爆)。
高木志郎アオ