#194 Article 3969 Posted at 1997/09/08 20:10:57 by 渡辺健一 (MAP2451) [EOE]

Subject: 夏エヴァやっと

もうすっかりブーム過ぎてる感じですがやっと見ました(^_^;)。

 なぜすぐ見なかったかと言うと、基本的に庵野さんの作品は今ま
であまり好きではなかったからです。素材の引用それ自体はともか
く、それによって描かれる内容に興味を持てなかったし、出てくる
人間が1人もまともなセリフをしゃべれてない感じがするし。

 でもなぜ結局見たかと言うと、やはりそれでも庵野さんのやって
しまった事は天才くさい感じがするし(この人気!)、テレビ版を
どういじったかという所は、内容はともかく面白い要素に違いない
と思ったからです。

 結果的に正解でした。面白かった。内容はともかく。

 しかしまず、エヴァという作品はお話がどうこうと言える作品で
はないですね。お話が「壊れる」所が、表現として面白い所なんじ
ゃないでしょうか。しかも単に壊れるだけじゃなく、設定もお話も
予定調和的に壊れて作者の内面の表現(いや表現と言うより精神分
析か)に収束してしまう所が。

 庵野さんは言ってる通り自分が嫌いで他人が怖いんですね。動物
も怖いから消極的な菜食主義なのかも。オイオイ
 そんな人が人間を描ける訳もなく、今までの作品はカッコイイ映
像の引用技術でしかない感じがしたのですが、でも庵野さんにも描
ける(いや庵野さんにしか描けない)面白い人間が1人いた。それ
は嫌いだった自分自身。
 積極的にか結果的にか、とにかく自分自身を見つめる事を決意し
たらそれがブレイク。
 相変わらずキャラクターも演出も説得力はないけど、それを描か
ざるを得ない作者の衝動というのは説得力があった。お話のつじつ
まや商品としての完成度なんか関係なく、魅力があった。
 私の見る所、エヴァとはそんな作品でした。

 「現実に帰れ」がテーマとか言うのも全然嘘でしょう。自分を見
つめる苦しさをまぎらわすため、のんきに見てる観客にちょっと悪
態ついた程度じゃないかな。主張なんかする余裕ないと思う。

 エヴァにテーマがあるとしたら、それは「他人は怖い」という事
じゃないでしょうか。それも「怖いものなんだよ」と説得してる訳
じゃなく、「怖いよー」って叫び。
 TV版では、最後いきなり「…でも生きてていいよね」って精神
分裂的に終わっちゃって唐突過ぎたけど、映画ではそれをていねい
にシミュレートし直している感じです。
 「他人は怖いけど融合できる訳もないししちゃっても解決しない
し、寂しいけど皆1人で生きていくしかないかな」って。

 で最後の「気持ち悪い」ですが、これは庵野さんが最後に少し自
分を対象化できた証しの「オチ」かもしれませんね。個人として他
人の中で生きていくって事はこういう事なんだから。

 あの後いかりや長介さんが出てきて「ダメだこりゃ」と言ってく
れて、エンディングがクレージーキャッツだったりするともっと凄
かったのになあと残念です(^_^;)。世代そうでしょうにね。

 …なんか無茶苦茶勝手な事ほざいてすみませんね。
 でも面白かったですよ。エヴァ。

渡辺健一 (MAP2451)

P.S. 「まごころを君に…」はわかるけど、「Air」って何から
  取ってるんでしょう?
   こんな事聞くこと自体乗せられてるよなあ…(^_^;)。