#20 Article 4427 Posted at 1996/09/29 10:29:28 by TOSHI (MAP2425) [X]
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気が向いたので、遅ればせながら『X』について。 長文なゆえ、半分は知人の受け売りなので、恥ずかしいのですが。 とにかく、まったくストーリーを重視しない潔い作りに感心しました。 最初は脚本が破綻しているのかなあ、とも思ったのですが、 冒頭5分間まったく話を説明しない態度といい、これは間違いなく確信犯ですね。 脚本が3人連名になっていましたが、 渡辺麻美脚本が気に食わなかった大川七瀬が自ら書き直し、 それをほいほいと切ってストーリーをそぎ落としたのがりんたろう、 ……てな図式なのでは? と邪推してしまいました。 全編、これ、りんたろうの映像美学を押し進めたつくり。 東京崩壊3部作の悼尾を飾る出来だったといえるでしょう。 『カムイの剣』もそういう方向から考え直す必要があるのかもしれません。 ところで、ストーリーを重視しない、と書きましたが、 実はわかりやすいほどはっきりとしたテーマというか、モチーフがありました。 いってみれば、りんたろうの「CLAMP」論とでもいうのかな? 全編に渡り、2本の剣をめぐってバトルが繰り返されるのですが、 この2本、文字どおり、それぞれ2人の女性の腹の中から取り出されます。 1人は主人公の母、もう1人は主人公を愛するようになったヒロイン。 そして両者とも、剣を腹から取り出されると死んでしまいます。 要するに「出産」をイメージしているわけです。 ヒロインの場合、「腹に剣を宿すのは、主人公を好きになったから」という、 まことにわかりやすい説明まで、敵の口から語られます。 ポイントは、出産すると死んでしまう、という点にあります。 要するに女性性に対する拒絶、嫌悪が基調になっているのです。 もうひとつ、主人公の仲間の中学生の女の子を例証としてあげましょう。 この女の子、「まだ恋も知らない」と説明されます。 ところが、恋が始まりそうな展開を迎える、恋をしたいと意識する瞬間、 敵によって惨殺されてしまうのです。 逆のケースが敵と味方に分かれて戦う姉妹のエピソードです。 敵の女王は、男に裏切られたとき、実は無償の愛のために、 姉と敵対する行動をとっていたことが明らかになり、 そしてその無償さゆえに、その愛は受け入れられることになります。 ここで、思い出すのは『レイアース』のことでしょう。 『レイアース』においては、国を治めていた女王が、男性に恋したことで、 国が滅びを迎えることになります。 そして、それまで少年のようだった主人公もまた、ある男性を愛したとき、 自分の分身が彼女を殺しにやってくることになります。 性欲としての愛、女としての愛に対する強い禁忌が、この映画のモチーフです。 もしかすると、、CLAMPが特に幼い女の子やおたくな女の子に 受け入れられるのは、そうしたストイックさゆえなのかもしれません。 TOSHI