#2 Article 271 Posted at 1989/06/14 12:38:12 by DATTYA (MAP519) [COPYRIGHT]
Subject: Re: Re: 音楽 /270 /268
銀河通信に掲載されてPCSに転載されたものをここへ再転載します。 dattya ========================================================================== Note 112 Junk & Test (junk.test) [ RESPONSE: 19 of 24 ] Title:海賊版ソフトと著作権 Date : 10:32pm 6/ 1/89 From: pcs29614 (earth) 【ネット上で歌詞をアップする場合について、社団法人 日本音楽著作権協会の見解】 (NHK『銀河通信』で得られたメッセージです) これからご紹介するメッセージは、歌詞のアップ(例えば過去に人気のあった 番組の主題歌などをボードにアップされる場合)にあたって、現行法上、どう いった問題があるかについて、NHK『銀河通信』の会員からの質問に対して 社団法人 日本音楽著作権協会(以下、協会とする)から得られた回答です。 回答を得るにあたっては、現在の『銀河通信』では、歌詞のアップを自主的に 禁止している関係から、『銀河通信』の前身としてのネットである『ひょうた ん島通信』(1987年10月~11月の間、NHK内に開局)上にアップされた、 詞を含むメッセージ(アーティクル)のコピーを協会に送付し、それに基づき 答えていただいたということです。 文章は、協会からの文書による回答の全文であり、有志会員の方が、電子可読 できるように入力し直して下さった以外、いかなる改編も行っておりません。 この文章を、さらに他のネットへ転載(ポーティング)される場合、回答その ものの内容を改編されることは固くお断りいたします。万が一、改編して転載 なさった場合、それによって何らかの問題が発生したとしても、『銀河通信』 及びその会員、またNHKは、一切の責任を負いません。 また、この回答が、NHK『銀河通信』を通じて得られたものである旨、明記 して下さるようお願い申し上げます。 さらに、再転載なさる場合は、どこのネットに転載されるのか、できましたら 転載元の会員を通じ、ご一報いただければありがたく思います。 上記の点を守っていただければ、転載は、差し支えありません。 NHK『銀河通信』 議事堂「ちょっとマジですが」 通信分科会(世話役 大谷#0280) 以下、回答の本文がつづきます。 以 上 転載元:NHK『銀河通信』 議事堂「ちょっとマジですが」より **************************************************************************** 題名(Title): 著作権>JASRAC回答(1988/12/20付)全文 昭和63年12月20日 社団法人 日本音楽著作権協会 第二業務局次長 臼井 泉 拝啓 時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。 大変遅くなりましたが、お問い合わせの件につきご回答いたします。 まず、ご提示いただいている事例についてお話する前に、著作権法上の著作権の制 限について簡単にご説明しご理解をいただきたいと考えます。 著作権法は著作物の著作者に排他的な権利を与える法律でありますが、いかなる場 合においても、著作権者の許諾が必要となると著作物の公正で円滑な利用が妨げられ、 かえって文化の発展に寄与することを目的とする著作権制度の趣旨に反することにな りかねません。 そのため、一定の場合、著作権を制限して著作物を自由に利用することができるよ うにしております。しかし、これも著作権者の利益を不当に害さないように、また著 作物の通常の利用が妨げられないように留意して、著作物が制限される場合は、その 条件を厳密に定めております。 この制限の内容は、大きく4つに分けられます。 (1) 著作物の利用の性質からして、 著作物が及ぶとすることが妥当でないもの (私的利用) (2) 公益上の理由から、著作権を制限することが必要なもの (図書館とか学校教育での複製) (3) 他の権利との調整のため著作権の制限が必要なもの (4) 社会慣行として行われており、著作物を制限しても 著作物の経済的利益を不当に害しないと認められるもの (引用) これらの著作権の制限は、著作権法第30条から50条までに定められていますが、 それぞれ、各条の立法趣旨は違いますが、文化的所産の公正な利用という点を配慮し て定められています。 今回の貴社のご質問に係る事項については、(4)に該当するものでありますが、 「引用」は、著作権法第32条で ------------------------------------------------------------------- (引用) 第32条 公表された著作物は引用して利用することができる。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われる ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ものでなければならない。 ------------------------------------------------------------------- と 定めております。 本条は、報道、批評、研究の目的でする著作物の公正な引用を正当な範囲内におい て適法とすることとしております。 「引用」とは、自己の著作物に他人の著作物を利用することですが、この規定の立 法趣旨は、社会的に著作物の引用が広く行われている実態にあることと、著作物自体 が先人の文化遺産を母体として出来あがってゆくものであることから、その引用が公 平な慣行に合致し、かつ目的上正当な範囲にとどまる限度において、著作権が及ばな いとしたものです。 まず「引用」することが認められる著作物は、すでに公表されたものであることが 必要です。これは、著作者に著作人格権として公表権(著作権法第18条)が認めら れており、世間にどのように公表するかの権利を専有しているため、未公表の著作物 の使用はこの公表権の侵害になるからであります。 次に、「引用することができる」でなく、「引用して利用することができる」と定 められていますが、これは、自分の著作物の中に他人の著作物を引っぱってきて用い る行為自体は、ある著作物の利用に伴って、その中に引用された著作物を印刷したり、 演奏したり、放送したりする行為とは一応概念的には区別されますが、引用行為それ 自体よりも引用文を含む著作物の利用に伴って引用した著作物を利用することに法律 的な意味がある訳で、そのような形での、利用行為を適法化しようとしたものです。 そのような意味で、「引用して利用することができる」と表現しています。 次に、引用が許されるための第一の要件は、その引用が「公正な慣行に合致するも のである」ことです。公正な慣行に合致する場合とは、健全な社会通念で判断するこ とになりますが、ケースを挙げれば、 ○ 報道の材料として著作物を引っぱってくる場合 ○ 自分の学説を展開するために自説を裏付けし、補強する他人の学説を引っぱっ てくる場合 ○ また少しケースは違いますが、小説の中に、その時代状況を説明し把握させる ために必要なものとして他人の詩、歌詞等を挿入する場合 などが考えられます。しかし、引用の名を借りて、自己の著作物中に登場する必然性 のない他人の著作物を「借用」することは認められません。世の中で著作物の引用行 為として実態的に行われており、かつ、社会感覚として妥当なケースと認められるも のが公平な慣行に合致するということです。 なお、引用の方法が問題になりますが、言語の著作物であれば引用文をカギカッコ でくくって表示する等、自己の文章との区別を図る必要があり、引用対象著作物が引 用されているかどうか判然としない利用方法は公平な慣行に合致するとはいえません。 第二の要件は、「引用の目的上正当な範囲」で行われるものです。引用の目的は、 報道、批評、研究その他と書いていますが、これは主たる例示であり、これだけに限 りませんが、 他人の著作物を自己の著作物中に持ってくるだけの必然性が認められる創作目 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 的がなければなりません。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「引用の目的上正当な範囲」という意味は解説することが非常にむずかしい問題で ありますが、まず、自分の著作物の中に他人の著作物を引いてくる訳ですので、引用 しようとする自分の著作物があくまでも主体で利用されてくる他人の著作物は従たる 存在でなければなりません。つまり、主従の関係がなければなりません。他人の著作 物が大部分で自分のコメントがそれより少ないようなものは、引用の限度を越えてい ることになります。言葉を換えていえば、引用された著作物が引用先の著作物の中に 吸収されていることが必要で引用文が本文より高い存在価値を持ってはならないこと になります。 それから引用される著作物の分量の問題ですが、事柄の性質上、美術作品とか写真 とかまた俳句のような短い作品の場合の一部分引用ということは考えられませんので、 全部引用が可能になります。しかし、学説論文等の場合では、その全文を引用する必 要はありませんから、必要な最小限度の範囲に限られます。 特に音楽の著作物の場 合、交響曲等の長いものは別にしてポピュラー曲などは俳句のように短いものでもな く、また学説が論文のように長いものでもなく、この中間に位置するものであり、全 部引用ができるか、必要最小限度の範囲に限られるか一番取扱いがむずかしい分野で あり、ケース毎に判断をして解決をしているのが現状です。 次に、引用が認められる場合における義務事項がありますので注意が必要になりま す。それは、著作権法第48条です。 ---------------------------------------------------------------------- (出所の明示) 第48条 次の各号に揚げる場合には、当該各号に規定する著作物の 出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー る方法及び程度により、明示しなければならない。 ーーーーーーーーーーーーーー 1. 第32条-----の規定により著作物を複製する場合 ---------------------------------------------------------------------- これは、制限規定により、著作物の利用が認められる場合について、その利用の態 様に応じ合理的な方法、程度による出所の明示を義務づけ著作物の保護を実行あらし めようとしているものです。 「利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度」とは、これは常識的に判断 するしかありませんが、明示すべきものは、 1. 著作物の題号 2. 著作者名 3. それからある出版物からの利用の場合は、著作物の題名、著作者名のほか に出版者名、あるいは雑誌名、収録されている版(何版)とか巻号(何巻何 号)また論文の一部の利用となるとページ数の表示などが一般的な明示です。 また、出所の明示の方法としては、 利用する著作物に接着して表示されることが必要でありますが、便宜的方法と して、利用著作物に注記を付し、巻末等の備考欄に出所の明示をすることも認め られると考えられます。出所の明示は、あくまでも読者等が容易に判知できるよ う、制限規定により、利用している著作物がどれであり、それは何から引用して きたかを示さなければ出所の明示をしたことにはなりません。 最後に、出所の明示の法律的な性質は、制限規定による著作物利用の条件ではあり ませんので、出所の明示をしなかったからと云って著作権侵害にはなりません。制限 規定による著作物利用に際しての一つの法律上の義務でしかすぎませんが、著作権法 第122条で義務を怠ると、出所明示義務違反として罪になります。 以上引用に係る基本的な説明をさせていただきましたが、次に、今回の問合せにつ いて、以下の通り回答いたします。 引用とは自己の著作物に他人の著作物を利用することでありますので、まず自己の 作品が著作権法上の著作物になり得るかどうかとの判断が必要になります。 言語による著作物としては著作権法第10条に著作物の例示があり、 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物 と例示されております。 今回のケースにつきましては、この例示の中の「その他の言語の著作物」に該当す るものと考えますが、しかし、これが著作物として認められるためには著作権法の定 義を満たさなければなりません。著作物については、著作権法第2条第1号に 「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は 音楽の範囲に属するものをいう。」と定義しております。 著作物たるための 第1の要件は 思想、感情を表現したものでなければなりません。 例えば、東京の12月の平均気温は何度であるとかなどのデータは、思想、感 情を包含していませんので著作物となり得ません。 しかし、データをいろいろ収集して一定の考え方にまとめて整理すれば、創意 工夫のある統計資料のようにそこに思想、感情が入ってくることはあり得ます が、データそのものは思想、感情の表現ではありません。 第2番目に 思想、感情を創作的に表現したものであること。 これは作品になんらの知的活動の成果つまりクリエーティブなものがなくて ならないとの考え方です。 第3番目に 創作的に表現したものであることです。 すなわち、思想、感情を表現することが必要です。例えば、アイデア、キャラ クター等は著作物の骨格を成す重要な要素ではありますが、アイデアやキャラ クター自体は著作物たりえません。アイデアやキャラクターに基づいてそれを 具体的に表現したもの、すなわち、小説、論文、楽曲、絵画というような具体 的に表現された形式をさして著作物というわけです。 第4番目として 「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」であることです。 さてここで、お問合せの案件の著作物性について前記の要件が満たされるかを判断 しますと、 例示は、ディスクジョッキー等と同じように問いかけの文章の域を出ておらず、思 想、感情を創作的に表現したものとは思われず、また文芸、学術、美術又は音楽の範 囲に属するものとも考えられませんので、これにより、引用が認められる第1の要件 である引用する自己の作品がまず著作権法上の著作物と認められるものでなければな らないことの要件を欠くことになりますので引用は成立しえません。 また、引用は、公正な慣行に合致するものであることが必要ですが、喋り言葉には 引用を認めるような慣行はありません。この面からも引用は認められるものではあり ません。 また、仮に、引用であった場合でも、「出所の明示」の義務を怠っております。 当協会もニューメディアの発達により、ホストコンピューター記憶装置に蓄積する データベースや光ディスクやフロッピー等への音楽の蓄積についてこれまでも権利処 理を行ってきていますが、あらかじめ蓄積されるものは別として、パソコン通信のよ うに会員相互間の通信に供するような短期間の蓄積で消していくような情報について の管理については、管理がむずかしい点もあり、どのように対処していくかを検討中 であります。そのため、現在今回の様なケースがあったとしても管理方法が決まるま では管理保留としております。 なお、パソコン通信の中でもネットワーク社のホストコンピューター記憶装置に音 楽データを蓄積して会員の利用に供する場合があるとすれば、この部分については現 在でも管理業務を行っておりますので、当協会の使用許諾を受けて下さい。 敬具 ---------------------------------------------------------------------------- 以上です。